月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 草本類  

狐は夕暮れ時に

キツネノカミソリ
キツネノカミソリ Lycoris sanguinea


帰り道はダッシュだった。
丹沢山までだったのが蛭ヶ岳まで稜線を歩く行程に変更したもんだから、
日暮れまでの残り時間は一気に消費され、塔ノ岳に戻ってきたのが16時半。
ここから大倉に下ってバスで帰るのだが、前情報では2時間以上もかかるという。
単純計算で19時近くだし、辺りは暗くなるのが予想される。

『クソぅ、山小屋のオヤジに唆されなければこんな事には…』

などと他人を責めたくなるが、そんなことをボヤいている場合じゃない下山下山。
カメラはザックに封印し、よっぽどの何かが出なければスルーして足早に下る。
カメラを入れていたサイドバックごとザックにブチ込んだので歩きやすいことこの上ない。
10時間くらい歩いてからの下山なので膝への負担は尋常ではなく、
またお腹周りにブヨブヨのウエイトを付けている私の上半身が、余計にダメージを加える。
んで登山雑誌読んで書いてあったんだけど、足の短い人は下りが苦手なんだってさ!
どうりで下りがあんなにも辛いわけだ、私の体型は下りに弱すぎるではないか!


キツくてツラくて不安な下り坂。
陽もだいぶ傾いてきて、山の東側はかなりの暗さになってくる。
すると焦燥感に駆られて膝の痛みよりも不安のほうが上回る。
あと少しで大倉バス停というところで、なんとも不気味な花を見つける。
この花は図鑑で知っていたが、こんなに怪しかった記憶はない。
ほとんど陽の陰った斜面に一斉に咲き乱れる赤い花。
名前も狐の剃刀だなんていかにもな和名すぎて、不安を一層煽られた。
でもでも怖かったけど惹かれるモノがあったので数枚写真を撮って先を急ぐ。
帰ってから調べてわかったことだが、キツネノカミソリの花言葉は “妖艶” だそうで。
なんともピッタリな花言葉だこと、正にそれを間近で見て実感したわけだ。


そして決死の思いで無事下山。
あぁ~、怖かった。
もうダメかと思ったぜ。
とりあえず命があった事に安堵するばかり。


ということでしばらく続いた【丹沢稜線山行】も今回の記事で終了。
ずいぶんと植物に偏ったイマドキの草食系男子的記事だったが、
次回は素敵蛇日記二本立てなので爬虫類好きの方はお楽しみに。



【丹沢稜線山行】

1. 神奈川のテッペン獲りに行く
2. 鬼の岨
3. 雲隠れの里
4. 風吹き抜ける笹原から
5. 太陽と共に眠り、太陽と共に目覚める
6. 朝の蛍
7. 隈取りの翼
8. 短剣を纏う荒地の薊
9. 狐は夕暮れ時に




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