月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 蟲類  

エアアジアの激情

 ● 亜細亜の熱帯雨林、ボルネオの旅 ●
プロローグ. 暗黒大陸への渡航
1. 旅の終わりは、旅の始まり
2. エアアジアの激情
3. それぞれの乾杯で繋がる世界
4. 伏線のポッポヘジュセヨ
5. 森の人の恩返し
6. ジープが停まる理由
7. Monster Monkey Morning 
8. まるまるこのもり
9. 虎とか豹とか虎とか
10. 熱帯猿紀行
11. ジュラシック・リバー・クルーズ
12. クルーズ拒まず、サルを追う
13. 真っ暗闇に漕ぎ出して
14. 真っ暗闇を抜け出して
15. おはようボルネオ
16. 花束を君に








 というわけでボルネオ編。今年は四国行ったり沖縄行ったりと遠征続きたったが、ついにそれに加えて大きな海外遠征である 【 ボルネオ遠征 】 を決行。正直、今年はお金の出費がえげつないのだが、後先を考えると行ける時に行かなくては後悔するなという思いで、大奮発の2016年でございます。
 今回は大学時代の友人であるルンチョロサンとの男二人旅。彼は2つ下の後輩で共に両棲類・爬虫類を追いかけた両爬屋の同志であり、在籍期間は被らなかったが同じ研究室にも所属していた、いわば嗜好の似た生き物屋なのである。
 一眼レフが同じ PENTAX だというのは知っていたが、羽田空港で待ち合わせた際にどちらも黒色の [ mont - bell GALENA PACK 30 ] を行動用のザックとして背負っていたのには笑ったし、夜のフィールドで気づいたが懐中電灯も [ Super Fire ] の同じ型だったという衝撃の事実。

 同じ一眼レフを携え、同じザックを背負い、同じ懐中電灯を振り回すその2人の姿は、些か怪しげなカップルに見えなくもないが、まぁ嗜好が似れば装備も似るのか、なかなかない面白体験をさせてもらった。ただ私に欠けている絵心というのも彼は持ち合せており、昔紹介した絵も実は彼の作品である。そこは持ち合わせてない部分なので純粋に尊敬するし、羨ましくも思う。


 そんなルンチョロサンとはお盆時期の深夜の羽田空港で待ち合わせ。私は仕事の都合上、休める時期が結構限定的なので、長期休暇を誰かと合わせて旅をするというのが中々に難しかったのだが、今年は曜日の回りも良く6連休を取得でき、なおかつそのピンポイントの日程にルンチョロサンも合わせられるということで今回の旅は決まった。かねてより憧れていたボルネオなので少しでも長く滞在するために、仕事終わりの深夜出発でLCCを乗り継いでボルネオ入りする旅程だ。

 フライトは深夜1時発の香港行き。香港到着予定は4時半だが現地時間表記のため時差マイナス1時間を考慮するとおよそ4時間半のフライトなのだが、詰め込んだ仕事疲れと、景気付けに冷蔵庫の奥から引っ張り出してきたバドワイザーの 350 ml 缶を飲みながら空港まで来たおかげで爆睡することができた。 ( バドワイザーを選んだのは、私の 45L バックパックは赤色なので同じ赤で似合うし、バックパッカーがバドワイザー片手に歩いている姿が “ いかにも ” って感じでカッコイイなと単純に思ったからに他ならない。 )


 全行程中この飛行機だけはうまく座席指定ができずバラバラの席に座ってしまった。着陸後、前側にいた私はルンチョロサンが来るまで座席で待ち彼が来た時に機内の通路に出たのだが、そこですごい奇跡的な出来事が起こる。ルンチョロサンの前に入ったその私の前にいた香港人の青年が背負っていたもの、それは前述した私とルンチョロサンが背負っている [ mont - bell GALENA PACK 30 ] の黒色 !! まさかの狭い機内で同じザックが3並びになる奇跡。
 ただでさえルンチョロサンと被る想定外の事態だというのに、それを上回るスリーセブンのような状態に。なんだか今回の旅を占うかのように、良い賽の目が出た気分。

 乗り継ぎで5時間ほどを香港国際空港で過ごさなくてはならないのだが、早朝なのでターミナル内は店がどこもやっていないのでひとまずフードコートで仮眠をとることにした。6時になると場内のエアコンが急激に稼働し始め、仮眠わずか1時間ほどで目が覚めてしまうほどキンキンに。それと同時にガヤガヤと声のデカイ香港人たちが押し寄せてきていよいよ寝ている場合ではなくなったので、とりあえず空港内を散策してみる。




リーパネル
ブルースリー パネル


 偉大なる香港スター、ブルースリーのパネルが展示してあったので観光客よろしく一緒に写真を撮る。複数のパネルがコマ送り状になっているため、途中途中で変な顔のブルースリーがあるのでそのパネルで写真撮影してきゃっきゃきゃっきゃしていたのだが、早朝の香港はずいぶんと現代的なようで、みんな冷ややかな視線を一度はこちらに向けるものの、すぐにスマホへと目を移し何事もなかったように、バカ騒ぎしている我々の横をスタスタと素通りしていく。あぁ、どの国に行っても現代ではこれがリアルな反応なんだろうなぁと思いながら、途中で他の観光客がブルースリーと写真を撮ることなく、ボクらの撮り合いっこは終わった。


リー
ブルースリー


 帰国後すぐに載せたボルネオ組写真で、 「 なんでブルースリー ? 」 と思われた方も多かっただろうが、コレでございます。やはり予告編っぽく期待を持たせるような写真をたくさん羅列したかったわけだけど、スタイリッシュすぎるのもそれはそれで恥ずかしいので緩衝材として香港が生んだ大スターを使わせていただきました。
 一通り遊んでいるといよいよ店が開き始めたので、朝食をとることにする。両替してもここでちょろっと使うくらいなので、わずか 1,000 円を 71.1 HK$ に両替し ( 当時レートで 0.0711 HK$ / 円 ) 、チャイナレストランへ。




香港流モーニングセット
香港流モーニングセット


 カレー風味の揚げ豚肉入りヌードルに、なんとトースト・スパム・ウインナーとドリンクがつく謎の食い合わせ。香港の忙しいビジネスマンたちがささっと食えるもんなんだろう。これで 40 HK$ 、まぁ日本とそう変わらない感じ。
 味は想像通りでうまいし、さらっと食べられる。食後のシメでキリっとアイスコーヒーを飲みたかったのだが、あまあまのコーヒーだった。 ( それはそれでおいしかったのだけれども。 )



 香港国際空港はかなり綺麗な施設であり、かつ近代的な設備でもあった。出国ロビーへ向かうには、まずイミグレーションを通過した後に、空港内を走る専用の地下鉄を利用して搭乗口近くのプラットホームまで向かう。車内も驚くほどに冷房が効いており、車内で掴まる金属製の手すりは舌をくっつけたら離れなくなるんじゃないかってくらいキンキンになっていたので、もし今後利用される方 ( 特に女性の方 ) は注意してくだされ。よくアジアの旅行雑誌なんかにもクーラーの効き過ぎが指摘されているが、想像よりも寒い、冷蔵庫かってくらい寒い、ので薄手の上着ではなくちゃんとした上着が必要かと。


 えっ、こんななんちゃってトラベル通信はいらないって ?


 読者の大半を占めるであろう女性ファンのためにも、たまにはこういうプチ情報も発信しなけらばならないと思うわけですよ。 『 両爬好き ・ 下ネタ好き 』 のモノ好きな読者なんてのは数%なんだから、ふむふむと読み進めてくだされ。




 そして香港からのフライト3時間を経てようやくボルネオ島の玄関口 コタキナバルに到着する。 [ 香港 - コタキナバル ] 間はエアアジアというアジア地域では大きな航空会社を利用したのだが、ここのCAさんがすごい。
 ネットでも話題になっているがなかなかにセクシーなCAさん揃いの航空会社で、真っ赤なジャケットに真っ赤なタイトスカートを身に付けており、スタイル抜群な上に顔立ちも整っていて、 「 こりゃあ、見た目採用だな 」 ってな様相。
 現に待合ロビーで搭乗を待ちながら、チラチラとCAさんの様子を窺ってみると、ミランダーカー似のCAさんがいるではないか。 「 こりゃあオレのジャンボジェットも急上昇だぜ 」 ってな具合にワクワクしながら飛行機に乗り込んだわけだけども、我々の座席エリアはミランダが担当ではなく、スタイル抜群のボン ・ キュッ ・ ボンだが顔面ハイパー厚化粧の “ 偽ミランダ ” の縄張りであった。
 まぁそりゃあ全員が全員、美女ってわけはないだわさ。ただなんでオレらんとこなのよって話。おかげで一気に急降下、ただただ眠る3時間となったのである。


 んでこの航空会社がすごいのか彼女がすごいのかわからないが、コタキナバル空港に着陸してシートベルト着用のランプが消える前に、あの “ 偽ミランダ ” が、 「 プスーーッ 」 という音を立てながら後ろからツカツカと真ん中の通路を歩いてきたのだ。見るとビニール手袋をはめた手に消臭プレーを持ち、座席上部にある荷物入れのところにその白い煙を勢いよく噴出しながら全ての席を回っているのである。
 まぁ我々が飛行機を降りた後にやるならばクリーニングの一環であろうし全く構わないが、まだシートベルトを着用し皆が座っているにも関わらずにモクモクと煙を立てるのはいかがなものかと。 ( それも火災報知機とかが誤作動しそうなくらい機内に充満させて )

 ただ、私が腹を立てたのはそんなことではない。

 あの “ 偽ミランダ ” がドヤ顔でモデル歩きをしながらスプレーを噴射し折り返してきたことに怒り心頭である。スタイルが良いだけに KGC ( コタキナバル ・ ガールズ ・ コレクション ) かと思ったわ !!



 そんな怒りを抱きながらの念願のマレーシア入国。ボルネオ島には3つの国 ( マレーシア ・ インドネシア ・ ブルネイ ) が存在するのだが、今回は北側のマレーシア領を旅する。
 ただ我々が目指すのは原生林の奥にある宿であるため、ここからさらに国内線へと乗り継ぎがあるので、特に行動する間もなく昼食。香港でモーニングセットを食べたばかりだったので軽くサンドイッチを頬張り、書店でボルネオの蘭図鑑とボルネオの地図を購入して時間をつぶす。



マレーシア航空
飛行機 ( マレーシア航空 )


 国内線は小型の機体。飛行場に出ると外の空気はもう熱帯のそれであり、ムワッとしているのだが期待に満ち溢れているのでそれも心地よく感じてしまうほど。1時間のフライトだったが、LCCの狭い機内の乗り継ぎ続きだったために疲労が溜まっていて、ロクに動いていないのに若干足がお疲れ気味に。短足の私でこれなのだから、足の長い方はさぞ大変だろう。


 合計 8 時間半におよぶフライトと、 7 時間半の待ち時間を経てようやく辿り着いたラハダト空港。これで空路は終わりである。ここから更に迎えの車に揺られて悪路を進むこと1時間半、ようやく宿に到着した。








ウェルカムドリンク
ウェルカムドリンク


 着くとまず柑橘系の爽やかな味に、疲れた体が癒やされる塩気のある梅干しを入れたウェルカムドリンクをいただき、宿の説明を女性スタッフのオリビアからゆっくりとした英語で伝えられる。食事の時間や宿のルールを聞き、ルームナンバー “ 7 ” の部屋へと案内されると、ルンチョロサンが 「 お、ラッキー7 」 と小学生みたいなことを言い出したが、オリビアも嬉しそうに 「 Yeah , lucky 7 !! 」 と同調してくれていたので、まぁ良しとしよう。
 部屋の各設備の使い方もオリビアが細かく説明してくれて、最後に先程説明した夕食の時間をアホそうな我々がちゃんと覚えているか確かめるために、 「 夕食の時間は何時からだっけ ? 」 と尋ねてくるので、 「 7時っ ! 」 と答えた後に続けざまに 「 ルームナンバーはラッキー 7 。 夕食の時間は ? 」 と返すと、2拍くらいおいて 「 .. Lucky 7 !!  Yeaaah !! 」 と3人でハモってゲラゲラ笑った。
 老舗旅館で女将にしっぽり挨拶されるのも良いのだが、こういうラフな文化も素敵やね。やはり海外に旅へ出るならば、現地にいる方とは仲良くなりたいし、いろんな文化にも触れてみたい。そういう意味ではある程度オープンに接していく必要があるため、そこらへんのコミュニケーション能力の高いルンチョロサンは旅の相棒としてはとても心強い。私も台湾では香腸 ( ソーセージ ) 屋の方々と仲良くさせてもらったのもあって、こういうタイプの旅は大好きでたまらない。


ルームナンバー7
ルームナンバー ラッキー7


 部屋はシンプルでベッド2つにシャワートイレとファンがついた簡素な造り。エアコンはないが陽が落ちてからはファンを回していれば気にならないし、シャワーは温水も出るのでまずまずの宿。
 アジアの旅行記なんかを読み漁っていると、エアコンもファンもなくてキツイとか、水シャワーしか出なくてツライとか目にしていたのだが、そういうのに比べたら全然豪華。そもそも去年の台湾は車中泊だったので、横になって寝られるだけで遥かに贅沢である。




 ほぼ1日を費やしての移動となり、これが案外ヘトヘトにさせるものだったのだが、ようやく重い荷を解くことができた上にここはボルネオ。夕食まで少ししか時間はなかったが、夕方宿の周囲を散策する欲求を止められなかった。


テングスケバの仲間
テングスケバの一種 Dictyophara sp.


 オキナワテングスケバD. okinawaensis に近い種だと思われる。胸部の模様の入り方や翅にある黒点などが良く似ているが、オキナワテングスケバほど天狗の鼻は長くないようだ。ただこの属の虫は種類も多いので、なかなか種同定は難しい。



コメツキムシの仲間
コメツキムシの仲間 Elateridae gen. sp.


 大きめのコメツキも。私が今まで見たコメツキで例えるならばオオナガコメツキOrthostethus sieboldi くらいのサイズで、胸部に2つの黄色い斑点があった。
 まぁ細かい差異を見ていけばテングスケバもコメツキも面白いんだろうが、まだまだ未熟な私には沖縄と同列くらいの 「 おぉ 」 という感動。まだ熱帯雨林の奇抜な虫に出会った感じではない。



 湿地でやたらカエルが鳴いているも全然どこにいるかわからず、なおかつ近づいても永遠鳴き続ける余裕っぷりに腹が立つ。そうこうしているうちにオリビアと交わしたラッキーな時間が迫ってきたために撤退。




コノハムシの仲間
コノハムシの一種 Phyllium sp.


 食堂は窓もないところで、テラスといえばテラス、屋根のある屋外みたいな場所だったので、ライトにおびき寄せられて虫たちが飛来する。先に食堂に来ていたフランス人家族のダディが、ホオグロヤモリHemidactylus frenatus を熱心に見ていた我々に向かって 「 あそこに良いのがいるぜ 」 と教えてくれたのがこのコノハムシ。
  Oh , ようやく奇抜なヤツのお出ましだ。こんな柱について味気ない写真だが、森の中にいるこの虫を見つけ出せといわれても一筋縄では見つけられないなと、実物をみてまざまざと思い知らされる。それほどまでに精巧に創り込まれており、微妙に葉の端が枯れるような茶色い模様まで再現しているのがにくい。




夕食
夕食


 そしてメシの時間、ラッキー7 。ビュッフェスタイルといえば聞こえは良いのだが、メニューはこの一皿に載っているわずか4品 ( タイ米も入れてなのでおかずは3品 ) しかないため、どちらかというと給食の配給的なレパートリー。
 ただ味はうまい。チキンのトマト煮と中華風牛肉炒めに、野菜炒め。これまで移動の合間にチマチマと食べていたのでようやくのしっかりしたご飯に舌鼓を打って栄養補給。


 そしてこの後、念願のボルネオでのナイトハイクである。このために時間を削減できる深夜発のLCC乗り継ぎをしたのである。直行便では楽に行けるものの、便も少ないので結局初日は宿に着いて寝るだけになってしまう。
 なので時間優先の乗り継ぎ作戦で “ 偽ミランダ ” の猛攻にも耐えたのである。




 さぁさぁ、これから冒険の始まりだ。










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