月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 鳥類  

森の王者

クマタカ
クマタカ Spizaetus nipalensis


ジムグリ Euprepiophis conspicillatus を見つけ足どりも軽くなり益々やる気を出した私は、
まだ山道の中腹程度なのにすでに正午近いという状況だったが、
せっかくなのでやはり山頂を目指すことに決めた。
そもそも山頂に行けば何かが見られるというわけではなく、
『ここまで来たら到達したい』といういつの間にか芽生えた登山者の志や、
同じルートを引き返すよりも山頂から違うルートで下るほうが新鮮味があって面白い、
という欲求から来るもので、気がついたら鼻唄まじりに登っていた。


『あと〇〇kmで頂上』
こんな看板何度見たことだろう。
見かける度にあまり数字が減っていないことに愕然としたが、
実際の距離は合っているんだろう、体感とのズレでどうも懐疑的になる。
霜や氷柱も多くなり気温が明らかに低くなってきたが、
それは標高が上がった証、斜面がキツくなろうとも目前の山頂に期待して自分を奮い立たせる。
山頂付近というのは今まで歩いてきた山道とは違って空を遮る木々が圧倒的に少ない。
それもそのはず、自分が上に登っているので覆いかぶさる陰は自然とちょびっとに。
それでもって落葉した木々は丸裸なもんで視界が良好良好。


ふとそれらの木々に目をやると、見慣れぬ大きな大きな猛禽がこちらに背を向けてとまっていた。
トビ Milvus migrans よりも一回り程大きい体で枯れ枝の中ではよく目立ち、
黒い顔に頭の白髪、そして白黒のバンド模様がある尾。
その姿はまさしく森の王者、クマタカではないか。
日本最大の鷹で行動圏は5km四方にまでおよぶとさえされている。
その存在感は凄まじく後ろ姿を一目見ただけでこちらが狩られる側だと思わせるモノがあった。
しかしその悠然とした姿をもっと近くで見たいと、ササ藪をガサガサ進んでようやく撮れた。
これはコンデジのR7で撮ったもので35mm判換算の焦点距離で200mm が望遠端だったが、
それでこの大きさに写るのだから、望遠レンズだったりデジスコだったりを持っていたならば、
もしくは装備のある鳥屋の方と行っていたら、もっと鮮明に写真が撮れただろう。


アドレナリンが出まくってさっきまで震えて登山していたのにあっという間にポッカポカ。
さらに欲が出て再びササ藪に潜り込んだが、頭をズボっと草上に出した時にはすでに姿がなかった。
せめて飛翔時の翼が見たかったと後悔した。
あの特徴的な翼のプロポーションはお気に入りで、
他人のブログで勝手にVulpes zerdaくんと鳥当てクイズをして、
鳥素人の私が見事クマタカだとわかったくらい素敵なのだ。
本種の翼は幅広く相対的に短いフォルムが特徴で、
森林内を飛ぶには小回りが利いて非常に動きやすいという利点がある。
これは小型コウモリ類でいうなればキクガシラコウモリRhinolophus や、
テングコウモリMurina の仲間と同じ戦略(広短型)である。
逆にミサゴ Pandion haliaetus なんかは狭長型のコウモリである、
ヤマコウモリNyctalus やユビナガコウモリMiniopterus の仲間と同じ戦略に思える。
翼とはロマンですな、それを見逃したのはイタかった・・・




それにしたってクマタカはカッコイイな。
今まで猛禽類ではチョウゲンボウFalco tinnunculus が1番好きだったけど、
一気にクマタカがトップに躍り出た。
こんな鳥見たから山頂までの道は軽々登ることができた。
まるで背中に翼が生えたよう。
もちろん広短型の。




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Comments
Editくまさん
Wow!
200mm相当でこのぐらいに撮れるということは相当近いね。山頂まで頑張ったご褒美かな。

さっきまで寒かったのに、眠かったのに、落ち込んでたのに、良いイキモノ見るとそれらを全て吹っ飛ばしてくれる気持ちになること、まさにその通りだね。だからまた行きたくなるんだよね、フィールドに。

月光守宮くんは丁寧な表現の長文がホント素晴らしいですね。
それとたまに入る詩が個人的にグッときます。

しかし宮古のリョーハ行が羨ましい...僕は見当なしに歩いてるせいか、鳥を見てるせいか、MトカゲとかMカナヘビとかMヒメヘビとかまだ見つけられてないのです。ひたきクンも。
Edit
>> コウさん

やはり生き物は行動力に変換し得るエネルギーのようなモノを持っていますよね。
それ欲しさに皆さんフィールドに出るんでしょう。


宮古リョーハ行はやはりメインのターゲットが両爬ですからそればかり探していたおかげでしょう。
日程が倍になったとして残り半分を別の生き物探しに傾けたとしても、道中やはり自然と自分の好きな生き物を探してしまって結局うまくいかないような気がします(笑)
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