月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 爬虫類  

蛇探しはレインのあとで 【後編】

シロマダラ
シロマダラ Dinodon orientale


~つづき

1人で夜な夜な山道を行くのは結構心細いのだが、
道中とても素敵のモノ(今回でいうところのタカチホヘビ)に出くわすと、
目が爛々としてきて恐怖はどこかへと吹き飛んでいってしまう。
更なる獲物を求めて突き進むと灯火が見えてきた。
ここは虫の出が良く、条件が合えば甲虫や蛾が多く飛来する場所でもあるのだが、
生憎今日は蛇日和、めぼしい昆虫は見当たらなかった。
この日は平日の夜だというのに虫屋が多く登ってきていて、
単独のオジサンから若い学生サークルのようなグループなど、
様々な虫屋が灯火採集にそれこそ虫のように集まってきていた。
山の途中にある寺院近くには多くの街灯が設置されているため、
おのずとそこら周辺に虫屋が集まる。
虫屋に混じって街灯を巡って見るもののこれといった成果はなく、
たとえ何か出たとしても虫屋たちと違って捕虫網を持ち合わせていないのでなす術もないが・・・
そんなモヤモヤした考えを浮かべながら次の街灯へと足を運ばせた時、
舗装されたコンクリートと砂利の道にうっすらと灯火に照らされた白黒のヘビが浮かび上がる。
そう、シロマダラだ。


先程のタカチホヘビ同様、非常に小さい幼蛇でダラダラと動いている。
首の白い模様が左右つながりそうなくらい大きいところから、
この個体がどれほど小さいか窺えるだろう。
この模様は成長とともに薄れて消えてしまうので、純白なのは幼い内だけ。
タカチホヘビは狙っていたから、見つけた時は予想的中だったわけだが、
シロマダラはまさかのこぼれ球ゲットだったなぁ。



シロマダラには“墓場蛇(ハカバヘビ)”なんていう別名もある。
墓場のような少し開けた石の多い環境でよく見られたり、
白黒のバンド模様が葬式を連想させるのか、
とにかく雰囲気のある別名を持っているのだが、
今回見られた場所が寺院付近ということで、夜はそれっぽい雰囲気を醸し出していて、
本種を見つけた時とっさに墓場蛇という印象がじわりと感じられた。
そこでせっかくなのでそれっぽく灯火を入れての写真にしてみた。
今回はシロマダラというよりハカバヘビとしてのイメージで。



当然ながらこんなとこでやっほーいと写真撮ってると、擦れ違う虫屋にジロジロ見られる。
「灯火ばかり見てる虫屋には、こんな素敵ヘビ見つけられっこないぜ!!」
と、1日に本州二大珍蛇を両種見つけて調子に乗りまくっている私は、
お構いなしに、かつちょっと自慢げに見せびらかしながら写真撮影(笑)
横目で流す人もいれば話しかけてくる人もいるわけで、
案外オジサンよりか若い人の方が、シロマダラの認知度は高いようだった。
やっぱり自慢するならその珍しさが伝わらないと自慢し甲斐がないわけで、
「うわっ、シロマダラだ!?」
なんていうリアクションはご馳走もご馳走。
我ながら性格悪いなぁとニヤニヤしながら思うわけで。



翌日は仕事だったので終電で帰る予定だったのだが、
終電間際でシロマダラなんか出てしまうもんだから、時間がかなり危険だった。
下山は走れば間に合うと自分に言い聞かせて粘って写真を撮っていたが、
そろそろリミットも近いのでシロマダラをリリース。
いざダッシュっと200mくらい歩いたらまたシロマダラ!!

『なんて日だっ!!』

それも似たような幼蛇で、この環境・時間帯・時期が良いことがよくわかった。
でもギリギリまで粘っていたから時間も無く、数枚撮って泣く泣く下山。


下山途中、終電で来て朝まで山で採集をするであろう網を持った虫屋数人と擦れ違う。
そんな中ライトも点けず、網も持たず、むしろただ手ぶらでゆっくりと登ってくる人がいた。
さすがにこの時間でその装備の無さはヤバい。
挨拶してみるも返事もなく擦れ違ったが、後ろを振り返るのがすごい怖かった。
なんか追っかけてくるんじゃないかと、私にしか見えていない人なのではないかと。
ハカバヘビを見た後なだけに、今考えただけでもぞっとする。
もうそっからは走った走った。
終電に間に合わなそうってのもあるけど、今の人から逃げたいって気持ちがいっぱいで。
なんとか終電発車10分前くらいには着いたけど、猛ダッシュのおかげで翌日は筋肉痛パンパン。
あー、怖かった。
1人でも素敵な生き物見られれば夜もヘッチャラだなと思ったけど、
なんだか怖い体験をしてしまった。
とりあえずその人に足はしっかりあったはず、うんあった。
これも虫屋に対して調子に乗りすぎた罰だったのかもしれんなぁ。


まぁでも3時間半くらいのフィールディングだったけど成果は素晴らしかった。
何気に今年はヘビ見ていて、本州産のヘビはあとニホンマムシGloydius blomhoffii だけだ。
1年で本州産ヘビ全種見られたら、巳年である2013年はすごい年になるぞこれは。
ということでマムシに会いたい今日この頃なのです。


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Comments
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登山シリーズから楽しませていただきました…

そしてとどめにシロマダラとは!
いやー、素晴らしい。

ボクもこの夏、何度か深夜のこのお山にお邪魔して、同じように網を振り回す虫屋の方々を尻目に、カメラ担いで地面にへばりついてました…笑
雨まじりの日もあったのデスが、ヘビには遭遇出来ず。
今年は巳年だってのを、この記事を読んで思い出したくらいヘビに遭遇していない…

羨ましい限りデス!
いつかご一緒させて頂きたい笑

それにしても、空気感まで伝わる写真と文章で、登山気分にさせていただきました(^ν^)
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>> クマGさん

なんとも素晴らしい賛辞で、嬉しいかぎりです。
ただ実を言うと、とどめの記事がもうあと1つあるのです(笑)

やはり虫屋さんが多いですよね、あそこ。
同じ生き物屋なのに、地面にへばりついてると少し奇異の目で見られますね(苦笑)
ご一緒して少数派勢力が少しでも奮っていけたら良いですなぁ。
それも色んな“眼”を持ってるクマGさんとなら、かなり面白い生き物が見られそうですし^^



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