月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 爬虫類  

コビトのハシゴ

サキシマバイカダ
サキシマバイカダ Lycodon ruhstrati multifasciatus


本種を初めて見たのは大学1年の春合宿で西表島に行った時のこと。
車のフロントガラスが最高速度のワイパーでもビチョビチョになるような視界の悪い大雨の夜、
私たちは心の潤いを求めてヘビを探し回っていた。
その時は貪欲に探していたためか、なんと一晩で64匹のヘビを見るという快挙を達成した。
その大半を占めていたのはサキシママダラDinodon rufozomatum walli であり、
数にして57匹というとんでもない遭遇率。
残りのヘビとしては、
ヤエヤマヒバァAmphiesma ishigakiense が1匹、
サキシマハブProtobothrops elegans が3匹、
そして今回取り上げるサキシマバイカダが3匹、の合計64匹である。


本種は樹上性のヘビであるが、目撃した3個体は全て道路上で発見したもの。
なかなか樹上をスルスル移動していたり休息しているような場面に出会えなかった。
「樹上にいるバイカダが見たい」という期待をずっと抱いており、その願望は石垣島で訪れた。


イメージでは細い枝から枝へと上手いこと体を巻きつけながら移動している姿を想像していたが、
目の前のバイカダは大木の太い幹をまるでアオダイショウElaphe climacophora が如く、
垂直にズルズルと登っているところだった。
まるで小人のハシゴが大木に掛けられているようなそんな不思議な雰囲気の白黒バンド。
想像外の光景にしばらく見とれてしまい、手の届かない所へ行ってしまいそうだったので、
ズリズリと引き寄せて出会いに感謝。


そういえば記述されていることが少ないようであまり意識したことがなかったのだけども、
今回のような行動を受けて腹板を観察すると、やはりアオダイショウのように側稜が発達していた。
樹上性らしい特徴だと思うのだが、奇抜な外見ゆえ目がいかないのも頷ける。
同じ樹上性であるイワサキセダカヘビPareas iwasakii はどうなんだろうか。


バイカダは私の好きなヘビの1つであるからもう会えるだけでとんでもなく嬉しいのだが、
人間(特に私)とは欲深いものでさらに魅力的な場面に遭遇したいと思ってしまう。


『シダ植物の先端でサキシマキノボリトカゲJapalura polygonata ishigakiensis が、
大の字(むしろ木の字)になって寝ており捕食者が来ようとも感知できるとスヤスヤ眠る。
しかしバイカダは文字通りその上を行き、ゆるりと上方の細い枝から忍び寄る。
そしてキノボリトカゲが目を覚ました時は寝袋ならぬ胃袋で寝ていたことに気がつくのだ。』


そんな光景に出くわすことができたならば、どれだけ興奮することか。
嬉しさのあまり発狂してキノボリトカゲを起こしかねないので、
冷静と情熱の間をうまく保てるようにしておかなければ。


と、そんな妄想をイメージして写真を撮ったのが今回の写真。
マジで食する5秒前な感じで。


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