月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 爬虫類  

黒き瞳



シマヘビ
 その黒き鱗。

  カラスの雨覆のようで、
   センザンコウの体鱗のようで、
    遥か古の竜の逆鱗のようで・・・



 トカゲを求めて箱根外輪山を2山ほどはしごしてみたものの、この日はお天道様のご機嫌がよろしくなかったため曇りがちでトカゲの出があまり良くない。長い道のりを歩いたものの、結局小さい2個体しか見られず、それでいて捕まえられず。
果たして彼らはどちらだったのだろうか・・・
 それでもいくつかトカゲのいそうな場所を巡りながら登山をしたおかげで、今回のフィールディングでは素敵な黒い鱗に出会うことができた。登山道を横切る形で横に迂回する砂利道の林道は、木々に遮られることなく日光が地面に降り注ぐ明るい場所で、曇りの日でも僅かな太陽光が雲間から差しこんでいる。この日のような天気の場合、やはりこういった場所でトカゲを探すのが良い。小さいプレスティオドンPlestiodon がチロチロと動き回るのが見てとれたが、捕まえることは叶わず崖下へと下って行った。
 名残惜しく崖に沿って歩いていたら、ちょうどその縁の部分にヘビがいた。結構こういう状況でヘビを見ることは少なくなくて、獲物が通りやすいのか崖下に逃げ込みやすいのか、なかなかの頻度で崖の縁でヘビを発見することが多い。



シマヘビ
シマヘビ Elaphe quadrivirgata 黒化個体


 それも通称 “ カラスヘビ ” の名を持つシマヘビの黒化個体だったから、トカゲそっちのけである。カラスヘビはそれなりの頻度で現れるようで、とんでもなく珍しい変異というわけではなく稀に出てくるようで、またこのヘビ自体が人の生活圏に近いところに生息していたり、目立つところで活動していることもあって、目撃されることの多い変異だと思う。
 とはいっても私にとって見るのは今回が初めてで、その美しい黒にただただ引き込まれていくばかりであった。背面中央の数列の鱗はキールが目立っていて、それこそ竜の鱗を彷彿させるような力強さがあって、腹面に近い鱗は滑らかで漆塗りのような上品さが漂っている。

 シマヘビの中にカラスヘビ以外にもいろいろバリエーションがあるように、一口にカラスヘビといっても、そのメラニスティックはバリエーションに富む。
 縞に沿ってクリーム色が残る個体。
 斑のスポット状にクリーム色が残る個体。
 唇周辺のみ綺麗な白色が残る個体。
 そして黒一色の真の漆黒、カラスヘビ。

 私が今回出会ったカラスヘビは頭部周辺にクリーム色を多く残し、体鱗は1枚だけクリーム色の鱗をポツポツと散らせた体色であった。またどうやら左目を怪我しているようで、大きく腫れ上がっていたのが心配だった。
 彼らは前の記事で書いたように非常に目が良く、おおよそ視力に頼って獲物を捕まえているのが伺えるのだが、その有能な眼の片方が機能していないのは、彼にとっては大きな痛手であろう。


シマヘビ
シマヘビ 黒化個体

 カラスヘビの特徴としてはやはりこの眼だろう。そしてこの個体もカラスヘビの例に漏れず、吸い込まれそうな漆黒の瞳をしている。あの如何にも噛みついてやるという気迫に満ちた真っ赤な虹彩に鋭い瞳孔、そしてグッと目つきを悪くする下がった眼上板。あの好戦的な眼差しがもっぱらシマヘビを「噛みつきそうだ」と想像させるのだが、カラスヘビのなんと落ち着いた仏面か。
 こんな愛らしいヘビだったとは。体色の変異でこんなにも印象が変わるだなんて、まるで女性のお化粧と同じだな。
 優しそうな眼をしているもんだから、スッと掴んで腕に絡ませ弄くっていたら、シャッとこちらに向かって噛みついて来た。危ない危ない、見た目に騙されていたけど、やはりシマヘビはシマヘビ。相変わらず好戦的だこと。

 やはり女性と同じですねぇ・・・お化粧で美しくなっていても騙されちゃいけませんよぉ。どこまでいっても女性なんです、その内在するモノは。皆さんも気をつけてくださいねぇ。

 えぇっと、何の話でしたっけ。あぁ、カラスヘビね。素晴らしいヘビですよ、カラスヘビ。次は混じりっ気のない真っ黒なシマヘビに会いたいなぁ。
 真っ黒な女性は勘弁ですけど笑


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