月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 草本類  

ウフュイの花

ザゼンソウ
ザゼンソウ Symplocarpus foetidus


 突如できた連休。早い段階で日にちが決まれば久々に南西諸島へと向かっているところだったのだが、思うように航空券が取れず南の島への想いは絶たれた。しかしどこも行かずただ自宅で呆然としているのもアホらしいので、時期も近かったということで少し遠出をしてザゼンソウを探しに行くことにした。うーむ、最近はめっきり山野草ブログと化してきたなぁ笑


 電車を乗り継ぎようやく山に辿り着いたのは正午近くで、重ね着した服がいよいよ煩わしくなってくるほど暖かい春の陽気だった。山間を流れる小さな川にいくつもの更に細い小川が合流していて、その一つを脇目に山へと分けいる。しばらく登ると少し開けた湿地に出て、そこに目当てのザゼンソウがいくつも咲いているのを見つけた。これでようやく遠出してきた甲斐があるというものだ。植物は逃げないのが良い。だからこの楽園を見つけたらすぐに飛びつくのではなく、喜びを噛みしめてカフェオレで一息入れることもできる。スローライフでいいね。
 そしてゆっくり堪能する。時期はちょうど見頃を迎えていたようで、いくつものザゼンソウが仏炎苞を開き、ちょこんと肉穂花序をのぞかせている。ザゼンソウの和名の由来はいくつかあるが、仏炎苞が光背、肉穂花序を座禅を組む僧侶に見立てるという話が1番しっくりくる、というか自分のイメージに合致している。神々しく神秘的で、対面するとありがたい気持ちがこみ上げてくる。小さい株は精霊や妖精のような印象も持ち合わせていて、写真の個体も小川の片隅で肩を寄せ合って咲いているのがなんとも可愛らしい。



ザゼンソウ
ザゼンソウ


 このように青い個体も稀に混ざる。でもやっぱり赤いほうが好きだ。
 この写真を見てわかるように、ザゼンソウの周りの雪が溶けている。このザゼンソウという植物、見た目が奇妙で面白いというだけでなく、実は“発熱する植物”としても注目を浴びている。積雪の中では花を咲かせることはできない、仮にできてもその花粉を運ぶポリネーターと出会えない。そこで彼らは肉穂花序を発熱させ、いち早く雪上に顔を出して、まだ他の競争相手が花を咲かせる前に受粉を終えようという作戦のようだ。まだ積雪の残る場所では、いくつものザゼンソウがボコボコと雪を溶かして突き出していて圧巻である。
 しかしそんな寒いうちに花を咲かせて、果たして運んでくれる生き物はいるのだろうか。これがまたいつものパターンで、マムシグサArisaema にしろカンアオイAsarum にしろ妖しい植物は大抵がキノコバエ Mycetophilidae が関与していて、どうやらこのザゼンソウもそのキノコバエが受粉に携わっているようだ。こうなってくると妖しい植物が好きなのか、キノコバエが好きなのかわからなくなってくるほどだ。むしろ私はキノコバエと同じ嗜好性があるのかもしれない。




 大雪に

  埋もれるなかれ

   座禅草

            月光守宮


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