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月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

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Category: 爬虫類  

奄美ヒメハブのそっくりさん

ヒメハブ
ヒメハブ Ovophis okinavensis 奄美大島産


奄美大島で見たヒメハブは、見慣れていた沖縄本島産のヒメハブと異なった印象があった。
特に色彩が淡くメリハリがあって、下顎に数本の黒いラインが入る個体が多かった。
顔もシャープな印象でニホンマムシGloydius blomhoffii を彷彿させるような凛々しさ。
ホンハブProtobothrops flavoviridis もそうだが、奄美のハブ類はヤンバルよりイケメンだなぁ。


とまぁ、奄美産と沖縄産でヒメハブの雰囲気が違うなぁというのを去年の夏に実感して、
かれこれ1年経過したわけだが、先日台湾のヘビブログを見ていたら「むむむ!?」となるヘビが。


それがTrimeresurus gracilis というヘビ。
英名がKikuchi's Pitviperとされているので和名はキクチハブといったところだろうか。
このヘビがずいぶんと奄美産ヒメハブに似ているように感じる。
特に幼蛇時の模様や吻の形状など、別属とは思えないような見た目であった。
例えば、胴背面の中央に大きい帯で両サイドに長方形の柄という模様であったり、
尾部先端に入る明色のスポットであったり、上向きにツンッと反った吻端であったりと、
キクチハブの写真が目に入った瞬間に「どこかで見てことがある!?」と感じさせるモノを持っていた。
主に体色の淡さがそうさせるのだろうが、上に挙げたようにいくつかの共通点も要因であろう。


また気になって調べてみるとTu et al. (2000)ではrRNAによるTrimeresurus 属の解析が行われており、
そこではキクチハブとヒメハブ(ここでは沖縄-奄美諸島の区別なし)は1つのクレードにまとまっていて、
分子生物学的にみても両種はずいぶんと近いと言えるように思える。
まぁヒメハブの所属するOvophis 属も、ホンハブなどのProtobothrops 属も、
以前はTrimeresurus 属にされていたわけだし、まぁ遠い親戚くらいにはあたるんだろう。



属も違う両種を雰囲気がちょっと似ているなと思って調べてみたら、なかなか面白いことになってきた。
「パッと見の印象」+「分子生物学的裏付け」ともなってくると、
どうもこれら2種に特別な関係があるようなイメージが脳裏に定着してしまう。
実際そこら辺は研究者の方々が調べてくださっているわけだし、
今現在は別属のpitviperと考えるべきなんだろう、ボクみたいなアマチュアは。

ただ「両種は似ているなぁ」って目で見ていくのも夢見がちだが楽しいのではないだろうか。
そしてこういった感覚っていうのは研究者としてではなく、
生き物屋として楽しい感覚なのではないかと思うところである。



とにかくヒメハブは奄美大島産がカッコ良いのだ!!


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