月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 爬虫類  

翡翠の純心

~ 麗しの島、台湾の旅 ~
1. 小汚いバックパッカーとダーティー兄ちゃん
2. トカゲたちの異なる境界線
3. 極彩色 Richly colored
4. 翡翠の純心
5. 蝦蟇が来たりて、夜は更ける
6. 翡翠の邪心
7. 谷を渡って飾り付け
8. 木登り蜥蜴の陰と陽
9. 至高のグルメ
10. 色とりどりの花咲き誇る
11. 斑蛇の明と暗
12. 既視感のオアシス
13. 蓮池や 咲いては消える 亀の華
14. 鼻先蛙は蛇の気配
15. モノクロームの鎮魂歌
16. 最終夜の晩餐
17. 老人と湯




 夜の帳が下りてきたので、一度陽明山を後にして台北市内に晩飯調達。市内に下っていくにつれて道路を走る車とバイクの数は瞬く間に増加していき、市街地まで出てくると昼間のそれとは比べ物にならないほどの濁流となっていた。帰宅ラッシュと重なった絡みで、まるで1匹の大蛇のようなバイクの列が縦横無人にすり抜けていき、台北市内の飲食店への侵入を拒んだ。
 この時はTOGUくん運転だったが、ガンガン横入りしてくる車やバイクにイラつきはしていたものの適応は早く、左ハンドルのコツと台湾人の習性を掴んで難なく運転していった。しかし台北市内は非常に駐車場が少なく、かつ路上駐車の文化なのでほとんど止められない状況で、小一時間ほど市内をグルグル回ってみたが入れそうなところが全くなかった。人がごった返す台北の夜市にはいくつもの旨そうな屋台が軒を連ねて栄えていたが、到底入れそうな場所もなく、結局それを横目に諦めて陽明山に戻ることを決めた。
 今度台北市内を訪れるときは、少し郊外の駅などに車を置いて、電車やバスで台北市内を散策したほうが良さそうだ。そうすれば濁流に呑み込まれずに、安心して晩飯にありつけるはず。

 仕方ないので再度陽明山にナビをセットし直し、賑やかな台北を空腹で後にする。ナビは日本語対応のものを借りられたので、馴染みある日本語が機械的な女性の声だとしても聞けるのはありがたかった。ただナビ子ちゃんの 「 U ターンしてください 」 という指示に従ったのに、した途端にもう一度 「 “ できるだけ ” U ターンしてください 」 という無茶苦茶な要望には我々も困惑した。 「 そのままの道で合ってたんじゃないか !? 」 しかも間違えに気がついたからなのか “ できるだけ ” ってなんやねん、その申し訳ない感じ。そんな気遣いができる機能まで搭載されているとは、日本人の心情をよくわかってるじゃないか。それを聞いたときは3人で 「 はぁ? 」 となったが、 “ できるだけ ” がついてなかったらただただ憤怒していただろうに、その5文字をつけ足されるだけで全然受ける印象が違う。改めて日本語の細やかな表現に感動するし、なんだかナビ子ちゃんとはうまくやっていけそうな気がした。 ( いやしてないか。 )

 結局晩飯は時間もなくなってしまったので陽明山に向かう途中のセブンイレブンで購入。グルメも楽しみたいが、夜の散策時間もたっぷり欲しいので仕方あるまい。




乳加
乳加


 台湾のあま~いドリンク。パッケージにある花生巧克力とは、 【 花生 : ピーナッツ  巧克力 : チョコレート 】 という意味で、スニッカーズみたいなお菓子で乳加というのがあり、それをドリンクにしてしまったもの。見るからに激甘で味も容易に想像できるものだが、せっかく知らない国に来たので面白そうなのにはチャレンジしたい。
 もちろん乳加というお菓子も、ピーナッツチョコ味というのも、現地ではわからず今になって調べてわかったことだが、当時は 「 コレ絶対こんな味だ 」 という確信のもと購入。飲んでみるとまさに予想通りの味で、チョコボールのピーナッツ味のドリンクといった感じだ。想定していた味なので、一緒に購入した菓子パンとベストマッチ。やはり旅はこういうのが楽しいなぁと思いながら、昼間撮った写真を激甘ドリンク片手に整理する。



タイワンアオヘビ
タイワンアオヘビ Cyclophiops major


 夕方、駐車場の裏側にある林にて、トタンをめくったら出てきた個体。見た瞬間、 「 緑のヘビ ・・・ どっちだ !? 」 と身構える。台北地域には緑色のヘビが2種いて、無毒である写真のタイワンアオヘビと、被害件数トップを誇る有毒ヘビのタイワンアオハブViridovipera stejnegeri stejnegeri の二択で迷いが生じていた。 ( ちなみに南東部まで足を延ばせば、スジメアオナメラRhadinophis frenatum という樹上性の美しい種もいる )
 迷っている間にその緑色のヘビはするりと逃げ出し、まだ識別できていないのでおっかなびっくりで手出しができないままオブジェクトを退かしながら追いかける。動きが遅くなればキールの質感だったり頭部の形態でどちらかわかるのでようやくアオヘビだと確信でき、2人がかりでようやく捕まえられた。


 背面は日本にいるリュウキュウアオヘビC. semicarinatus よりも明るい緑色でパッと見は鮮やかだが、腹面は薄い黄緑色なので全体的に落ち着いた雰囲気を醸し出している。リュウキュウアオヘビは派手な黄色い腹面なのでメリハリがあってインパクトがある。 ( 参考記事 : 1. 2. )
 性格は温和なようで咬蛇姿勢はとらずに逃げの一手、そういうところは距離的にも近いサキシマアオヘビC. herminae によく似る。

 ただ日本の2種ではあまり見かけないのだが、本種は夜間の休息の際は樹上で休むようである。



タイワンアオヘビ
タイワンアオヘビ


 別の個体だが、夜間フィールディングしている最中に、頭上7, 8 m くらいの細い枝先で休んでいるのを見つけた。おそらく日本とは違って地面での休息が危険なのだろう。ヒャッポダDeinagkistrodon acutus だったりタイワンアマガサBungarus multicinctus だったり、捕食者ひしめく台湾では容易に寝られないのかもしれない。
 そういった近縁種間の違いを見出すのって面白い。きっとその背景を想像するのが楽しいからで、そういった妄想をするには材料の知識をもっともっと学んで身に付けなければならない。そういう意味では両爬に留まらずに、もっと広い知識を吸収する必要がありそうだ。





タイワンアオヘビ
タイワンアオヘビ


 横顔は穏やかで極めて愛らしい。日本の種に比べて吻が短く、小顔なためにそう映るのかもしれない。枯葉の上では目立ちすぎるその翡翠色の体躯も、するりするりと台湾の亜熱帯林に帰っていくと、濃い緑の森に溶けていくようにあっという間にわからなくなってしまった。
 さぁ今度は僕らの番だ。いかにしてその土地の緑に溶け込めるかで、生き物の出は違ってくる。森の呼吸を感じて、地面の鼓動を聞いて、まだ見ぬ生き物を求めてフィールドを駆け巡ろう。これから夜の散策だ。









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