月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 爬虫類  

毒蛇の棲まう黄金郷



先日、深夜のテレビ番組でジャララカBothrops jararaca という毒蛇が出ていた。ブラジルの『 Ilha de Queimada Grande 』という無人島は “ 毒蛇島 ” と呼ばれるところで、海軍と政府の許可がないと上陸できないほど毒蛇密度の高い危険な島のようだ。サンパウロのオヤジは「その島に行ったら95%の確率で死ぬ」とか、もうゲームに出てくる寂れた村の村長みたいなセリフを吐いてやがる。
 その島にわんさかいるのがこのジャララカというわけだ。本種はブラジル南部からアルゼンチンに広く分布するようで、この島の個体群は渡り鳥を食っているらしく、その毒性は非常に強い。
 番組では近縁なアメリカハブ B. sp.はマウスを15秒で仕留めたが、ジャララカはなんと2秒で即死させたという驚異的な強さらしい。






ホンハブ
ホンハブ Protobothrops flavoviridis

 そいつがどうにもホンハブに似ていて、思わずテレビにかじりついていた。番組が終わっても熱が冷め止まず、パソコンカタカタ。


 調べてみるとどうにもテレビで観たヘビはジャララカとは異なるように思えた。島とジャララカの学名で検索をすればそれっぽい個体に行き着くので、島という隔離された環境ゆえにちょっと違うのかなと思っていたが、いろいろ調べてみるとどうやらこの島の毒蛇はB. insularis という別種のヘビだということがわかった。どうやら両種は近縁でinsularis はこの毒蛇島のみに生息するという。
 コモンネームはゴールデン・ランスヘッド・ヴァイパー( golden lancehead viper )で、そのままカタカナで呼ばれているが、本属のヘビをヤジリハブと呼ぶことから直訳してオウゴンヤジリハブとかのほうがカッコイイのではないだろうか。
まぁゴールデン・ランスヘッド・ヴァイパーも十分カッコイイのだが、特に和名がついていないようなら(千石先生や鳥羽先生が既につけているかもしれないが)私はオウゴンヤジリハブを提唱したい。

 もうね、日本の毒蛇が好きな人なら絶対好きだよ、あの顔。ホンハブとかトカラハブPr. tokarensis の体色が淡い個体みたい。というかホンハブやトカラハブが属するProtobothrops という属名自体、ヤジリハブ属Bothrops に対してつけられた属名のようだ。
 マムシ亜科の起源は東アジアで、その中のグループがベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸で進化したのがガラガラヘビCrotalus やヤジリハブらしい。なので【原始の-、最初の-】という意味のproto- をつけてProtobothrops とされている。記載はBothrops が先で、その後アジアのハブはTrimeresurus に分類され、さらにアオハブ類から分離されることで現在ホンハブやタイワンハブが所属するProtobothrops という属ができたようである。


 話が脱線したのでオウゴンヤジリハブに戻す。島と薄い体色からトカラハブやフィリピンの島嶼にいるらしい白いハブ Trimeresurus flavomaculatus mcgregori なんかに共通する特徴を持っていて、結構トカラハブも鳥を食うらしいし、もしもTrimeresurus flavomaculatus mcgregori も鳥を食っているならば(調べてもわからずどうかわからない・・・)、島嶼の鳥喰い毒蛇というのはある程度似てくるのかもしれない。
 鳥は爬虫類や哺乳類とは異なる視覚を持っていて、それに対する対応策のように体色が薄いなら面白いな。伊豆諸島各島のオカダトカゲPlestiodon latiscutatus 幼体の体色パターンが捕食者によって異なるように、鳥喰いの島毒蛇たちもそんなふうになってたらなんて妄想する。鳥にしか狙われない八丈島のオカダトカゲの幼体が胴のストライプも尾の青さも持っていないことから、あながち無くはないんじゃないかと思っている。


 とにかくこのオウゴンヤジリハブにめちゃくちゃそそられる。毒性も強く、密度の高い無人島にしか生息していないというその悪条件が猛烈に冒険心を掻き立てられる。一度で良いから現地で対峙して写真を撮ってみたい。

それには、

 ・許可
 ・手段
 ・資格
 ・契約

が、最低でも必要だろう。まるでHUNTER×HUNTERの【暗黒大陸】を目指すような困難な道のりだ。ましてや5%しか戻って来られないと言うし、毒という“厄災”を持ちかえってしまいそうなリスクもある。でもそこにロマンがあるんじゃないか。
 いつか行ってみたいなぁ、黄金の眠る毒蛇島。





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