月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

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Category: 爬虫類  

蓮池や 咲いては消える 亀の華

~ 麗しの島、台湾の旅 ~
1. 小汚いバックパッカーとダーティー兄ちゃん
2. トカゲたちの異なる境界線
3. 極彩色 Richly colored
4. 翡翠の純心
5. 蝦蟇が来たりて、夜は更ける
6. 翡翠の邪心
7. 谷を渡って飾り付け
8. 木登り蜥蜴の陰と陽
9. 至高のグルメ
10. 色とりどりの花咲き誇る
11. 斑蛇の明と暗
12. 既視感のオアシス
13. 蓮池や 咲いては消える 亀の華
14. 鼻先蛙は蛇の気配
15. モノクロームの鎮魂歌
16. 最終夜の晩餐
17. 老人と湯




 台湾バーダーに紛れて散策する台北植物園。鳥ばかりだとせっかく台湾に来ているのにもったいないので、上ばかり見てないで両爬も探して園内を回る。
 キノボリトカゲの話で出たスウィンホーキノボリトカゲJapalura swinhonis はこの時に見つけた個体で、日陰の涼しげな樹の幹についていた。先の記事でも書いたが、遠目からキノボリトカゲだとわかって近づいてみると、これまでに見てきたキグチキノボリトカゲJ. polygonata xanthostoma とは明らかに印象の異なる暗い雰囲気を持ったキノボリトカゲで、すぐに別種だとわかった。
 この時の個体はまだまだそこまで大きくないオスだったが、こいつらの成熟したオスは日本のキノボリトカゲや台湾に生息する別種のキノボリトカゲよりも一回りほど大きくなり、感情が荒ぶるとクレストを逆立てドス黒い口内を誇張して開口する姿がとても勇ましい。今回は見られなかったがぜひともそんなスウィンホーキノボリに会いたいものだ。静岡にでも行くか ・・・ 笑




タイワンハナガメ
ハナガメ Mauremys sinensis


 子ガメは軽いからだろう、ハスの葉上でバスキングだなんて優雅ではないか。こういった公園内の池というのはカメ類を探すのにもってこいだが、ミシシッピアカミミガメTrachemys scripta elegans がたくさんいるイメージだった。
 ただ今回の旅では見かけることはなく、カメもハナガメのみだった。





マダラロリカリア
プレコの一種


 その代わりといってはなんだが、この池にはたくさんのプレコが生息していた。南米原産のナマズの仲間で、ペットとして数多く取り扱われる一方、ミシシッピアカミミガメ同様初めは小さい個体なのだが成長につれてだいぶ大きくなってしまうので遺棄されてしまうケースがある。沖縄でも要注意外来生物に指定されるマダラロリカリアLiposarcus disjunctivus が定着してしまっている現状を考えると、今回台北植物園で見られたプレコも本種かその近縁種だろう。

 安易に購入できるのも完全悪とはいえないが、飼育をする以上は最後まで自分の責務を全うしなければならない。知識なく買ってしまったとしても、自分の手に負えないようならば “ 遺棄 ” という安直な手段をとるのではなく、 “ 処分 ” など自分の手で完結させるべきなのではないのだろうか。
 それが命をお金で買っている者の負うべき責任であろう。






 ハスの葉に乗っているのはハナガメだけでなく、トノサマガエルPelophylax nigromaculatus と同属のフッケンプランシーガエル? ( 和名不詳 中国語で金線蛙 ) P. fukienensis なんかもワラワラと。
 そんなハスとカエルという画になるものを夢中で撮ってると、台湾のおばちゃんにも私の両爬好きが伝わったのか、 「 こっちこっちぃ !! ハスの花にたくさんのカエルが集まってるとこがこっちにあるわよぉ 」 的なニュアンスでめちゃくちゃ手招きをしている。


キンンセンガエル
金線蛙 Pelophylax fukienensis


 こいつは良い。まさに万国共通のカエルのイメージなんだろう。ただね、おばちゃん。ありがたいんだけど20分くらい前に同じとこで同じ写真を撮っているのよ ・・・
 かといってそんな失礼なことを中国語でしゃべれるわけではないので、両手を大げさに広げながら 「 Wow !? 謝謝、謝謝 」 ( ありがとう、ありがとう ) とおばちゃんの親切心を無下にしないよう満面の笑みで激写する。自国の生き物が好まれているのは嬉しいものだ、私も逆の立場だったらお節介に教えちゃうかもしれない。

 このとき近くにTOGUくんもいたのだが、案の定彼はこういうやりとりにはノッてこないんだな。こんなシチュエーションは日本のフィールドでもよくあることで、散策していて人に会うと大概相手をしているのは私で、さっきまで近くにいたTOGUくんは厄介事を察知してスッと姿をくらますのを何度か体験している。
 まるで私を囮のようにして、自分はその間に見たい生き物を狙うのである。まぁ相変わらずな対応に安堵もするが、彼はクールと薄情が紙一重なやつなのだ。 笑


タイワンハナガメ
ハナガメ


 夢中でカエルを追っていると、時たまハスの葉の合間から、ヌッっと音もなくハナガメの成体が息継ぎに現れる。実はおばちゃんに呼ばれている際も、我々が狙っていたのがこの個体なのだ。池はハスの葉で覆われ、どこから顔を出すやもわからないので葉の隙間を懸命に見張っていた。
 やはりアジアンタートルの中でも抜群の美しさを持つ本種。頸部に入るラインはクサガメと異なり乱れず直線になり、また3本のキール部分はオレンジ色が入り、幼体だと顕著で美しい。

 以前はOcadia 属に分類されていたが、分子系統からChinemys 属と同様にMauremys 属に統合された。化石種でニホンハナガメO. nipponica という種が千葉で発見されているが、こいつもMauremys に移されるとなると、ニホンイシガメM. japonica と学名の意味がカブってしまってややこしい。まぁシノニムではないのだけど。




 午後は再び烏来に戻り、山中を散策。


ハブカズラ
ハブカズラ Epipremnum pinnatum


 岩壁にハブカズラが這う。沖縄なんかでもそうだが、こういう植物たちが自分の 『 南の島へ行きたい病 』 を治す手助けになっているのだろう。タニワタリにハブカズラに大型ヘゴにクワズイモ。大体ここら辺の植物が繁茂していると落ち着く。



 しばらく歩いているとポツポツと雨が降り始める。ちょうど登りに差し掛かったところで、 「 これ以上登っても何か出そうもないし、オレは下で探しているよ 」 とFくんと分かれた直後くらいに。相変わらずこういう勘が働く男だ。
 案の定、私とTOGUくんは何かを見るわけでもなく、すごすごと待ち合わせ場所の駐車場に撤退。



 ただこの夕方からの雨は嬉しい。これはこれで日頃の行いが良いと言えよう、夜の生温かい雨は両爬の狼煙。こういう雨が降ると夜にヘビが見られる確率が上がり、憧れのヒャッポダDeinagkistrodon acutus がもしかしたら見られるかもしれない条件になってきた。
 そんな期待に大きく胸が膨らみ、トウモロコシ味のうまくないスナック菓子をわしゃわしゃとかきこんで、ついでに腹も膨らませる。

 待ちに待った雨の夜、最終夜。翌日は帰国を残すのみなので一晩中散策に費やせる絶好のチャンス。今回の旅最大の一大イベントである。
 そんな夕立ちが烏来を、そして我々を潤し、温泉から立ち昇る湯気と同じように、我々もモクモクと期待を膨らませた。そして台湾を訪れて3回目の夜がゆっくりと湿気を保ってやって来るのであった。










 台湾記事を書いてついに13話目。気がつけば2015年も終わろうとしているではありませんか。いつもなら1年の総括的な記事を書いたりするんだけども、年内に台湾記事を書き切れなかった。台湾以外にもお花を求めて各所を巡ったんだけども、せっかく連チャンで書いている台湾話なので、流れを切らさないためにも今回はなしで。
 なので 【 AKE ★ OME 】 的な記事も書かない予定。

 ですので皆さま、今年も当ブログをご愛好いただきありがとうございました。2016年もいろいろ探しに行きますので、たまにブログを覗きに来てやってください。
 それでは良いお年を。





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