月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 蟲類  

ゼフィルスたちが降り立つ野



 モリアオガエル Rhacophorus arboreus の後には、しばらく過去を振り返りながら、記事を消化しようと考えていたが、なんだかんだで生き物の旬なネタを載せたいので、昨日の里山での話を。


 先日ヒバカリ Hebius vibakari 狙いのフィールディングをしている最中に、リンク先のカケガエルくんからLINEが届いた。数件のやり取りをしていると、 「 今日はウラナミアカシジミ Japonica saepestriata を探しているんですよ。そういえば去年、そちらの里山でも少ないですが見かけましたね。 」 とのこと。
 数年前に別の里山でチラリとその姿を見たことがあったが、その時はあっという間に飛び立たれてしまい悔しい思いをした記憶があった。 『 そういえば、そんな季節なのか、帰りにちょっと寄ってみるか 』 と、彼が目撃したという場所に夕方寄ってみることにしたのだ。


 するとさっそく 「 あ、ウラナミ !! 」 葉上で翅を休めるウラナミアカシジミの姿が。彼の助言通りではないか。慌ててカメラを構えるも、距離もあるし夕方で暗くてシャッタースピードも上がらず、ブレブレの写真1枚を撮ったところで、またもや飛び立たれてしまった。見ると上空には他個体も飛んでいるようで、なるほど個体数はそれなりにいるということがわかった。

 ということで次の休日に再訪することを誓うのであった。ちなみにヒバカリの方はというとからっきしで、 「 ヒ 」 の字も見ることがなかった。



 ただ林内でふと何かに見られているような気配を感じた。ふと、林床の下草の隙間に目を凝らしてみると、ヘビの視線のようなものが、こちらを睨みつけていた。


クロヒカゲ
クロヒカゲ Lethe diana


 それはヘビの眼光ではなく、暗い林内を飛び交うクロヒカゲの眼状紋だった。一瞬でも 「 お、ヘビだ ?! 」 と思ってしまうほど、ヘビが見られなかった日だったので、どれだけ肩を落としたことか。


クロヒカゲ
クロヒカゲ


 クロヒカゲの全身像。こう見るとカラーリング的にはアオバズク Ninox scutulata っぽいね。ヒバカリには会えずじまいだったが、この手のジャノメチョウの類いが暗い林内を飛び回っている光景って結構好きなんだよね。どんよりしていて一見するとあまり生き物がいそうにない気配なのに、実はよく目を凝らして見ると様々な生き物が息づいているその雰囲気が。



 そんなわけでこの日の成果はイマイチだったので、次回に持ち越し。












栗の木
クリ Castanea crenata


 そして話は昨日へ。再訪前にいろいろ調べてみると、どうやらウラナミアカシジミなどのいわゆるゼフィルスたちは、栗の木で吸蜜するということが分かったので、今回は栗の木を重点的に巡ってみることにする。
 木本類はあまり知識がない私だが、栗の木ならばわかる。それはきっと私だけではなく、他の男性諸君も同様であろう。身に覚えのあるような香りを発するその木は、自然に詳しくない人でも 「 ○○ のニオイのする木 」 といえば通じるように、実にわかりやすい木なのだ。いわゆるティッシュのアレだ。




アカシジミ
アカシジミ J. lutea


 雑木林に生える栗の木を見てみると、さっそくウラナミアカシジミと同属のアカシジミが吸蜜していた。おぉ、これは幸先が良い。高い位置に咲く花の蜜を吸っていたが、去年購入した望遠レンズが役に立って、離れた位置にいる飛翔昆虫も狙えるようになったのは嬉しい。



アカシジミ
アカシジミ


 この日は風が強く、上空や樹上に留まれない個体がポツポツと下草に取り付いてしのいでいるのが目についた。この個体も日当たりの良い栗の木で吸蜜したのち、重たい体が風にでも煽られたのだろう。まだ羽化してそんなに経っていないためか、風にガンガン煽られてあちこちに体をぶつけていたが、羽はまだボロにはなっておらず綺麗なオレンジ色は健在であった。


オオミドリシジミ
オオミドリシジミ Favonius orientalis


 栗の独特の香りに包まれながら、吸蜜にやってくるチョウたちを観察していると、アカシジミよりも早い飛翔でやってきたゼフィルスがいた。オオミドリシジミだ。
 この日はこの個体1頭のみしか見られなかったため、美しい表面の金属光沢を見ることは叶わなかった。だいぶ上の方を飛んでいて、なんとかその裏面を捉えただけであったから。



ミズイロオナガシジミ
ミズイロオナガシジミ Antigius attilia


 他にも続々と訪れるゼフィルスたち。こちらも飛ばされ煽られ、下草に降りてきた。普段と違って特に意識してフィールドに出ているからか、本当にこの日はよくシジミチョウが目に入る。
 これでゼフィルス3種目。こんなに見られるとは予想外だ。

 そんなことを指折りしながら栗の木の下で待っていると、ついに本命がやってきた。



ウラナミアカシジミ
ウラナミアカシジミ


 遠くから飛翔してくる姿こそ、前述のアカシジミと同じオレンジ色だが、近くまでやってくるとその複雑な波模様が姿を現す。求めていたウラナミアカシジミだ。その独特の裏面の模様こそ、私が探していたゼフィルスのその姿で、運よく欠けのない、いわゆる完品の個体に出会うことができた。

 狙いを定めてフィールドに赴き、この日は4種もの美しいゼフィルスに出会うことができた。比較的に見つけやすい平地性のシジミチョウたちではあるが、1日でこんなに見られるならば面白い。高山地帯での美しいゼフィルスとの出会いといったらどれほどの感動なのだろう。想像するだけでもとてつもない感動があると容易にわかるが、実際はそれのさらに上を行くのだろう。そういう虫屋さんって本当にすごいなぁ。
 私としては虫屋ではないのだが、素人的にはパッと見の派手さがあるウラナミアカシジミが特に好みであった。





 それにこの日は年配の虫屋さんも結構見られ、それぞれ楽しそうに虫を追いかけていた。やはり虫捕りというのは生涯をかけて臨む良い趣味なんだろうな。みんな目が少年のそれであった。
 私も時間を忘れ、情熱を持って生き物を追いかけていきたい。






ウラナミアカシジミ
ウラナミアカシジミ




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Comments
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お久しぶりです。
ゼフいいですよね。私もここ数年はわざわざそのために車走らせることも多いです(^^;6mくらいの磯玉買うだけで出会いの幅が広がりますよ(笑)
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>> Hitakiさん


いろいろとチョウ見てるよね。
ゼフィルスとか高山蝶とか、ブログに出てくる写真にいつも見惚れてますよ。
カレンダーも出版してるし、すごいよなぁ。

開張写真もなかなか撮れないし、こういう生き物の綺麗な写真を撮るのって相当な技術なんだなってのを、身をもって実感したわ。


そんな6mなんて振れないっすよ(苦笑
それで500mmレンズ付けた一眼持って行動するんでしょ?
すげーな。
こっちはもう山登ってるだけでヘトヘトですよ。
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鳥のほうはここ何年かでハードルを上げてしまったせいで、完全に出不精です。そんなわけで図鑑で見るだけだった虫とか花を追う日々です。またいつかご一緒したいです!カレンダーは思い出深いものを残せて良かったですが、なかなか後が続かないです(笑)

開翅写真は運ですが、気象条件や時間そして裏技は必須です(笑)開いた瞬間はほんとに達成感ありますよ~。体力的には愛好家の皆さんは明らかに無理してると思いますが、シーズン限られるので仕方ない感じかなあと(^_^;)
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>> Hitaki さん

「鳥のほうは~」と言っておきながら、去年の鳥のまとめ記事はなかなかにすごかったように感じられたけど、それは私が単に経験がないからだろうか。
ヒゲワシとかダーウィンがきたを見て一目惚れしたもんで、非常に羨ましいですよ。

見られる期間が短い生き物って、欲望優先にするとどうしても体に負担がかかっちゃうよね。
ジョウロウホトトギスの類いのお花も、時期が限られてて苦労したよ。

でもまぁ、良い疲れだよね、見られれば(笑)
またフィールド出て、ビール飲んで、温泉入ってとやりたいですな。
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