月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 鳥類  

藪ダイバー

モズ
モズ Lanius bucephalus


 アカガエルの産卵には時期が早かったようで、真冬の田んぼにはまだ氷が張っていてそれどころではなかった。まして行ったのは2週間ほど前だが、ここんとこの豪雪のおかげでしばらく延期だろう。産卵が終わってブヨブヨの卵だけが残された田んぼを眺めるよりも、笑うように鳴く声を聞いたりメスをめぐってメイティングボールを作ったりと、やはり成体を観察したいので出遅れないよう早い時期から出掛けるため、ボウズに終わることが多い。この時期のボウズというのはなかなか厳しい。やはり他の生き物の出があまり良くないから。それでもこの寒い中活動している生き物もいて、むしろこの時期だからこそ、という生活史を持つ生き物もいるわけだ。

 この時期は木々が葉を落としているため、モズの早贄が良く目立つ。もう少ししたらアカガエルが産卵に来るわけだが、彼らは天敵が少ないこの寒い時期をあえて選んでいる。鳴いていれば嫌でも目立ち、メイティングボールなんて言わばビッグハンバーグだ。モズはアカガエルたちにとっては数少ない天敵の1つで、これからはアカガエルの串刺しが散見する時期でもある。
 この日も私と目的が同じだったのか、真冬の田んぼをモズが様子見に来ていた。狙いが一緒ならば結果も同じなわけで、何も跳ねていない田んぼをただただ呆然と眺めるだけである。せっかくなので失敗者同士、遊ぶことにした。
 縄張りを持つモズは藪に潜っては高枝にとまりを繰り返していて、絶妙に位置を変えながら一定の距離を保っていて、藪に潜るたびに「次はどの枝に出てくるんだろう」とワクワクしながら彼の姿を待った。頻繁に枝に出てきては高鳴きをして縄張りを誇示する勇ましいオスは、黒い過眼線が特徴的だ。



 モズといえばオスの過眼線が目立つ鳥だが、この過眼線というのはハクセキレイMotacilla alba lugens やホオジロEmberiza cioides など、比較的多くの鳥類にみられる特徴である。モズの過眼線をぼんやりと眺めていたらある疑問が浮かび上がった。

 「そういえば過眼線の色って黒ばかりな気がする。何か意味があるのだろうか??」

 帰宅後、図鑑を見てみるとやはり過眼線の多くは黒だった。(ビロードキンクロMelanttia fusca など例外はいたが。)偶然古本屋で見つけた「Birds of kenya & Northern Tanzania」というアフリカの鳥類図鑑をめくってみても過眼線は黒ばかりで、ハチクイの仲間なんてほぼ全種において黒い過眼線が入っていた。またアジサシ類などで多くみられるように頭が黒く、それがちょうど過眼線の位置で途切れているパターンや、“キマユ○○”という和名が多いように過眼線はないが目の上下に眉斑や頬線として地色よりも明るい白色や黄色が入るパターンなどが非常に多くの鳥に模様として入っていた。つまり眼とその上下でコントラストをつけているのだ。このパターンが多くの鳥類でみられるということはどうにも生態的に意味があるように思える。
 そう思ってネットで調べてもロクに情報は得られなかったので、勝手に仮説を立てて考察してみる。まぁ誰もが思うだろうが、眼付近の模様なので視覚に影響しているだろう。おそらく黒ということで陽の光を吸収させて眩しくなるのを防いでいるように思える。メジャーリーガーやアメフト選手が目の下に隈のような黒い模様を入れる“アイブラック”と同じような効果で、眼周辺の羽毛の照り返しを防いでいるんではないだろうか。
 面白いことにヘビでも昼行性のアオダイショウElaphe climacophora やシマヘビEl. quadrivirgata 、スジオナメラEl. taeniura なんかには眼の後ろに黒いラインを持っている。夜行性種もいるヘビの中で昼行性種にこのような特徴があるというのは、やはり陽の光が関与しているように思えて仕方がない。同じように鳥類ではフクロウ類などの夜行性種にこの過眼線というものがみられないため、余計にこの仮説を強く印象付ける。

 ただ不可解なのが、話の発端であるモズが雌雄で過眼線の濃さに差異があるということ。写真のようにオスにはくっきりと黒い過眼線があるが、メスには茶色の過眼線というか、もうほぼ無いようなもん。日光に対する模様だと仮説を立てるならば、雌雄両方に備わっていてほしいんだけどね。そんな都合良く私の仮説に自然が合わせてくれるわけではないので悩ましい。苦し紛れに言い訳をするならば、過眼線を黒くする遺伝子が性染色体に乗っていて、ZZにならないと黒い過眼線が発現しないとかかな。まぁ私じゃ立証できないから結論はわからないからそういうのは研究者に任せるとして、考えている分には楽しい内容だなぁ。



 誰か鳥に詳しい人、教えてくださいな~。

 モズって意外とデカイんだねぇ、そういえば。





スポンサーサイト

Newer Entry木の葉で椿は二度咲く

Older Entry道に迷わば妖しげな花、そして背後より闇

 

Comments
Leave a comment








1234567891011121314151617181920212223242526272829303107 < >