月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

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足跡を振り返って見てみる

Coleman
Coleman 登山靴


 ヒダサンショウウオHynobius kimuraeナガレタゴガエルRana sakuraii を探しに行った沢登りを最後に、長年連れ添った相棒であるこのColemanの登山靴は引退を迎えた。出会いはおよそ6年ほど前まで遡る。大学の自然サークルに入り、夏合宿に備えてアウトドア用品を揃えるために先輩に連れられ池袋のアウトドアバーゲンを訪れた。そこでザックやら寝袋やらキャンプに必要な物を買い揃え、その中の1つがこの靴だった。当時は学生というのもあってとにかく安さが決め手で、知識もないからあとはデザインくらいしか選ぶ基準がなかった。それでも人生で初めて手にする(むしろ足にするだが・・・笑)登山靴はガッチリしていて頼もしく、すごく良い買い物をした。しっかり足がホールドされるし防水なので水気のあるところも攻められる。これさえ履いていれば大抵のフィールドで生き物を追いかけられるのだ。だからフィールドにはほとんどこの靴を履いて出掛けていたので、私と共に様々な生き物を見てきた同志なのである。


 初めての夏合宿地、北海道では歩き回って登山靴の堅牢性を実感したし、林道を歩いていて突然茂みでガサガサ聞こえたので「ヒグマUrsus arctos かっ!?」と驚き一緒にダッシュして逃げた。

 白馬八方尾根をガシガシ登り、八方池という天空の水辺でたくさんのクロサンショウウオH. nigrescens の幼生を見たり。

 生き物よりも登頂が目的になってしまう“トランス状態”になってしまい、戸隠合宿ではついつい五地蔵山山頂まで登り詰めたり。

 新雪混じりの林道で寒い思いをしながら白い息を押し殺してベニマシコUragus sibiricus の観察もしたし、大山では全然生き物出なくて降り積もった雪に足を突っ込みながら雪玉投げてた。

 山小屋のオヤジに唆され、丹沢主脈の塔ノ岳から蛭ヶ岳までの往復山行にも苦労しながら共に踏破した。

 紀伊半島でオオサンショウウオAndrias japonicus の棲む沢を渡り、大雨にも見舞われてびっちょびちょになってとんでもない異臭を放ち始めたりもした。

 奄美行きのフェリーでだいぶグロッキーになって、この安定感バツグンの靴をもってしても車から降りる度に丘酔いに悩まされた。

 沖縄本島・宮古島・石垣島・西表島といった、沖縄の島々には欠かせないし、思い出は書き切れない。



 とにかくこの靴には旅の記憶がギッシリ詰まっていて、文字通り日本各地に足跡を残してきたわけである。ずいぶんと思い入れが強くなっていたみたいだ。
 ただやはりそれだけ酷使すれば傷むのは当然で、多少ソールがすり減るなんかだったら使い続けるのだが、靴内が割れていてかかとに当たるのでさすがに痛くて長時間履いていられなくなった。沢登りまでの山道をこの日もたくましく乗り越え、長靴に履き替えるときにとても哀愁を感じたので最後に沢で記念撮影をした。


 今まで本当にお疲れ様。私を足下からしっかり支えてくれたおかげでいろんな所へ旅することができました。ありがとう。
 君と残した足跡は、私の心に、永遠に。




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