月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 鳥類  

口笛の上手い人は、キスも上手いらしい

リュウキュウコノハズク
リュウキュウコノハズク Otus elegans


 夜の翼つながりでフクロウを。なんだか春めいていたのに急に冷え込みましたね、今日は。そんな夜はあの暖かい西表島の土地を思い出してコーヒーでも飲むことにしよう。

 夜も夜とて見たい生き物がたくさんいるわけで、西表島では寝ている時間など無いに等しい。とは言っても人間寝ないで活動するにも限界があるし、最高のパフォーマンスを得るためには休息はもちろん必要である。
 その夜はイマイチ成果が挙がらないまま0時を遥か数時間前に過ぎていて、「今日はダメっぽいからひとまず寝るかぁ」とトボトボとキャンプ場に帰ってきた。自分のベースへと重たい足を引きずっていると 「 コホォッ 」 と頭上から呼び止められた。そうリュウキュウコノハズクだ。本州ではなかなかフクロウ類に出会う機会はないのだが、南西諸島では遭遇率が高く、西表島では宿泊するキャンプ場にもよく訪れる愉快なお客なのだ。 「 コホォッ、コホォッ 」 と何度か鳴いているのを聞いていると、不完全燃焼に終わった私を 「 おかえり 」 と慰めてくれているようにも思える・・・、というか、そうしないとやりきれなかった。
 そんな妄想をしていると少し離れた樹上から 「 ニィエッ 」 とネコのような声が響いた。どうやらメスのリュウキュウコノハズクのようだ。きっとオスの 「 コホォッ 」 という呼びかけで近くまで来たのだろう。
 いつもだったらBGM程度にしか思っていなかったリュウコノたちの鳴き声だが、ヘビが不発に終わった夜だったため彼らと遊ぶことを思いついた。学生時代にサークルの合宿で西表島を訪れた際、鳥屋の先輩が口笛で 「 コホォッ 」 というオスの鳴き真似をして、興味を持ったリュウコノが近づいてきたのを思い出したのだ。

 できるだけ唇の隙間を音が鳴る範囲で大きく広げ、なるべく低い音を出すようにして吹く。私の音楽の成績はあまりよろしくないので、どう表現すれば良いか難しいところなのだが、母音で言えば「お」の発音(わからない人は口笛で『あいうえお』と鳴らしてみよう ! )で口笛を吹いてみると案外似た音が出るのだ。動画サイトによくリュウコノの声はアップされているので、聞きながら練習してみてください。結構それっぽい音が出せると思います。

 鳥屋の先輩ほど再現性のある音ではないものの、あながち似てないとも言い切れない音が出たので、狙い通りリュウコノが興味を示して近づいてきた。それも 「 ニィエッ 」 と鳴くメスの方。
 つまり先程いたオスよりも魅力的な声だと思ったのか、わずか2,3mの距離まで。それが上の写真。なんだか “ モテた ” という実感が非常に嬉しかったが、あぶれオスの悲しみを知らない私ではない。まして良いところまでメスを呼び寄せたのに、地上にいる小太りなフクロウにメスを奪われたなんて切なすぎるではないか。そんなオスに配慮して数枚の写真を撮らせてもらって、彼女におやすみを言った。

 なんだか寝る前にほっこりさせてもらった。ただ他のキャンプ場のお客が出歩いていたら、小汚い小太りの男が夜な夜な唇を突き出して木に迫っている奇妙な光景を目撃されただろう。そんな妖怪じみたヤツが同じキャンプ場で見つかったら、恐ろしくて寝られないだろうに。深夜で誰もいなくてよかったなぁと、寝袋に潜り込みながら思った数秒後にはもう夢の中。西表島はキャンプ場ですら楽しい生き物との出会いの場だ。



 あぁ、やっぱり南西諸島は良いなぁ。こう寒いと無性に行きたくなるね、西表島。
 本州でも口笛吹いてたら女の子とか寄って来ないかなぁ。







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