月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 鳥類  

そして今日もきっとあの枯れ木で鳴いている

リュウキュウアオバズク
リュウキュウアオバズク Ninox scutulata totogo 


ホッ、ホー・・・ホッ、ホー・・・


 ヘッドライトと懐中電灯の明かりを頼りに、西表のぬかるむ湿地をゆく。すると近いところから、それも上のほうからフクロウの鳴き声が聞こえてくる。一面だだっ広い湿地だと思っていたが、どうやら1本の枯れ木がポツリとあったようで、どうもそこにフクロウがいるらしい。
 西表島でよく耳にするのが、リュウキュウコノハズクOtus elegans の 「 ホホッ・・・ ホホッ・・・ 」 と少し早口な声なのだが、それとは違ってひとつひとつの音が長く、声質も少し異なっていた。懐中電灯を向けてみると、リュウキュウコノハズクより一回り大きなリュウキュウアオバズクが私に見つかったにも関わらず、全く意に介さない様子で鳴いている。
 
 遮るモノのない広い湿地で、その音は邪魔されることなくゆっくり闇に溶けてゆく。音の塊が消えかかりそうなところで、また新たな音が枯れ木を中心に広がってゆく。きっとこの木は彼のお気に入りのポイントなのだろう。遮るものがなく湿地を一望できるこの枯れ木が、絶好の狩りの場となっているに違いない。まさにベストプレイス。


 アオバズクという和名は青葉の茂る初夏に南から渡ってくることからつけられた名前で、亜種アオバズクN. s. japonica の特性を指す。アオバズクを画像検索するとだいたいが昼間、緑に囲まれた姿が写真に収められていて、いかにも “ アオバズク ” といった写真だ。
 そういう観点からすると私の写真は青葉なんて見当たらない、らしくない写真になっているのかもしれない。しかし亜種リュウキュウアオバズクは留鳥として西表島で暮らしているので、青葉があろうがなかろうがいつもこの島にいる。だから私の中では対比の意味でもリュウキュウアオバズクには枯れ木の方が似合っていると思う。





 そして今日もきっとあの枯れ木で鳴いている。青々とした木々だけが大切な自然じゃない。枯れ木にだってちゃんと役割だってあるし、美しい景観もつくり得る。花咲か爺さんは昔話だけで良いよ。

 そして今日もきっとあの枯れ木で鳴いている。

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