月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 鳥類  

既視感のオアシス

~ 麗しの島、台湾の旅 ~
1. 小汚いバックパッカーとダーティー兄ちゃん
2. トカゲたちの異なる境界線
3. 極彩色 Richly colored
4. 翡翠の純心
5. 蝦蟇が来たりて、夜は更ける
6. 翡翠の邪心
7. 谷を渡って飾り付け
8. 木登り蜥蜴の陰と陽
9. 至高のグルメ
10. 色とりどりの花咲き誇る
11. 斑蛇の明と暗
12. 既視感のオアシス
13. 蓮池や 咲いては消える 亀の華
14. 鼻先蛙は蛇の気配
15. モノクロームの鎮魂歌
16. 最終夜の晩餐
17. 老人と湯


 3日目の朝も晴天に恵まれたのは、我々の日頃の行いが良いという表れだろうか。旅の前後日では台風が発生し、幾度となくその通り道には台湾があった。
 それでも運良く回避できたのはありがたい限りで、特に3日目の午前中はTOGUくんたっての希望である探鳥地に向かう予定だったので、この晴天は非常に重要なものであった。


  「 都会のオアシス 」 ----- まさにその言葉がぴったりの楽園、それが “ 台北植物園 ” 。高層ビルが立ち並ぶ台北市内にポツリと穴を空けたように存在する緑地公園のようなところで、約8ヘクタールほどの広さに様々な植物が植えられ、それにつられるようにして台湾の野鳥がやってくるオアシスのような場所である。台湾を訪れる日本人バーダーのほとんどがここで鳥見をすると言っても過言ではないほど有名な探鳥地らしく、ブログでもよくここについてのレビューを散見するし台北市内からの交通の便が良いことから、たしかにそれは頷ける。
 植物園というよりかは自然公園という趣があり、早朝から地元の方も多く訪れていて、新聞を読みふける人、ラジオに耳を傾ける人、太極拳に勤しむ人、朝飯をかき込む人、みんなそれぞれの朝を堪能していた。中でも驚いたのが、御年配の方々8人くらいで 『 青い山脈 』 を歌っていたこと。 「 んっ !? どこかで聞いたことのあるメロディだなぁ 」 と耳を傾けてみると、確かにそれは中国語ではあるけど青い山脈であった。かつて日本だった地である台湾。そんな時代に根付いたものかとその時は思ったが、それならば日本語の歌詞でも良さそうなもの。
 帰って調べてみると、青い山脈は日本の統治が終わってから4年も後に世に出た曲なので、これは新たに台湾に入ってきた日本の歌ということのようだ。台湾の歌手もカバーしており中国名で 『 青色的山脈 』 というらしい。中国語で聴いてもやはり良い歌だ、またもや台湾で日本を感じさせられた。



台北植物園
台北植物園と台湾的鳥見風景


 これまた日本かと思わせる光景。蓮池にゴイサギNycticorax nycticorax やバンGallinula chloropus 、コサギEgretta garzetta なんかがいて、それを Canon やら Nikon の望遠レンズでバーダーが撮影していて。なんら日本とは変わらぬ光景に既視感を覚える。




ハス
ハス Nelumbo nucifera


 台湾のハスが蓮池に咲き乱れる。都会にある憩いの場のようで、蓮池を眺めに散歩しに来る方も多いことから、日本でいう上野の不忍池のような印象を受ける。あちらも都会の真ん中に突如として現れ、蓮池を囲って人々が散歩しているので、情景として重なる部分がとにかく多い。それであの台湾バーダーたちを見たら、もうここが台北植物園なのか不忍池なのか判断がつかなくなりそうだ。




ヒメメジロ
メジロ Zosterops japonicus


 台湾のメジロは日本の基亜種メジロZ. j. japonicus やリュウキュウメジロZ. j. loochooensis と異なりヒメメジロZ. j. simplex という別亜種らしいのだが、素人には何のこっちゃかわからない。基亜種と比べれば、胸部の赤みがなく灰白色していることで違いは見出せるが、リュウキュウメジロとの識別は難しい。なにより基亜種とヒメメジロの中間がリュウキュウメジロなので、目の前の個体がヒメメジロ寄りのリュウキュウメジロなのか、リュウキュウメジロ寄りのヒメメジロなのかはよくわからない。
 地域的にはヒメメジロなんだろうが、この手の鳥は愛玩動物として飼育されていて、特に日本なんかでは中国の個体を輸入したり放ったりなどという噂があるので、地域で亜種を判別するのは危なげである。
 密猟などを防止するため、メジロの亜種を識別できるよう 【 メジロZosterops japonicus 識別マニュアル 】 というのを環境省のホームページ上で閲覧することができる。今回同定するにあたりこの資料を見てみたのだが、やはり亜種までの同定は捕まえないと厳しい。リュウキュウメジロとヒメメジロは跗蹠の長さを見なければならないようで、今回はわからんとです。

 ちなみに上記の識別マニュアルで正誤表に載っていない誤りを発見してしまったので、仕事が落ち着いたら環境省様に連絡してみようかな。せっかく素晴らしいマニュアルを公開しているのだし、少しでも正確な情報が流用できれば。




ズグロミゾゴイ
ズグロミゾゴイ Gorsachius melanolophus


 公園を我が物顔で蹂躙する恐竜、ズグロミゾゴイ。やはりカッコ良くて大好きな鳥だから、公園内で近い距離で見られるのは嬉しい。
 ここ台北植物園では野生下のズグロミゾゴイが見やすいため、多くの日本人バーダーが訪れており、西表島などで出会う前に台湾で目にする人も少なくないのではないだろうか。近くでミミズを掘ってる本種を見られるのも面白いが、やはり西表島などの原生林の中、下には小川が流れるせり出した枝にとまっている本種に出くわし、気づかれた時の緊張感と高揚感で味わう飛び立つまでの僅かな出会いもそれはそれで素晴らしい。




ズグロミゾゴイ
ズグロミゾゴイ 幼鳥


 幼鳥もいた。公園内にこんな鳥がヒョコヒョコと歩いているなんて、台北市民が羨ましい。これなら朝の散歩も楽しいんだろうなぁ。
 パーク内にこんな生き物がいるとは、まさにジュラシックワールドではないか。こいつらはジュラシック成分が多めなので、大好きすぎる。写真の奥に緑の配管が写っていても、それはそれで雰囲気が出ていて好き。西表島でみた個体も怪我をして飛べなかったが、それでも瞳には力強さがあってたくましかった。






 都会の真ん中でカラフルな鳥に出会えるとは思いもよらなかった。なんとここでもタイワンゴシキドリMegalaima nuchalis に出会えたのだ。他にもシキチョウCopsychus saularis ・タイワンオナガDendrocitta formosae など、様々な鳥たちが癒やしを求めに都会のオアシスへと導かれていた。
 本当に信じられないような都会のオアシスだった。




カノコバト
カノコバト Streptopelia chinensis


 ハトみたくポテポテ歩いて公園を散策した。晴天で気持ちよく、公園とハトというのはとってもピースフル。ガツガツ生き物を探しまくってた私にとっては、ちょっとした休息のような、居心地の良いオアシスであった。
 こんな日があっても良いね。






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