月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 爬虫類  

セマルで合わせる “ 島時間 ”

 長い休みを頂くということで日々の業務をだいぶ圧縮していたため、西表島に渡る前日は深夜2時にようやく準備を整えて布団に入ることができた。そして2時間後の4時に起きて羽田の早朝便に乗り込む。ずいぶん短い就寝時間だったので、当然飛行機で残りの睡魔たちを清算する予定だったのだが、隣のいい年したオジサンの香水があまりにキツくて寝るどころではなかったし、窓側だったからCAさんとの距離が遠くて寂しいしで、ぼんやりと外のふわふわした塊を眺めているくらいしかやることがなかった。
 乗り継ぎの那覇空港は場内にいくつもの素敵な洋蘭が配置されており、「う~ん、これこれ!」と、ソムリエがワインをドヤ顔でテイスティングするようにランの香りを楽しんで、鼻に染みついたオジサンの香水の臭いを上書きしていく。さすがにあのアホな感じのアロハシャツは石垣島まで行かないだろうと勝手に決め付け、自分の乗り継ぎ便の座席を探していると、私の座るべき席の隣にはまたしてもあの見覚えのあるアロハ !! 結局いそいそとそいつの隣に座り、せっかくのランの香りがまた上書きされたのだった。

 完全に鼻が犯されたというのに未だ飛行機は離陸しようとしない、おいどうした。どうやら前の方の便でバードストライクがあり、30分ほど足止めを食らうことになったようで、飛行機に缶詰。その間、じわじわと暑くなる機内。
 那覇に着いた時はさすが沖縄という陽気でそれなりに暑かったが、この機内は異常だ。気づいたら汗だくになっていて、おかしいと思い送風口に手をかざしてみると “ なんと熱風 !! ”。どうやら客の誰かが冷房が利き過ぎだと文句を言ったおかげで、空調をいじったら暖房になってしまったらしい。
 CAさんが「調整しようとしたら、おかしくなってしまったんですぅ。」とか言ってるけど、おかしくなっちまうのはこっちだぜ。これはなかなかの地獄だ・・・
 だけどそんなどうしようもないとこが大好きだぜスカイマーク。冷房に戻ったおかげで散々かいた汗が冷えて、最高にCOOLなフライトになりましたよ。そんなこんなで余計な闘いを強いられながらも石垣島へと向かって飛び立った。


 小綺麗になった新石垣空港を散策する暇もなく、急いで港行きのバスに乗り込んだものの、上原港行きのフェリーは海が荒れていたため欠航になっていた。西表島には2つの港があり、欠航になった上原港は私の生活拠点となるキャンプ場がある港なのだが、島の反対側にある大原港へはまだフェリーが出航していた。
 仕方なく大時化でグラグラのフェリーに乗り、送迎バスで上原港まで1時間ほど揺られ、ようやくなんとかしてキャンプ場まで辿り着いたときには陽も傾き始めるころだった。宮古島のときもそうだったが、社会人になって時間が無いってのに、行きはどうもトラブルが付き物だ。



ヤエヤマセマルハコガメ
ヤエヤマセマルハコガメ Cuora flavomarginata evelynae


 キャンプ場に着くと、トロ舟にどこからかやってきたヤエヤマセマルハコガメが、古びた温泉宿の番頭さんがゆっくりと挨拶するように、のっそり顔をあげて私と目を合わせた。今回の初両爬となったセマルはたびたびこのキャンプ場のトロ舟を訪れていて、最終日にも顔を合わせた長期滞在者であり締めの両爬もセマル(それも同じ個体)だった。なんだかこの個体はとてもゆっくりとした時間軸で生きているような悠然さがあって、今回の旅を占うかのように私の旅はゆっくりとした足取りで西表島を堪能することとなった。
 ここまでのアクセスがうまくいかなくて時間に対してカリカリしていた自分が清められるようで、すっと落ち着きを取り戻して体内時計を “ 島時間 ” へと合わせた。せっかくの一人旅なのだから、ゆったりたっぷりのんびり過ごそう。



ヤエヤマセマルハコガメ
ヤエヤマセマルハコガメ


 今回は初めて夜中にセマルに遭遇した。林道脇をテクテク歩いていて私が駆け寄ると、『カタンッ』とフタをしてしまった。なかなか顔を出したところを写真におさめられずに閉じ籠もってばかりだったかと思うと急にテクテク歩きだし、地面に落ちたイヌビワFicus sp. の実を無心で食べ始めた。


ヤエヤマセマルハコガメ
ヤエヤマセマルハコガメ







 そして写真を撮る時に一番厄介な技がコレ。
ヤエヤマセマルハコガメ
ヤエヤマセマルハコガメ 頭を隠して歩くの術


 これでチャカチャカとゼンマイ式のオモチャみたいになって歩く姿は何とも愛おしい。


 とにかくフリーダムな生き物で、みんなに愛されているセマル。今回はその足並みのようなフリーダムな一人旅でした。





1. 圧倒的生命力に溶けてゆく
2. セマルで合わせる “ 島時間 ”
3. WINGS
4. あめあめふれふれ
5. 待ち人 来たる
6. 川底の大鋏
7. ネズミのいなかったその島で
8. 第二の故郷はいつ帰っても暖かい



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