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Category: 両生類  

佐渡のささやき

ツチガエル
ツチガエル Rana rugosa


ダラダラと晩秋登山の記事を3つも書いているうちに、
いつの間にか佐渡島の例のカエルが新種記載されていた。


その名も サドガエル Rugosa susurra 。


本種はツチガエルに近縁で、腹と後肢の腹側が濃い黄色で、
腹面は滑らかで特に喉まわりは顆粒を欠いている。
写真でもわかるようにツチガエルのほうは喉がブツブツ。
佐渡島の中央部に生息していて、北部・南部地域にはツチガエルも生息しているため、
「佐渡島だからサドガエル」という同定は危険。
なので見分けるときは捕まえて腹面を見ましょう。
ちなみにエタ浸けの標本の場合、腹の黄色さが抜けてしまうので要注意。


この記載論文ではRugosa という属が用いられているが、
実はツチガエルの類いというのは複雑な分類の歴史を辿っている。
これまで分類が難しいためRana にまとめられていたのだが、
まずツチガエルRana rugosa Ra. emeljanovi Ra. tientaiensis の3種にRugosa 属、
Ra. minima Glandirana 属が、Fei ら(1990)によって新たに設けられた。
対してDubois(1992)はRugosa およびGlandiranaRana 属の亜属としたが、
RugosaPelophylax 亜属に、GlandiranaHylarana 亜属に含まれたため、
ツチガエル類が多系統となってしまいこの分類は無効だとChe ら(2007)は考えた。

またFrost ら(2006)は分子系統データに基づきRugosa 属をGlandirana 属に統合させたが、
Ra. minima における水かきなどの形態形質は他の3種と大きく異なっていて、
Frost らが提唱するこの統合したGlamdirana 属の4種は単系統にならないと考えられた。
一方Ra. rugosaRa. emeljanoviRa. tientaiensis の単系統については信頼できるようで、
今回の記載ではこれら3種に対してFei ら(1990)が提唱するRugosa 属を用いたようだ。
ただ私自身、3種の単系統が支持されてもそれを新属として扱うかどうかについては、
まだ勉強不足でよくわからないため、この記事では保守的にRana を使った。


ツチガエルは地域によって異なる性染色体のタイプが5つ存在し、大きく2つの系統がある
ひとつは関東(XX/XY)、東海(XY)、近畿(Neo-XY)のグループ。
もうひとつは西日本(XX/XY)、北日本(ZW)のグループ。
サドガエルは前述の系統に近縁なのだが、
佐渡島のツチガエルは同じ島に生息しているにもかかわらず後述の系統だという。
つまり佐渡島における2種は種間レベルでは近縁であるものの、
種内レベルにおいては異なった由来のようだ。


サドガエルの種小名であるsusurra というのは、
ニホンアマガエルHyla japonica やモリアオガエルRhacophorus arboreus などの、
同所的に生息するカエル類に比べて非常に小さく鳴くことから、
ラテン語でささやくという意味の“ susurrus ”が学名に用いられた。



日本産爬虫両生類では初の佐渡島固有種である。
以前サドサンショウウオHynobius sadoensis というのがいたが、
クロサンショウウオH. nigrescens のシノニムとされたため、
今度こそ本当の佐渡島固有種である。
佐渡島にはサドモグラMogera tokudae やらサドトガリネズミSorex shinto sadonis やら、
食虫類も面白いし、ぜひ行きたい島だ。
なんとかしていつか訪れたいなぁ。




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