月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 両生類  

色とりどりの花咲き誇る

~ 麗しの島、台湾の旅 ~
1. 小汚いバックパッカーとダーティー兄ちゃん
2. トカゲたちの異なる境界線
3. 極彩色 Richly colored
4. 翡翠の純心
5. 蝦蟇が来たりて、夜は更ける
6. 翡翠の邪心
7. 谷を渡って飾り付け
8. 木登り蜥蜴の陰と陽
9. 至高のグルメ
10. 色とりどりの花咲き誇る
11. 斑蛇の明と暗
12. 既視感のオアシス
13. 蓮池や 咲いては消える 亀の華
14. 鼻先蛙は蛇の気配
15. モノクロームの鎮魂歌
16. 最終夜の晩餐
17. 老人と湯



スウィンホーハナサキガエル
スウィンホーハナサキガエル Odorrana swinhoana


 夜中、台湾の山中を車で走っていると、よく姿を現すのがこのカエル。属名をみればわかるように、本種は日本に生息するハナサキガエルO. narina やアマミハナサキガエルO. amamiensis などに近縁なニオイガエルの仲間で、琉球列島の地史や系統関係の話でよく登場するカエルである。

 遭遇の仕方としては、沖縄本島でのハナサキガエルみたいな感じで、夜に車を走らせているとポコポコ路上に出てきている。林道を歩けば小さな沢付近の湿度が高いところでよく見つかり、ジャンプの能力は高いがオオハナサキガエルO. supranarina ほどの跳躍力ではないので、シチュエーションが悪くなければ捕獲はそこまで難しくない。
 そういう意味でもやはりハナサキガエルに近い印象である。


スウィンホーハナサキガエル
スウィンホーハナサキガエル


 出会い方としてはハナサキガエルに似るが、系統的にはコガタハナサキガエルO. utsunomiyaorum に近縁らしい。日本と台湾のハナサキガエル類の起源としては、琉球列島に生息する4種にスウィンホーハナサキを加えた5種の祖先種が、台湾を通じて琉球列島へと分布を広げ、まず南北で分化したようである。そこからさらに南側でコガタハナサキとスウィンホーハナサキが、北側でハナサキ+アマミハナサキの祖先種とオオハナサキが分化したという。
 その後、オオハナサキが八重山に侵入したことで現在のように八重山諸島にはハナサキガエル類が2種生息する。大きな種が後から入ってきたことにより体サイズは二極化し、コガタハナサキはより小さく、オオハナサキはより大きくなることでそれぞれのニッチを獲得して共存に至るというわけだ。この手の話は島などの隔離された環境下では起こりやすく、爬虫類でいえば同じ八重山で、イシガキトカゲPlestiodon stimpsonii とキシノウエトカゲP. kishinouyei もその関係にあたるように、いろいろな生物群で起こり得る分化のしかたである。



スウィンホーハナサキガエル
スウィンホーハナサキガエル


 日本のハナサキガエル類と同様色彩変異はバリエーションに富んでいて、1枚目の黄色味のある個体や2枚目の茶褐色の個体のような色彩がよく見られ、あとは個体差で緑色の地衣状紋が多寡はあれど入る。しかしたまにこの個体のようにベタ塗りの緑色の個体に出くわすことも少なくない。仲間内で呼称しているいわゆる “ サビ入り ” 個体だ。
 よく目にするサビ入りは体側線と体側線の間の背面にベタっと緑が入る個体が多いのだが、この個体に関してはそれを越えて横っ腹も緑色になっているのでまるで別種のようである。ただ特別珍しいというわけでもなく、分母が大きいためかそこまで少なくなかった。でもやっぱりサビ入り個体を見つけるとなんだか嬉しくなるのは日本も台湾も同じである。



 本種は毎晩見かけるほど数の多いカエルで、今回の旅で最も目にしたカエルであり馴染みのカエルとなった。色彩にバリエーションが多いので見ていて飽きず、また見慣れてくると遠目でライトを当てた瞬間に 「 あ、ハナサキだ 」 とわかるようになってくるのは沖縄での体験と同じである。やっぱりハナサキ姿勢をしているんだな。
 これだけ数が多いのだから、彼らはきっと良い餌資源になっているのだろうとも感じさせられた。そんな背景を想像しながら、どんなやつらがこれから現れるかワクワクしながら2日目の夜はどんどん更けていく。









スウィンホーハナサキガエル
スウィンホーハナサキガエル




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