月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 哺乳類  

高架下のミケ

ノラネコ
イエネコ Felis silvestris catus


――― そこはヤツの縄張りだった。
――― オレは知らずに足を踏み入れたらしい。これでも忍び足には自信があったんだけど、腹が減って判断力が鈍っていたようでうっかり風上に立っていたみたいだ。 「 こんなことになるくらいだったら野ネズミの1匹でも食ってから出掛けれゃよかった 」 なんて考えても後の祭りだ、まずはこの状況をどう切り抜けるかだ。
――― 普通のネコならまず気付かないこの距離で、微かな匂いの変化に反応した真ん中の三毛のアイツ。おそらくここらを治めるボスだろう、明らかに周りのヤツらよりも気迫に満ちていて、テリトリーに入ってきたオレから全く目を離さず睨みつけている。
――― 尻尾を巻いて逃げるべきだろうか。でもここで逃げたとしてもヤツの追手にすぐ囲まれて、ボロボロになっちまう。

――― だったらやるのか?? やるのか!?  やれのか!!??

――― 肉球にしまい込んだ鋭い爪、熱を帯びて逆立つ毛、息づかいで静かに温まる牙、オレの身体すべてが戦闘態勢となっていた。近づく距離。手下どもが低く唸り今にも飛び出してきそうだったが、ヤツはそれを制しゆっくりと音も立てずに地面に足をついた。




――― 最後に覚えているのは、眼前に迫ったヤツの冷たい眼と振りかざされた前足、そこからの記憶はない。気がついたのはバケツをひっくり返したような雨音が聞こえて目が覚めたからだ。でもなんでだろう、こんな大雨なのに身体が濡れていないなんて。そうか、オレはヤツに挑んで敗れたんだ。それでこの高架下でぶっ倒れてる。この場所は良いな、こんな大雨だっていうのに濡れないなんて。
――― ケンカには自信があった。これまでいくつものボスを倒しては、そのグループでのさばっていた。でも月日が過ぎると1匹、また1匹と手下が離れて行く。情勢が悪化し別のボスを倒しては、またそのグループを乗っ取る。しかしいくらオレが力をつけようとも、オレの周りには結局誰もいなくなってしまう。

――― そして孤独に腹を空かせ、ほっつき歩いていたらヤツに出くわしたというわけだ。
――― そのヤツは、目を覚ましたオレに気がつくと、フナをこちらに投げた。どうやらオレが腹を空かせているのはお見通しのようだった。高架下だってのに、なぜがオレの頬は濡れていた。
――― どうやらオレはリーダーになり得るほどの力は持っていたが、リーダーになりうる資質を持ち得なかったみたいだ。一からやり直そう。コイツのところで。きっと何かみえてきそうだ。



ノラネコ
イエネコ


 そんなノラネコ青春物語の熱い友情でも妄想してしまうような魅力あるネコだった。普段私は犬猫はあまり撮らないのだが、カントウカンアオイAsarum nipponicum を求めて散策していた公園に、なんとも不良っぽいネコどもを見つけて写真を撮ってしまった。
 まぁ言うまでもなく何かしらのメーターっぽいボックスの上でこちらを睨んでいる三毛猫に惹かれたわけで。どうも私がネコを撮ると、可愛らしく写らない。というか可愛らしくないから写真を撮りたいと思うのかもしれないけど。周りにいるネコはよく見るようなノラネコだが、三毛猫は毛も長く、品種だとメインクイーンみたいな(詳しくないからよくわからんが)感じで気品があった。睨んでる気迫はオオヤマネコLynxs にリンクするものがある。悪そうな不良っぽい顔してるなぁ。
 んでなんか撮っているうちに愛着が沸いてきたから、彼女のことを「高架下のミケ」と呼ぶことにした。あぁ、これで 「 オシャレなカフェでラテアートの写真 」 とか 「 可愛らしい雑貨の写真 」 とか撮り出したら危ないね。そういう典型的なカメラ女子みたいなことを私がやりだしたら止めてください。一応、ハペでやっていくつもりですので・・・
 まさかカメラ女子のようにネコ撮って妄想するようになるとは、恐るべし高架下のミケ。








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