月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 爬虫類  

オキナワヤモリの正体

オキナワヤモリ
オキナワヤモリ Hemidactylus frenatus


写真と和名を見て「おっ!?」となった人は、なかなかのヤモリ好き。
さらに学名を見て「なるほど」という方は、かなりのヤモリ屋さん。


このオキナワヤモリという和名。
果たしてこれがどのヤモリを指すべきなのだろうか。
先日、原色日本両生爬虫類図鑑を読んでふと思った。

まず思い浮かぶのが、最近ミナミヤモリの隠蔽種として発見された、
久米島や沖縄島北部・伊平屋島に生息する旧クメヤモリGekko sp.だろう。
しかし以前に別のヤモリにもこのオキナワヤモリという和名が使われており、
原色日本両生爬虫類図鑑にも載っている。

そこではオキナワヤモリHemidactylus okinawensisとされている。
このナキヤモリ属のヤモリはホオグロヤモリHemidactylus frenatusと類似しているが、
尾に円錐形の鱗が並ぶ突起環がなく環状溝がほとんど認められないのが特徴で、
沖縄本島や久米島・宮古島・石垣島・与那国島に分布するとされている。

しかし、皆さんご存知のようにホオグロヤモリの再生尾には突起環や環状溝がない。
つまりokinawensisfrenatusの再生尾の個体と同じ。
そして両種の記載はそれぞれ、
オキナワヤモリはHemidactylus okinawensis Okada, 1936で、
ホオグロヤモリはHemidactylus frenatus Dumril et Bibron, 1836
ということなので、okinawensisfrenatusのシノニムに。

ここら辺の話は詳しくわからないが、両種の鱗数の変異に違いがある。
前肛孔はfrenatusで26~35個、okinawensisで30~33個なので、
okinawensisfrenatusの変異幅に収まる。
しかし上唇板はfrenatusで10~12枚、okinawensisで12~13枚と記述されていたが、
これはfrenatusの上唇板の変異幅が10~13枚になったって解釈で良いのだろうか。


このように過去にオキナワヤモリという和名が使われているのにも関わらず、
ミナミヤモリ型隠蔽種をクメヤモリからオキナワヤモリに変更するのはどうなんでしょ。
学名と違って和名というものには決まりがないので、基本的には何と呼んでも構わない。
ただイヌCanis lupusをネコと呼んでたら和名が何を指しているんだってことになるわけで。
だから和名はできるだけ混乱しないようなモノが良い。
学名とは違うので先取権やシノニムという概念がないんだろうか。



以前にアクアライフかフィッシュマガジンの千石先生のコラムで、
オキナワヤモリ(旧クメヤモリ)Gekko sp.の話があって、
千石先生はこの隠蔽種の和名は『キジムナーヤモリ』が良かったんじゃないかと仰っていた。
そしてもしかしたらこの記事で書いたことを既に書いていらしたかもしれない。
残念ながら『キジムナーヤモリ』という名称しか私は覚えていなかった(苦笑)

個人的な意見としてはオキナワヤモリGekko sp.の和名はキジムナーヤモリが良い。
私は千石先生のセンスが大好きで、講演などで出るダジャレはすごくツボだから。
それかせめてクメヤモリの方を使いたい。
そしてオキナワヤモリはシノニムにされたHemidactylus okinawensisに用いると思う。
和名って自由な分、混乱が生じやすい。

しかし英名でBurrowing ratsnakeと説明気味に生き物を呼ぶよりも、
ジムグリと呼んだ方が親しみやすいし味わい深い。
そういった日本の文化が好きだし、和名の方がしっくりくる。
なので生き物を、「マイヤーの生物的種概念」という観点で見なければならないわけではないと思う。
Hemidactylus okinawensisはオキナワヤモリであるし、
Hemidactylus frenatus の再生尾個体もオキナワヤモリなのである。


だから最初の写真と和名・学名は解釈によっては間違っているし、合ってもいる。
だから私は今回この記事の冒頭で、
ホオグロヤモリHemidactylus frenatus の再生尾個体の写真をオキナワヤモリとした。


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Comments
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なるほど、わからん(笑)


こういうの語れる人あこがれますよ~
さすが月光守宮さん!
こういう事を学ぶ大学に行ってたりするんですか?
Edit
>>ヤモキーさん

まぁここまで書いていても間違えていることってありますからねぇ。
それでも指摘されながら進歩していきたいですね。

ボクは生物系の大学ですが、あんまりこういったことは学ばないかもです。
基本は畜産がメインで、ちょこちょこ生物学的なことを勉強する感じです。

研究室が系統学的なところなので、まだこういった内容に近い部分がありますが。
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