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Category: 鳥類  

ハシブトあれこれ

ハシブトガラス
ハシブトガラス Corvus macrorhynchos japonensis


北はサハリンやロシア沿海州から、南はフィリピンやインドネシアまでと、
寒帯・温帯・熱帯という幅広い地域・環境に生息している本種。
現在9亜種に分けられており、日本にはサイズが最大と最小の両方の亜種が分布しているようで、
なかなかハシブト的には面白い国のようだこの日本という土地は。

実は鳥の亜種名で時々引っかかることがある。
それは基亜種ではなく本州に生息する亜種が種と同じ和名をつけられるということ。
つまりマレーシアなどに生息する基亜種のC. m. macrorhynchos が亜種ハシブトガラスではなく、
本州に生息するC. m. japonensis が亜種ハシブトガラスの名を冠する。
なんだかこれがどうしようもなくモヤモヤして仕方がない。
そしたら基亜種はどんな和名になるのやら。
基亜種っぽさが大事な気がするけどなぁ・・・


とまぁ、そんなどうでも良い愚痴はジーンズのよくわからん小さいポケットに入れておいて、
ハシブトガラスについて興味深い話を見つけた。
先程言ったように本種にはいくつかの亜種があるのだが、
西表島や石垣島などの八重山諸島にはオサハシブトガラスC. m. osai が生息している。
実はこのオサハシブトガラス、生息する島によって採食行動に違いがみられ、
それが嘴に形態変化をもたらしているという話。



西表島や石垣島などの森林面積が広い島では、島内の畑など開けた場所ではあまり採食しない。
それに対し波照間島や黒島などでは開拓がずいぶん行われ、
島のほとんどがキビ畑や牧草地が占めているためこれらの島では、
畑の土に嘴を突き刺したり、畑の茎から餌をつまみ獲ったりして採食している。
また牛糞をひっくり返してそこに集まる糞虫を狙ったりもしているようだ。
調べてみると波照間島などのオサハシブトは西表島などのオサハシブトに比べ、
頭骨全体における嘴の占める割合が有意に大きいことがわかった。
嘴を土に突き刺したり、テコの原理で糞をひっくり返したりするそれらの行動は、
長い嘴のほうが有利だと考えられているため、そのような形態になってきているということ。
つまり開けた土地で採食するため、これらの島のオサハシブトでは嘴が長くなっているのだ。


種としてのハシブトガラスは元々森林性で、あまり開けた農耕地などは利用しておらず、
そのような場所ではハシボソガラスC. corone が占有していることが多い。
mt-DNAで調べた結果からオサハシブトに最も近縁であるのは台湾に生息する
タイワンハシブトガラスC. m. colonorum でこの亜種も森林性である。
このことから波照間島なども以前は西表島のように森林に覆われていて、
オサハシブトもそういった環境に棲む、元々森林性のカラスであったと考えられる。
それが人々の開墾により島内環境が変わりキビ畑や牧草地が増え、
また八重山諸島には元来ハシボソガラスが生息していなかったことから、
そのような開けた環境にオサハシブトが進出できたと考えられる。
そして900年という短い期間に彼らは嘴の形態を進化させてきているのである。


一般的に知能の高い動物ほど形態の進化や種分化の速度が速いという傾向があるようで、
このような進化は彼らの賢さの賜物なのであろう。
よくズル賢いイメージを持たれる彼ら。
彼らは彼らなりに知恵を絞って生き抜いているのである。
そんな彼らをどうしてそんな醜悪な目で見ようものか。
あぁ、彼らの知恵に私もあやかりたい。
もっと賢く世の中を生きていければなぁ。







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Comments
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ほんと、ほんと。
つやつやと美しく、たくましく、知的で。
あやかりたいです。私も。
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>> colorfuldeskさん

良いですよね、カラスの賢さって。
そちらでオサハシブトの大きさに見慣れていると、
本州に来てハシブトの大きさに驚くのではないでしょうか。
やつらまるで恐竜ですよ^^
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