月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 両生類  

雨待ちcloudy


 梅雨がやってくる。
 アオガエルがやってくる。


 雨につられてカエルがやってくるのか。
 はたまたカエルが雨をつれてやってくるのか。





卵塊
モリアオガエル Rhacophorus arboreus の卵塊


 見上げればもうすぐ夏を予感させるような雲と、木々にはふわふわの卵塊。モリアオガエルたちは捕食者に狙われぬよう卵を樹に産み付け、その泡の中で発生が進んでオタマジャクシたちは成長する。そして幾度かの雨で卵塊の粘着性も失われ、真下にある水辺へと溶けて落ちてゆく。オタマジャクシの冒険がスタートする。

 そんな生態を知ってか、捕食者たちも策を講じる。あるヘビは、水場にせり出した卵塊を産みつけそうな樹の枝先に先回りして待ち伏せ、鳴いているオスやペアになったカエルたちを次々に呑み込んでゆく。あるイモリは、卵塊が産み付けられた真下の水辺に集まり、降ってくる卵やオタマジャクシを天からの恵みのように貪りつく。





アカハライモリ
卵塊に貪りつくアカハライモリ Cynops pyrrhogaster


 ちぎれた卵塊片が水面に浮かんでいて、わずかに動いているように見える。よく目を凝らすと、卵塊に頭を突っ込んでいるイモリの姿があった。彼らにとっては、またとないチャンス、かなり栄養価の高い食事であろう。この卵塊はまだ産んだばかりだと思われ、卵の発生はまだまだである。しかし、ひとたびちぎれて水面に落ちればイモリの餌食。

 運も実力のうちってやつだ。

 ・うまく成長してから解き放たれるやつ。
 ・水中に入ってイモリに食われなかったやつ。
 ・水が干上がらず、餌資源がわずかでも共食いで勝ち残ったやつ。
 ・変態して上陸し、夏の猛暑も冬の寒波も乗りきったやつ。
 ・サギやヘビ、イタチなどの猛攻を掻い潜ってきたやつ。
 ・大声で鳴き続けたり、たくさんの卵を作ったりして、異性と出会い子孫を残せるやつ。

 その何千・何万という中の一握りの実力者だけがまたサイクルを回すことができ、新たな生命の生き残りをかけた弱肉強食の舞台が幕開けになる。

 だから抗え。 そして生き残れ。





モリアオガエル
モリアオガエル


 だから私は、寂しくか細い声で鳴いているあぶれオスを笑ったりなんかしないよ。そんな立派な成体になるのだって、相当の苦労があったはずさ。だから来年がんばれよ、きっと良い出会いに恵まれるさ。帰り道のヘビには気をつけろよ。
 そう願って別れを告げた。


 それでも彼は空に向かってか細く鳴いた。まだメスがやってくると信じて、最後のひと雨を待っているかのように。






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