月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

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オオミズアオ と かぐや姫




 春の夜。山の路面は濡れていた。


 平日に退屈なサラリーマンを演じてパソコンをカタカタ叩いていると、夕暮れ時にザッと雨が降っているのが事務所の窓から見えた。ただのサラリーマンならば 「 帰りの電車は蒸してるだろうなぁ 」 「 今日は折りたたみを忍ばせておいて助かった 」 程度の感想しか抱かないだろうが、私は違った。ウキウキしてたまらない。
 気温も高くなってきて、この夕立ちだ。これなら夜は両爬たちが這い出てくるだろう。そう思うと仕事なんぞ手がつかなくなって、いかに残業時間を圧縮できるかが本日の最優先事項となる。


 そんなわけで、夜の林道を愛車でどんどこ登っているというわけだ。夜には小雨程度に弱まり、散策にはうってつけの気候となっていた。


 カエルは絶好調だった。自分の中では最も早い時期でのモリアオガエルRhacophorus arboreus との出会いだったり、形の良いカジカガエルBuergeria buergeri の発見だったり、雨らしく両生類の出は良かった。
 一方でヘビの方はからっきしで、5匹目のヤマビルHaemadipsa zeylanica japonica に対するデコピンにもかなりの力がこもるほど、この日はダメだった。というか車での林道流しだってのに、何でこんなにもヤマビルが這い上がってくるのさ。車降りてるのなんてせいぜい長くても 5 ~ 10 分だぜ ?  いよいよ自分が異常なんじゃないかと疑うレベルだよこれ。


 翌日も仕事を控えているため、最後に街灯があるポイントをチラリと覗いて今日は帰ろうとハンドルを切って車を走らせると、光源の周りを飛び回りながら、その光を反射させているのか透かせているのか、はたまた霧散させているのか、幽玄な薄緑色の残像を残して飛ぶ蛾がいるのが目に入った。






オオミズアオ
オオミズアオ Actias aliena


 それはかつて、ギリシャ神話の “ 月の女神 ” を意味するアルテミスartemisという種小名があてられていた美しくも妖艶な蛾。

 これまで大陸産と同種とされていた日本産のオオミズアオだが、その後の調査によってタイプ産地であるロシアのグループとは別種であることが 2007 年にわかった。分割された日本産のオオミズアオについては本州産の亜種にあてられていたアリエナ aliena という亜種小名を種小名に昇格させているようだ。
 このアリエナという亜種小名は 【 外国の ~ 、 異邦の ~ 、 】 という意味のラテン語で、基亜種のロシアに対して外国の亜種という意味でつけられたのではないだろうか。ラテン語読みではなく英語読みするならばaliena はエイリアナ。そう、あの “ エイリアン ” と同じ語源の言葉である。


 “ 月の女神 ” が剥奪されて “ エイリアン ” の名を冠することになるとは、印象がガラリと変わってしまって、昔 「 アルテミス !!  アルテミス !! 」 と崇め祀っていた虫屋たちも、今となってはさぞ落胆していることだろう。虫屋じゃない私でさえゲンナリだよ。一応、月に関連したブログ名でやらせてもらってるもんで。

 ただまぁ、英名では [ Luna moth / Moon moth ] なんて呼ばれたりすることもあるので、月との縁が切れたわけではないのだろう。






 バタバタと翅を上下に動かし始めるのを見ると、そろそろ飛び立つ準備だろうか。そう思っていると案の定、重そうな体がパッと宙に浮き、再び街灯を目掛けて狂ったように周遊を始めた。



 すると今度は日本人の我々にとっては月に所縁のある竹にピタリととまった。



オオミズアオ
オオミズアオ


 まるでかぐや姫を思わせる美しさがそこにはあった。彼らのあの薄緑色は竹に関連があるんじゃないかと世迷い事を言いたくなるくらい良い色合い。
 街灯に照らされて、竹の一部が輝いているようにも見えるその光景は、まさしく竹取物語。


 そういえばかぐや姫も、 “ 月からの姫 ” という存在の他に、結局誰とも結婚せずに無理難題を吹っかけて月に帰っていくことから “ 宇宙人 ・ 侵略者 ” だったのではないかという俗説もあるとか。











小望月
小望月


 そう思うと、かぐや姫もアルテミスではなく、アリエナだったのではないだろうか ・ ・ ・    もしかしたらオオミズアオと同じように、いつかは正体が明らかにされる日がくるのかもしれない。そんなオオミズアオとかぐや姫に共通点があるのではないかと空想してしまう春の夜。

そうしてオオミズアオは月に向かってゆっくりと、夜空を登っていった。




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Spider spring



 生き物をやる上で、やっぱり大事だと思うのが良い図鑑に出会うこと。そういう図鑑に巡り会うことで、その分類群にグッと興味を惹かれ、ついついその対象を探したくなる。



 この “ 良い図鑑 ” というのには様々な条件があって、
・ 最新の分類が反映されている図鑑
・ 検索キーが載っていて調べやすい図鑑
・ 写真が鮮明で、撮影角度が同じ図鑑
・ 分布図が詳細に図示される図鑑
・ 生態や生活史が記載されて探すコツがわかる図鑑
・ ハードカバーだったり、薄い頁数だったり野外で使いやすい図鑑


 入門で使うならば、やはりフィールドで使いやすいものに限る。野外に持ち出して実物と図鑑を見比べて使うのが、その生き物を一番覚えられるからだ。そういう意味では現在多くの種類が出版されている 【 文一総合出版のハンドブックシリーズ 】 は、各分類群毎に分かれていて、手軽に持ち出せるのが強みだ。





マスラオハエトリ
マスラオハエトリ Thiania suboppressa


 学生時代、奄美大島を訪れた時に見つけたハエトリグモ。当時は何だかわからないままだったハエトリグモだったが、数年の時を経てハエトリグモハンドブック ( 以下 : ハエトリハンディ ) が発売されてページをめくっていたら、なんとそこには見覚えのあるハエトリが。 『 これは︎ !? 』 と過去の写真フォルダを探したらやはりそいつだった。マスラオハエトリ。

 ハエトリハンディの著者でもある須黒さんが 【 マスラオハエトリ 】 という和名を命名したハエトリグモで、金属光沢の目立つ比較的大型のハエトリグモだ。主に東南アジアなどで見られる南方系のグループで、国内では琉球列島に分布するとされている。和名の “ マスラオ ” とは、 [ 血気盛んな闘う男 ] を意味する “ 益荒男 (ますらお ) ” からきており、オス同士の闘争の際、脚を広げることに由来するという。

 闘争ではないが、発見した時も私に向かって第一脚を広げて体を大きく見せており、その姿が勇ましくカッコ良かっただけに、そのハエトリグモを同定できずにいたのがもどかしかった。それがハエトリハンディを眺めてすぐにわかったほどだったので、いかにこの図鑑が使いやすいか。そしてハンディとしながらも、日本国内のほとんどの種をマークしているほか、未記載種と思われる個体なんかも掲載されているので、網羅的な構成となっている。
 そんな楽しく使いやすい図鑑を手に入れたもんだから、フィールドで使うにはもってこいで、ハエトリハンディ片手にフィールドを散策するのが最近は楽しくって仕方ない。

 ここまでベタ褒めで書いてると、 『 著者や出版社から何かいかがわしいもんでも受け取っているのでは? 』 と疑われてしまうかもしれないが、残念ながらそんなご縁はありませんので、あくまで一購入者の意見として 「 ふむふむ 」 と読み進めていただければ。とにかく良い図鑑なんだ、ハエトリハンディ。使って楽しい図鑑。




ネコハエトリ
ネコハエトリ Carrhotus xanthogramma


 やはりやり始めの分野って普通種でも目新しいので、なんだか初心に返った気分だ。図鑑一つ持ち歩くだけでその生き物を探そうと視点も変わるし、今まで通っていたマイフィールドも一風変わった世界に見えてくる。よく見かけるネコハエトリでさえ、意識してじっくり見てみるとやはり可愛らしい。

 ハエトリグモを探すようになると、公園の手すりとか柵とか、今まであまり気にしないようなところが目に付くようになって、案外意識することで何気ないところにハエトリグモが存在していることに気がつくようになった。





カラスハエトリ
カラスハエトリ Rhene atrata 


 前から好きなハエトリグモで言えば、やはり第一脚が太い種類。ウデブトハエトリSibianor pullus とかヒメカラスハエトリR. albigera とか。 中でもカラスハエトリ類のこの平べったい幅広の頭胸部が生み出す表情が個人的に好み。
 クモは顔に表情なんか作れないので、配色とかフォルムとかパーツの配置とかが顔の印象を形作るので、そのバランスって人間が異性に求める 【 タイプの顔 】 と同じように、案外直感的に好みが反映されると思う。それでいうと私はこいつらなのよね、カラスハエトリ。
 1つ上の写真のネコハエトリも可愛らしいが頭の幅が狭く、眼も大きいのでブリっ子っぽいんだよなぁ。




デーニッツハエトリ
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi


 こちらもそれでいうと可愛い顔をしているが、案外上顎のところが肉々しいのが、肉食女子感を演出している。それなりにサイズがあるのでマクロで撮るとなかなかに迫力があって面白い。


 今回載せたハエトリグモたちは比較的サイズの大きい種だったわけだけど、ハエトリグモはそれらよりも小さい種も多いので、もう少しマクロ方面の撮り方を工夫して撮影倍率上げたりシャープに撮れるようにしていきたいな。







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白い旗は諦めた時にだけかざすの




 台湾北部の川沿いの森へ分け入って、湿気と熱気とが混ざり合う山道を散策する。時折、 「 パタパタッ、パタパタッ、パタパタッ 」 とリズム良く飛翔するトンボがいるのが目の端に入って気になっていたが、どうにも飛んでいる姿だけではそいつがどんな姿なのかわからなかった。
 ようやく遠くの葉上に落ち着いたのを確認出来たので、飛ばれないようそっと近づく。一筋の汗が背中をつーっと流れ落ちるのを感じつつも、じっくりと。






シロオビカワトンボ
シロオビカワトンボ Psolodesmus mandarinus mandarinus


 ようやくその全身像が。パタパタと飛ぶその残像に、不思議な白いラインを残していたのは、和名にもあるように白い帯状紋が入っているからのようだ。映画版 AKIRA の冒頭、金田たちが乗り回すバイクのテールランプが尾を引くように滑らかに残像を残しているシーンは、アニメーション表現としては至高のシーンだと個人的に思っている。ジャングルの中を通り抜けるこいつらの残像もまた、金田たちのバイクが生み出すそれと同じように、白く尾を引く残像を残していくのがとても印象的だった。

 ジリジリと距離を詰めるものの、ある程度近づくと警戒するようにひらりと飛び立ち、5枚ほど奥の葉にとまる。また少しずつ追いかける、奥へ飛ぶ。追いかける、飛ぶ。追いかける ・ ・ ・  気がつけば元いたルートからは大きく外れ、知らぬ間にジャングルの奥まったところまでまで誘われていたようだ。大きな川へと出てきたようで、ふと先ほどまで見ていたトンボの姿がないことに気がつく。
 まるで白昼夢でも見ていたようだ。あの白い残像だけが、かすかにまぶたの裏側にあるだけだった。白いウサギを追いかけて、危うく不思議の国にでも迷い込んでしまうところだった。






シロオビカワトンボ
シロオビカワトンボ


 別個体。こちらは流れる川の飛び石にとまり、長靴履いてザブザブと近づいて撮ったもの。彼らの体を覆う緑色の金属光沢はアオハダトンボCalopteryx japonica やリュウキュウハグロトンボMatrona basilaris japonica にも似ていて、リュウキュウハグロトンボは生息環境なんかも似ているように思える。これらのトンボはみな同じカワトンボ科Calopterygidae に属しており、河川周辺に生息するトンボのようだ。
 調べてみるとこのシロオビカワトンボにはクロイワカワトンボP. m. kuroiwae という亜種がいて、西表島や石垣島に分布するようで、虫屋の方からしたらこちらの方がよく知っているトンボかもしれない。ただクロイワカワトンボのほうは翅に白いラインが入らず、見た目は少し異なるが。何度か八重山諸島に訪れている身としては、もしかしたらどこかで見かけているかもしれないと思うと、猛烈に 『 ちゃんと見ておけば良かった 』 という後悔に駆られる。今に始まったことではないが、こういった類いの後悔は、興味が広がれば広がるほどに多く痛感する。

 また台湾にはリュウキュウハグロトンボの基亜種であるタイワンハグロトンボM. b. basilaris が分布しており、こちらもそういう意味ではちゃんと現地で探せば良かったと思うばかり。タイワンハグロトンボは台湾以外にも大陸側にいるので、 【 大陸 → 台湾 → 琉球列島 】 といった経路で分布していったのだろう。彼らカワトンボ科のトンボは、生活史をみてもそれなりに河川・渓流が重要なファクターであることを考えると、島嶼の淡水環境によっては限られた島でしか生息できないのかもしれない。
 だからタイワンウチワヤンマIctinogomphus pertinax やハネビロトンボTramea virginia など 【 大陸 ・ 台湾 ・ 琉球列島 】 にいる広域分布種が宮古島にいるものの、カワトンボ科の渓流に依存するトンボが宮古島にいないのも、そういった島の淡水環境が影響しているのだろう。 ( 宮古島には大きな河川がないため渓流がない )

 そういう島の成り立ちや構成種で系統地理学的に見ていくと、トンボも面白い材料だということが分かった。カエルで言えばハナサキガエル種群がそれに当たるもので、台湾にスウィンホーハナサキガエルOdorrana swinhoana が、八重山諸島にはオオハナサキガエルO. supranarina とコガタハナサキガエルO. utsunomiyaorum が、沖縄本島にはハナサキガエルO. narina が、奄美諸島にはアマミハナサキガエルO. amamiensis が、そして宮古島にはこの仲間が分布していないことを考えると、そういった渓流性のトンボと同じような分布様式を示すのは何とも面白い。



 やはりいろんな生き物を様々な角度で見ていくのは、たくさんの妄想ができて思いを巡らせるだけでも楽しめる。もっと広い範囲の生き物の勉強をせねば。思わぬ生き物から、両爬に思いを馳せることができるかもしれない。
 個人的にはサワガニ類の 【 大陸 ・ 台湾 ・ 琉球列島 】 の系統地理が、これら渓流性の生き物の分布様式とどう関連しているのかが面白そうなので、直近ではそこらへんを調べたいと思うばかり。









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プレート裏の住人を訪ねて


 冬場のフィールドでは公園の樹木プレートをめくっては蟲探し。プレートの裏でよく見かけるのはクモが多く、冬場でも活動している種もいるので貴重な生き物成分である。



キハダエビグモとキハダカニグモ
キハダエビグモ Philodromus spinitarsis ( 左 ) と キハダカニグモ Bassaniana decorata ( 右 )


 プレートをめくってみたら2 匹の別種のクモが向かい合っていた。エビグモとカニグモという甲殻類同士の組み合わせが面白い。木肌における蝦蟹合戦。
 案外プレートの裏は色んな生き物が身を寄せ合って共存している場合も多く、次の写真もそうだ。





コクサグモ
コクサグモ Agelena opulenta


 プレート裏に住居をたずさえる者も。松独特の樹皮には程よく窪地ができるので、前述のキハダカニグモだったり、ヤニサシガメVelinus nodipes にも人気の物件で、よく見るとこの写真でもコクサグモを加えたその三者がご近所付き合いしているのがわかる。






アオグロハシリグモ
アオグロハシリグモ Dolomedes raptor


 渓流の略奪者こと、アオグロハシリグモ。肌寒い冬の沢でも、彼らは何かを捕らえるべく、徘徊する脚を止めない。ハシリグモの仲間はサイズがそれなりにあるので、見つけた喜びと、迫力のある写真写りがなんとも嬉しい。
 海外でクモ写真が非常にうまいなぁと思う方がいて、写真見てたらその方に影響されたような構図になってしまった。




デーニッツハエトリ
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi


 こちらは夏に撮ったやつだけども。ハエトリ可愛いよなぁ。あのお方の写真を見ていると、やはりあのレンズシステムを組んでハエトリ撮りたい欲が湧いてくる。どこかでチャレンジしてみようかな。


ということで最近のカメラ機材欲と、冬フィールドの近況報告的な記事でした。


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勤勉なる媒介者


 コテングコウモリMurina ussuriensis を見つけた日の翌週、探し方の実用性を確かめるため別の山に向かってみた。 「 たしかあの植物は、あの山にあったはず ・・・・・ 」
 過去の山行を振り返り、キーとなる植物を道中見つけていた記憶がよみがえるその山へ。

 「 前回結構登ったし、今日は体力が保つだろうか ? 」 実はコテングコウモリを見つけた日の山登りはそれなりにアップダウンを繰り返したので、なまった足腰にはまだその日の筋肉痛がずしりと居座ったままだった。それでも山に出向いたのは、 『 コウモリの探し方を別の場所でも試してみたい 』 という逸る気持ちを抑えることができなかったからに他ならない。




 植物をみると、その場所の水環境も見えてくる。 「 あれは乾燥したとこでも生える、これは決まって湿り気のあるとこに咲く 」 特に湿っぽいとこに生える植物は、両爬探しでも役立つところがあるので、気にするようにしているし、面白いやつも多い。


ツリフネソウ
ツリフネソウ Impatiens textorii


 このツリフネソウもそうだ。まだ勾配がキツくない比較的なだらかなところで、斜面を下った雨水がしばらく土の中で滞留するようなところに群落を作っているのをしばしば見かける。花の形態は特徴的で舟を吊ったような姿からそのような和名がつけられている。
 秋に咲く花でこの面白い形は何度見ても不思議だ。



 風変わりな形態の植物というのは、何か特異的な花粉の媒介者との共進化を遂げていたりするもので、かのチャールズダーウィンも30 cm にも及ぶ距の長いラン Angraecum sesquipedale を見て、この蜜を吸える口吻の長い蛾がいるはずと予言をし ( 当時はまだこの蘭の蜜を吸える生き物は発見されていなかった ) 、本当に口吻の長いキサントパンスズメガXanthopan morganii praedicta が彼の死後、発見されたという話があるほどだ。


ツリフネソウ
ツリフネソウ


 そういう観点で見てみると、このツリフネソウも花の後ろ側に伸びる、奇妙な渦状の距を持っており、そこに甘い蜜を携えている。ならばこの奇妙な形の花の蜜を吸うために適応した媒介者がいるのではないかと想像させる。
 実際にもその通りで、この花のデザインは口吻の長い数種のマルハナバチ類をお得意様としており、この日はようやくその光景を見ることができた。


トラマルハナバチ
トラマルハナバチ Bombus diversus diversus


 水性絵の具の赤紫色を野山に点々と垂らしたかのようなツリフネソウの群落に、黄色くてふわふわの何かが飛んできた。それはいくつもの赤紫色の点に触れては消え、また少しすると違う赤紫色に触れては消え、を繰り返している黄色。ようやく近くのツリフネソウに触れたので見てみると、そこにはトラマルハナバチが。
 ツリフネソウにとってはこのトラマルハナバチが最もよく花粉を媒介してくれる重要な得意先である。



トラマルハナバチ
トラマルハナバチ


 この写真でわかるように、マルハナバチの中でも特に長い口吻を持つトラマルハナバチだけが、この袋小路になって先細りしながら渦巻き状になっている距から蜜を吸うことができるのだ。勤勉なマルハナバチは花蜜集めでとにかくいろんな花を巡る優秀な媒介者。
 その中でもさらに種を限定して、他の生き物が蜜を吸えない仕組みにするというのはリスクでもあるが、反対にトラマルハナバチはこのツリフネソウの蜜を独占できるのだから、次から次へとツリフネソウを渡り歩いてくれるメリットもある。そうすることで受粉の確率をツリフネソウも高めているようだ。



トラマルハナバチ
トラマルハナバチ


 蜜を吸うためには体を花の奥まで突っ込み、そこからさらに口吻を伸ばすことで吸うことができる。そのためにツリフネソウの花は、前側はマルハナバチがとまれるほどの足場があり、体がジャストサイズで入れる空間ができていて、そして長い口吻でないと吸えないような距の形をしているのだ。
 つまりトラマルハナバチのために形作られた形態であると言っても過言ではない。




拡大
拡大


 上の写真を拡大してみる。赤い矢印があるところにおしべがあり、ちょうどトラマルハナバチが頭部を突っ込んだところで、ふわふわの黄色い毛が生えそろっている胸部背中側に花粉が付く仕組みになっている。
 何度もツリフネソウを訪れるトラマルハナバチは背中が花粉で真っ白になり、すごい勤勉な個体だと、背中の毛が擦れすぎて抜けてしまうヤツがいるほどらしい。


 ツリフネソウを知った時から憧れていた光景をようやく見ることができた。マルハナバチは勤勉なので、ツリフネソウ群落では何回もその光景を見ることができて幸せになれる。特にトラマルハナバチが蜜を吸い終わって、後ろ向きでズリズリとおしりから出てくる姿が可愛らしくてたまらない。










コテングコウモリ
コテングコウモリ


 もちろんこの日の目的であるコテングコウモリもばっちり。記憶の片隅にあったあの植物は、想像よりも標高を上げたところにあって辿り着いた時にはもうクタクタ。
 でもまぁツリフネソウの受粉光景見られたし、何よりこの天使が見られたのが最高だった。やっぱりあの探し方が良いみたい、と実感できた日だった。



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ゼフィルスたちが降り立つ野



 モリアオガエル Rhacophorus arboreus の後には、しばらく過去を振り返りながら、記事を消化しようと考えていたが、なんだかんだで生き物の旬なネタを載せたいので、昨日の里山での話を。


 先日ヒバカリ Hebius vibakari 狙いのフィールディングをしている最中に、リンク先のカケガエルくんからLINEが届いた。数件のやり取りをしていると、 「 今日はウラナミアカシジミ Japonica saepestriata を探しているんですよ。そういえば去年、そちらの里山でも少ないですが見かけましたね。 」 とのこと。
 数年前に別の里山でチラリとその姿を見たことがあったが、その時はあっという間に飛び立たれてしまい悔しい思いをした記憶があった。 『 そういえば、そんな季節なのか、帰りにちょっと寄ってみるか 』 と、彼が目撃したという場所に夕方寄ってみることにしたのだ。


 するとさっそく 「 あ、ウラナミ !! 」 葉上で翅を休めるウラナミアカシジミの姿が。彼の助言通りではないか。慌ててカメラを構えるも、距離もあるし夕方で暗くてシャッタースピードも上がらず、ブレブレの写真1枚を撮ったところで、またもや飛び立たれてしまった。見ると上空には他個体も飛んでいるようで、なるほど個体数はそれなりにいるということがわかった。

 ということで次の休日に再訪することを誓うのであった。ちなみにヒバカリの方はというとからっきしで、 「 ヒ 」 の字も見ることがなかった。



 ただ林内でふと何かに見られているような気配を感じた。ふと、林床の下草の隙間に目を凝らしてみると、ヘビの視線のようなものが、こちらを睨みつけていた。


クロヒカゲ
クロヒカゲ Lethe diana


 それはヘビの眼光ではなく、暗い林内を飛び交うクロヒカゲの眼状紋だった。一瞬でも 「 お、ヘビだ ?! 」 と思ってしまうほど、ヘビが見られなかった日だったので、どれだけ肩を落としたことか。


クロヒカゲ
クロヒカゲ


 クロヒカゲの全身像。こう見るとカラーリング的にはアオバズク Ninox scutulata っぽいね。ヒバカリには会えずじまいだったが、この手のジャノメチョウの類いが暗い林内を飛び回っている光景って結構好きなんだよね。どんよりしていて一見するとあまり生き物がいそうにない気配なのに、実はよく目を凝らして見ると様々な生き物が息づいているその雰囲気が。



 そんなわけでこの日の成果はイマイチだったので、次回に持ち越し。












栗の木
クリ Castanea crenata


 そして話は昨日へ。再訪前にいろいろ調べてみると、どうやらウラナミアカシジミなどのいわゆるゼフィルスたちは、栗の木で吸蜜するということが分かったので、今回は栗の木を重点的に巡ってみることにする。
 木本類はあまり知識がない私だが、栗の木ならばわかる。それはきっと私だけではなく、他の男性諸君も同様であろう。身に覚えのあるような香りを発するその木は、自然に詳しくない人でも 「 ○○ のニオイのする木 」 といえば通じるように、実にわかりやすい木なのだ。いわゆるティッシュのアレだ。




アカシジミ
アカシジミ J. lutea


 雑木林に生える栗の木を見てみると、さっそくウラナミアカシジミと同属のアカシジミが吸蜜していた。おぉ、これは幸先が良い。高い位置に咲く花の蜜を吸っていたが、去年購入した望遠レンズが役に立って、離れた位置にいる飛翔昆虫も狙えるようになったのは嬉しい。



アカシジミ
アカシジミ


 この日は風が強く、上空や樹上に留まれない個体がポツポツと下草に取り付いてしのいでいるのが目についた。この個体も日当たりの良い栗の木で吸蜜したのち、重たい体が風にでも煽られたのだろう。まだ羽化してそんなに経っていないためか、風にガンガン煽られてあちこちに体をぶつけていたが、羽はまだボロにはなっておらず綺麗なオレンジ色は健在であった。


オオミドリシジミ
オオミドリシジミ Favonius orientalis


 栗の独特の香りに包まれながら、吸蜜にやってくるチョウたちを観察していると、アカシジミよりも早い飛翔でやってきたゼフィルスがいた。オオミドリシジミだ。
 この日はこの個体1頭のみしか見られなかったため、美しい表面の金属光沢を見ることは叶わなかった。だいぶ上の方を飛んでいて、なんとかその裏面を捉えただけであったから。



ミズイロオナガシジミ
ミズイロオナガシジミ Antigius attilia


 他にも続々と訪れるゼフィルスたち。こちらも飛ばされ煽られ、下草に降りてきた。普段と違って特に意識してフィールドに出ているからか、本当にこの日はよくシジミチョウが目に入る。
 これでゼフィルス3種目。こんなに見られるとは予想外だ。

 そんなことを指折りしながら栗の木の下で待っていると、ついに本命がやってきた。



ウラナミアカシジミ
ウラナミアカシジミ


 遠くから飛翔してくる姿こそ、前述のアカシジミと同じオレンジ色だが、近くまでやってくるとその複雑な波模様が姿を現す。求めていたウラナミアカシジミだ。その独特の裏面の模様こそ、私が探していたゼフィルスのその姿で、運よく欠けのない、いわゆる完品の個体に出会うことができた。

 狙いを定めてフィールドに赴き、この日は4種もの美しいゼフィルスに出会うことができた。比較的に見つけやすい平地性のシジミチョウたちではあるが、1日でこんなに見られるならば面白い。高山地帯での美しいゼフィルスとの出会いといったらどれほどの感動なのだろう。想像するだけでもとてつもない感動があると容易にわかるが、実際はそれのさらに上を行くのだろう。そういう虫屋さんって本当にすごいなぁ。
 私としては虫屋ではないのだが、素人的にはパッと見の派手さがあるウラナミアカシジミが特に好みであった。





 それにこの日は年配の虫屋さんも結構見られ、それぞれ楽しそうに虫を追いかけていた。やはり虫捕りというのは生涯をかけて臨む良い趣味なんだろうな。みんな目が少年のそれであった。
 私も時間を忘れ、情熱を持って生き物を追いかけていきたい。






ウラナミアカシジミ
ウラナミアカシジミ





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エアアジアの激情

 ● 亜細亜の熱帯雨林、ボルネオの旅 ●
プロローグ. 暗黒大陸への渡航
1. 旅の終わりは、旅の始まり
2. エアアジアの激情
3. それぞれの乾杯で繋がる世界
4. 伏線のポッポヘジュセヨ
5. 森の人の恩返し
6. ジープが停まる理由
7. Monster Monkey Morning 
8. まるまるこのもり
9. 虎とか豹とか虎とか
10. 熱帯猿紀行
11. ジュラシック・リバー・クルーズ
12. クルーズ拒まず、サルを追う
13. 真っ暗闇に漕ぎ出して
14. 真っ暗闇を抜け出して
15. おはようボルネオ
16. 花束を君に
17. 支流の小径
18. 尻尾の理由を聞かせておくれ
19. 未知へと続く道







 というわけでボルネオ編。今年は四国行ったり沖縄行ったりと遠征続きたったが、ついにそれに加えて大きな海外遠征である 【 ボルネオ遠征 】 を決行。正直、今年はお金の出費がえげつないのだが、後先を考えると行ける時に行かなくては後悔するなという思いで、大奮発の2016年でございます。
 今回は大学時代の友人であるルンチョロサンとの男二人旅。彼は2つ下の後輩で共に両棲類・爬虫類を追いかけた両爬屋の同志であり、在籍期間は被らなかったが同じ研究室にも所属していた、いわば嗜好の似た生き物屋なのである。
 一眼レフが同じ PENTAX だというのは知っていたが、羽田空港で待ち合わせた際にどちらも黒色の [ mont - bell GALENA PACK 30 ] を行動用のザックとして背負っていたのには笑ったし、夜のフィールドで気づいたが懐中電灯も [ Super Fire ] の同じ型だったという衝撃の事実。

 同じ一眼レフを携え、同じザックを背負い、同じ懐中電灯を振り回すその2人の姿は、些か怪しげなカップルに見えなくもないが、まぁ嗜好が似れば装備も似るのか、なかなかない面白体験をさせてもらった。ただ私に欠けている絵心というのも彼は持ち合せており、昔紹介した絵も実は彼の作品である。そこは持ち合わせてない部分なので純粋に尊敬するし、羨ましくも思う。


 そんなルンチョロサンとはお盆時期の深夜の羽田空港で待ち合わせ。私は仕事の都合上、休める時期が結構限定的なので、長期休暇を誰かと合わせて旅をするというのが中々に難しかったのだが、今年は曜日の回りも良く6連休を取得でき、なおかつそのピンポイントの日程にルンチョロサンも合わせられるということで今回の旅は決まった。かねてより憧れていたボルネオなので少しでも長く滞在するために、仕事終わりの深夜出発でLCCを乗り継いでボルネオ入りする旅程だ。

 フライトは深夜1時発の香港行き。香港到着予定は4時半だが現地時間表記のため時差マイナス1時間を考慮するとおよそ4時間半のフライトなのだが、詰め込んだ仕事疲れと、景気付けに冷蔵庫の奥から引っ張り出してきたバドワイザーの 350 ml 缶を飲みながら空港まで来たおかげで爆睡することができた。 ( バドワイザーを選んだのは、私の 45L バックパックは赤色なので同じ赤で似合うし、バックパッカーがバドワイザー片手に歩いている姿が “ いかにも ” って感じでカッコイイなと単純に思ったからに他ならない。 )


 全行程中この飛行機だけはうまく座席指定ができずバラバラの席に座ってしまった。着陸後、前側にいた私はルンチョロサンが来るまで座席で待ち彼が来た時に機内の通路に出たのだが、そこですごい奇跡的な出来事が起こる。ルンチョロサンの前に入ったその私の前にいた香港人の青年が背負っていたもの、それは前述した私とルンチョロサンが背負っている [ mont - bell GALENA PACK 30 ] の黒色 !! まさかの狭い機内で同じザックが3並びになる奇跡。
 ただでさえルンチョロサンと被る想定外の事態だというのに、それを上回るスリーセブンのような状態に。なんだか今回の旅を占うかのように、良い賽の目が出た気分。

 乗り継ぎで5時間ほどを香港国際空港で過ごさなくてはならないのだが、早朝なのでターミナル内は店がどこもやっていないのでひとまずフードコートで仮眠をとることにした。6時になると場内のエアコンが急激に稼働し始め、仮眠わずか1時間ほどで目が覚めてしまうほどキンキンに。それと同時にガヤガヤと声のデカイ香港人たちが押し寄せてきていよいよ寝ている場合ではなくなったので、とりあえず空港内を散策してみる。




リーパネル
ブルースリー パネル


 偉大なる香港スター、ブルースリーのパネルが展示してあったので観光客よろしく一緒に写真を撮る。複数のパネルがコマ送り状になっているため、途中途中で変な顔のブルースリーがあるのでそのパネルで写真撮影してきゃっきゃきゃっきゃしていたのだが、早朝の香港はずいぶんと現代的なようで、みんな冷ややかな視線を一度はこちらに向けるものの、すぐにスマホへと目を移し何事もなかったように、バカ騒ぎしている我々の横をスタスタと素通りしていく。あぁ、どの国に行っても現代ではこれがリアルな反応なんだろうなぁと思いながら、途中で他の観光客がブルースリーと写真を撮ることなく、ボクらの撮り合いっこは終わった。


リー
ブルースリー


 帰国後すぐに載せたボルネオ組写真で、 「 なんでブルースリー ? 」 と思われた方も多かっただろうが、コレでございます。やはり予告編っぽく期待を持たせるような写真をたくさん羅列したかったわけだけど、スタイリッシュすぎるのもそれはそれで恥ずかしいので緩衝材として香港が生んだ大スターを使わせていただきました。
 一通り遊んでいるといよいよ店が開き始めたので、朝食をとることにする。両替してもここでちょろっと使うくらいなので、わずか 1,000 円を 71.1 HK$ に両替し ( 当時レートで 0.0711 HK$ / 円 ) 、チャイナレストランへ。




香港流モーニングセット
香港流モーニングセット


 カレー風味の揚げ豚肉入りヌードルに、なんとトースト・スパム・ウインナーとドリンクがつく謎の食い合わせ。香港の忙しいビジネスマンたちがささっと食えるもんなんだろう。これで 40 HK$ 、まぁ日本とそう変わらない感じ。
 味は想像通りでうまいし、さらっと食べられる。食後のシメでキリっとアイスコーヒーを飲みたかったのだが、あまあまのコーヒーだった。 ( それはそれでおいしかったのだけれども。 )



 香港国際空港はかなり綺麗な施設であり、かつ近代的な設備でもあった。出国ロビーへ向かうには、まずイミグレーションを通過した後に、空港内を走る専用の地下鉄を利用して搭乗口近くのプラットホームまで向かう。車内も驚くほどに冷房が効いており、車内で掴まる金属製の手すりは舌をくっつけたら離れなくなるんじゃないかってくらいキンキンになっていたので、もし今後利用される方 ( 特に女性の方 ) は注意してくだされ。よくアジアの旅行雑誌なんかにもクーラーの効き過ぎが指摘されているが、想像よりも寒い、冷蔵庫かってくらい寒い、ので薄手の上着ではなくちゃんとした上着が必要かと。


 えっ、こんななんちゃってトラベル通信はいらないって ?


 読者の大半を占めるであろう女性ファンのためにも、たまにはこういうプチ情報も発信しなけらばならないと思うわけですよ。 『 両爬好き ・ 下ネタ好き 』 のモノ好きな読者なんてのは数%なんだから、ふむふむと読み進めてくだされ。




 そして香港からのフライト3時間を経てようやくボルネオ島の玄関口 コタキナバルに到着する。 [ 香港 - コタキナバル ] 間はエアアジアというアジア地域では大きな航空会社を利用したのだが、ここのCAさんがすごい。
 ネットでも話題になっているがなかなかにセクシーなCAさん揃いの航空会社で、真っ赤なジャケットに真っ赤なタイトスカートを身に付けており、スタイル抜群な上に顔立ちも整っていて、 「 こりゃあ、見た目採用だな 」 ってな様相。
 現に待合ロビーで搭乗を待ちながら、チラチラとCAさんの様子を窺ってみると、ミランダーカー似のCAさんがいるではないか。 「 こりゃあオレのジャンボジェットも急上昇だぜ 」 ってな具合にワクワクしながら飛行機に乗り込んだわけだけども、我々の座席エリアはミランダが担当ではなく、スタイル抜群のボン ・ キュッ ・ ボンだが顔面ハイパー厚化粧の “ 偽ミランダ ” の縄張りであった。
 まぁそりゃあ全員が全員、美女ってわけはないだわさ。ただなんでオレらんとこなのよって話。おかげで一気に急降下、ただただ眠る3時間となったのである。


 んでこの航空会社がすごいのか彼女がすごいのかわからないが、コタキナバル空港に着陸してシートベルト着用のランプが消える前に、あの “ 偽ミランダ ” が、 「 プスーーッ 」 という音を立てながら後ろからツカツカと真ん中の通路を歩いてきたのだ。見るとビニール手袋をはめた手に消臭プレーを持ち、座席上部にある荷物入れのところにその白い煙を勢いよく噴出しながら全ての席を回っているのである。
 まぁ我々が飛行機を降りた後にやるならばクリーニングの一環であろうし全く構わないが、まだシートベルトを着用し皆が座っているにも関わらずにモクモクと煙を立てるのはいかがなものかと。 ( それも火災報知機とかが誤作動しそうなくらい機内に充満させて )

 ただ、私が腹を立てたのはそんなことではない。

 あの “ 偽ミランダ ” がドヤ顔でモデル歩きをしながらスプレーを噴射し折り返してきたことに怒り心頭である。スタイルが良いだけに KGC ( コタキナバル ・ ガールズ ・ コレクション ) かと思ったわ !!



 そんな怒りを抱きながらの念願のマレーシア入国。ボルネオ島には3つの国 ( マレーシア ・ インドネシア ・ ブルネイ ) が存在するのだが、今回は北側のマレーシア領を旅する。
 ただ我々が目指すのは原生林の奥にある宿であるため、ここからさらに国内線へと乗り継ぎがあるので、特に行動する間もなく昼食。香港でモーニングセットを食べたばかりだったので軽くサンドイッチを頬張り、書店でボルネオの蘭図鑑とボルネオの地図を購入して時間をつぶす。



マレーシア航空
飛行機 ( マレーシア航空 )


 国内線は小型の機体。飛行場に出ると外の空気はもう熱帯のそれであり、ムワッとしているのだが期待に満ち溢れているのでそれも心地よく感じてしまうほど。1時間のフライトだったが、LCCの狭い機内の乗り継ぎ続きだったために疲労が溜まっていて、ロクに動いていないのに若干足がお疲れ気味に。短足の私でこれなのだから、足の長い方はさぞ大変だろう。


 合計 8 時間半におよぶフライトと、 7 時間半の待ち時間を経てようやく辿り着いたラハダト空港。これで空路は終わりである。ここから更に迎えの車に揺られて悪路を進むこと1時間半、ようやく宿に到着した。








ウェルカムドリンク
ウェルカムドリンク


 着くとまず柑橘系の爽やかな味に、疲れた体が癒やされる塩気のある梅干しを入れたウェルカムドリンクをいただき、宿の説明を女性スタッフのオリビアからゆっくりとした英語で伝えられる。食事の時間や宿のルールを聞き、ルームナンバー “ 7 ” の部屋へと案内されると、ルンチョロサンが 「 お、ラッキー7 」 と小学生みたいなことを言い出したが、オリビアも嬉しそうに 「 Yeah , lucky 7 !! 」 と同調してくれていたので、まぁ良しとしよう。
 部屋の各設備の使い方もオリビアが細かく説明してくれて、最後に先程説明した夕食の時間をアホそうな我々がちゃんと覚えているか確かめるために、 「 夕食の時間は何時からだっけ ? 」 と尋ねてくるので、 「 7時っ ! 」 と答えた後に続けざまに 「 ルームナンバーはラッキー 7 。 夕食の時間は ? 」 と返すと、2拍くらいおいて 「 .. Lucky 7 !!  Yeaaah !! 」 と3人でハモってゲラゲラ笑った。
 老舗旅館で女将にしっぽり挨拶されるのも良いのだが、こういうラフな文化も素敵やね。やはり海外に旅へ出るならば、現地にいる方とは仲良くなりたいし、いろんな文化にも触れてみたい。そういう意味ではある程度オープンに接していく必要があるため、そこらへんのコミュニケーション能力の高いルンチョロサンは旅の相棒としてはとても心強い。私も台湾では香腸 ( ソーセージ ) 屋の方々と仲良くさせてもらったのもあって、こういうタイプの旅は大好きでたまらない。


ルームナンバー7
ルームナンバー ラッキー7


 部屋はシンプルでベッド2つにシャワートイレとファンがついた簡素な造り。エアコンはないが陽が落ちてからはファンを回していれば気にならないし、シャワーは温水も出るのでまずまずの宿。
 アジアの旅行記なんかを読み漁っていると、エアコンもファンもなくてキツイとか、水シャワーしか出なくてツライとか目にしていたのだが、そういうのに比べたら全然豪華。そもそも去年の台湾は車中泊だったので、横になって寝られるだけで遥かに贅沢である。




 ほぼ1日を費やしての移動となり、これが案外ヘトヘトにさせるものだったのだが、ようやく重い荷を解くことができた上にここはボルネオ。夕食まで少ししか時間はなかったが、夕方宿の周囲を散策する欲求を止められなかった。


テングスケバの仲間
テングスケバの一種 Dictyophara sp.


 オキナワテングスケバD. okinawaensis に近い種だと思われる。胸部の模様の入り方や翅にある黒点などが良く似ているが、オキナワテングスケバほど天狗の鼻は長くないようだ。ただこの属の虫は種類も多いので、なかなか種同定は難しい。



コメツキムシの仲間
コメツキムシの仲間 Elateridae gen. sp.


 大きめのコメツキも。私が今まで見たコメツキで例えるならばオオナガコメツキOrthostethus sieboldi くらいのサイズで、胸部に2つの黄色い斑点があった。
 まぁ細かい差異を見ていけばテングスケバもコメツキも面白いんだろうが、まだまだ未熟な私には沖縄と同列くらいの 「 おぉ 」 という感動。まだ熱帯雨林の奇抜な虫に出会った感じではない。



 湿地でやたらカエルが鳴いているも全然どこにいるかわからず、なおかつ近づいても永遠鳴き続ける余裕っぷりに腹が立つ。そうこうしているうちにオリビアと交わしたラッキーな時間が迫ってきたために撤退。




コノハムシの仲間
コノハムシの一種 Phyllium sp.


 食堂は窓もないところで、テラスといえばテラス、屋根のある屋外みたいな場所だったので、ライトにおびき寄せられて虫たちが飛来する。先に食堂に来ていたフランス人家族のダディが、ホオグロヤモリHemidactylus frenatus を熱心に見ていた我々に向かって 「 あそこに良いのがいるぜ 」 と教えてくれたのがこのコノハムシ。
  Oh , ようやく奇抜なヤツのお出ましだ。こんな柱について味気ない写真だが、森の中にいるこの虫を見つけ出せといわれても一筋縄では見つけられないなと、実物をみてまざまざと思い知らされる。それほどまでに精巧に創り込まれており、微妙に葉の端が枯れるような茶色い模様まで再現しているのがにくい。




夕食
夕食


 そしてメシの時間、ラッキー7 。ビュッフェスタイルといえば聞こえは良いのだが、メニューはこの一皿に載っているわずか4品 ( タイ米も入れてなのでおかずは3品 ) しかないため、どちらかというと給食の配給的なレパートリー。
 ただ味はうまい。チキンのトマト煮と中華風牛肉炒めに、野菜炒め。これまで移動の合間にチマチマと食べていたのでようやくのしっかりしたご飯に舌鼓を打って栄養補給。


 そしてこの後、念願のボルネオでのナイトハイクである。このために時間を削減できる深夜発のLCC乗り継ぎをしたのである。直行便では楽に行けるものの、便も少ないので結局初日は宿に着いて寝るだけになってしまう。
 なので時間優先の乗り継ぎ作戦で “ 偽ミランダ ” の猛攻にも耐えたのである。




 さぁさぁ、これから冒険の始まりだ。











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惑星Xの遣い

 梅雨時期のある日、レンタカーを借りて後輩であるリンク先のカケガエルくんと伊豆方面へと出掛けた。雨が降りそうで降らない微妙な天気の日、想像以上に時間がかかったが、なんとか目的地に辿り着くことができた。
 山を散策しながら岩肌を見ていく。コマダラウスバカゲロウDendroleon jesoensis やらコケオニグモAraneus seminiger を探していると、ある生き物をカケガエルくんが発見する。



マメザトウムシ
マメザトウムシ科 Caddidae の一種


 ジークさんが愛して止まないマメザトウムシ。ブログを拝見していて見てみたいなぁと思いつつも、サイズがサイズなので厳しいだろうなと思っていた。この時も2人して「マメザトウムシ見つけてみたいねぇ」と言いながら探していて、私が「こっちにマメザトウムシじゃないけど、足の短いザトウムシいるよぉ」と教えると、「あれ、横にいるこれって・・・」
 彼がその “ もしかしたら ” をマクロレンズで撮ってみると、液晶画面に映ったのはまさしくジークさんのブログで見かけるマメザトウムシの姿だった。

 それを機にあっちでもこっちでも見つけられ、実は付近に相当数のマメザトウムシがいることがわかった。やはり0と1では大きく違っていて、一度でも実物をこの眼で見られれば、見てなかったときでは考えられなかったような光景が眼に飛び込んでくるのだ。はっきり言ってこの差は非常に大きく、生き物屋の方は実感できることだと思う。そういう意味では、この最初の一歩というのは世間的には小さな一歩かもしれないが、我々にとっては偉大な一歩となった。


 それにしてもよくこんな小さい生き物を自分の眼で見つけ出せたものだなと思う。本物を見れば、どんな大きさで、どんな色で、どんな動きで、etc... といった特徴を検索キーに入れて探せるのだが、それ無しで探し出すのはなかなか至難の業である。そしてさらに、このような生き物を探し出し、あのような写真を撮れるジークさんの凄みを改めて実感させられる。



マメザトウムシ
マメザトウムシ科の一種



 まるで別の惑星で闊歩している大きなエイリアンでも撮影したようなその風貌。これでも頭胴長で 5 mm にも満たない、小さな生き物である。
 動きはクロイワトカゲモドキGoniurosaurus kuroiwae に似て、チャカチャカっと動いてはピタっと止まり、またチャカチャカ動く感じ。定期的に止まってくれるので動きの面では写真は撮りやすい。2人とも両爬屋だったので、このクロイワ的っていうのが共感できて嬉しかった。虫屋的に言えばゴキブリなんかのそれに近いかな。



 あっちこっちで見かけるようになると、今度はそっちに眼が引っ張られる引っ張られる。標準レンズの眼で生き物探しながら山を登っているつもりなのだが、いつの間にかマクロレンズの眼で小さなものを探してしまってしまう。こうなるとね、なかなか別の生き物が見つからない。植物探してるときもそうだけど、意識がどこかに傾くと、広い視野で探せなくなってしまうんだよね。まぁそれが良くも悪くもあるわけで、そうしないと見つからない生き物もいるわけで。そうなるとやはりあらゆる生物群を探し出している人って本当にすごいなぁ。
目ん玉とか脳ミソとかどんな感じなんでしょうね。



 とりあえずカケガエルくんありがとね~。





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たった数日間の女神


 この前の週末は学生時代のサークルメンバーでフィールディング。5人も集まって山に行くなんて久しぶりで、それぞれ思い思いに生き物を追いかける姿は、卒業後数年経っていても変わらない。

 ・哺乳類のフンを見つけると弄くり回すヤツ、
 ・気がつけばスイスイと山を登って行くヤツ、
 ・カメラのバッテリーを充電したまま忘れて、ただただかさばる重たい荷物を持ってくるヤツ、
 ・メシ時にみんなの分のシートとして新聞紙を持ってきてくれるヤツ。

 そして私も私で相変わらず、生き物逃がしちゃうし、石で滑ってズッコケるし。


 みんなで生き物見るのは、感動を共有できるから良いね。1人じゃわからない事も三人寄れば文殊の知恵だし、特に何も出ない時はくだらない話でもしてれば、それだけで楽しい散歩にもなる。腹を満たすだけの昼メシだったのが、そこに会話が生まれるだけでもうピクニックだ。
 そういやそのメシ時に友人に見せてもらった 「 コスタリカの奇妙な虫図鑑 」 という本がめちゃくちゃ面白かった。そこには “ ベッコウバチ擬態のキリギリス ” Aganacris insectivora が載っていて、コイツが最高にカッコイイわけ。しかもキリギリスだから草食なのにinsectivora (食虫)だなんて名前がついている。葉っぱやらコケなんかに擬態するのは見たことあったが、まさかベッコウバチにまで化けるとは。
 久々に楽しい生き物話の食事だったし、その上食べながら目的の生き物も飛来してくるのが見られた。






ギフチョウ
ギフチョウ Luehdorfia japonica


 日当たりの良い尾根や山腹、頂上なんかにひらりひらりと吹き上がってくる、なんとも美しい春の女神。先週は寒の戻りということもあって気温も落ち込んで、更には冷たい雨まで降ってきて桜にとっては花散らしの雨となった。そんな寒々しい早春だが、なんとも運良く週末には晴れ間がのぞき、上着を脱ぎたくなるようなポカポカ陽気に恵まれた。

 まさにギフチョウ日和。

 ちょうどピンポイントで我々が約束していた日にちにそれはやってきたので、多くのギフチョウたちと戯れた。きっとメンバーの中に、猛烈な晴れ男か晴れ女がいたんだろうね、こんなにも絶好のタイミングだとは想定外だった。月曜日にはまた寒さが戻っていたので、またとない機会となった。
 羽がボロボロになっている個体も散見したが、写真のようにピンとした個体もいた。それもこんな距離で撮れるのだから幸せ幸せ。
 谷底からフワッと尾根に舞い上がる美しい蝶を見る度に、 「 わぁっ 」 と各々の顔に花が咲いているのが印象的だった。 「 来た来た ! 」 「 後ろ後ろ !! 」 なんてやりとりが、私の記憶を学生時代に連れ戻す。あの頃も今も、生き物はいつだってボクらの原動力だ。





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赤い宝石の瞬き

アカスジベッコウトンボ
ナンヨウベッコウトンボの一種 Neurothemis sp.


 おそらくアカスジベッコウトンボN. ramburii だと思われるが、本属のトンボは迷トンボとして飛来してくる可能性があり、これまでに日本では3種ほど記録されているようだ。(私がザッと調べたところでは)
 アカスジ以外にナンヨウベッコウトンボN. terminata およびフチドリベッコウトンボN. fluctuans の飛来が確認されていて、3種とも東南アジアに生息する美麗なトンボだ。



 フチドリとは異なり後翅の赤褐色斑が弧状に長くなかった。ナンヨウとの違いは前翅の三角室を見なければいけないので判断しかねる。ただナンヨウはこれまで1980年に石垣島でオスが1個体見つかっただけで、迷トンボも迷トンボ。反対にアカスジは2006年に与那国島で記録されて以降、近年八重山諸島で数々の記録がある。
 もちろん西表島も例外ではなく、この赤い宝石を見つけている人は数多くいるようだ。私がこのトンボを見つけたのは先の西表島旅行の時なので、形態では種同定しかねるが、状況を踏まえたらアカスジであろう。


 そんな赤い宝石が川を遡上している私の眼前をかすめ飛んだ。目で追うとずいぶんと上にあがって行き、トンボと太陽が重なり合ってしまった。一瞬目が眩むと太陽光の残像が辺りの風景に付きまとってくるが、その中にもう1つの残像を見つけた、「 さっきのヤツだ !! 」 しょぼついた目のままジャングルの中へ追いかけて行くと、先程までの赤い残像は枯れ草に静止していてその姿をようやくあらわにした。
 思った通り素敵な生き物がそこにはいた。以前西表島ではコナカハグロトンボEuphaea yayeyamana を見つけて喜んだように、やはり赤いトンボには興奮してしまう。ただコナカハグロトンボのように容易には近寄らせてはもらえず、この写真より3歩ほど近づいたところでふわりと奥へ飛んでしまった。


 まるで幻を見たようだった。わずかに私の瞳に赤い残像が残っている。果たしてこれは彼の残像なのだろうか。名残惜しくてもう一度太陽を見て、目を眩ませる。
 でも残像は1つだけで増えることはなかった。




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ミクロの宇宙を覗き見る

 お誘い頂いて先週はリンク先であるIMのジークさん、未定のクマGさん、何度かお会いしている冬虫夏草屋さんとでフィールディングに。夕方に集合してコンビニでメシを買い込んで、夜の林道を散策して途中車に戻ってメシを食ってまた林道に。深夜に車中泊をして、朝またコンビニでメシを買って今度は海岸を散策して。生き物の話して生き物屋の話をしてくだらない下ネタで盛り上がって。まるで大学時代のサークルを思い出すような、とても居心地の良いフィールディングでした。
 この感覚はいつ振りだろう。それでいて、自分の知らない生物群を教えていただけるなんて、一人でフィールドに出ていたら得られないモノをたくさん得た、そんなフィールディングでした。




カタツムリトビケラ
カタツムリトビケラの一種 Helicopsyche sp.


 皆さん各々の道具を用いて微細な世界に触れている。これはカタツムリトビケラの幼虫が石英のような微細な砂で作りあげた巣で、直径にして2mmほどのごく小さいモノである。100mmマクロと私の腕ではこれが限界なので、もっとしっかり見たい方はぜひリンク先へ飛んでみてください。
 水の染み出しで石を拾い上げ丹念にその表面に目をやると、いくつか付いているのがわかる。初めにどんなものか実物を見てみないことには果たしてそれが巣なのか、ただの砂の塊なのか判別がつかなかった。ようやく自分でも見つけた巣をじっくり観察してみると、本当によくできたガラス細工のような、ありきたりだけど “ 自然が織りなす芸術 ” といった印象だ。




Gibellula
Gibellula sp.


 クモから生える冬虫夏草。沢沿いのアオキAucuba japonica の葉裏についていることが多いようなのだが、素人の私には見つけられなかった。冬虫夏草屋さんは気がついたらたくさんの虫草を暗闇の中から見つけ出していた。
 また八重山にはイリオモテクマゼミタケCordyceps sp. なる虫草が存在するらしく、和名に西表とつくので魅力的だし、写真を見せてもらったが宿主が宿主だけになかなか迫力があってカッコイイ。



トゲヤドリカニムシ
ヤドリカニムシ科の一種 Chernetidae gen. sp.


 おそらくトゲヤドリカニムシHaplochernes boncicus であろうという話だが、顕微鏡を用いて同定する必要がある。私の中でカニムシといったらこういうスギの樹皮下で見つけている生き物。
 しかしカニムシというのは非常にバリエーションに富む生物群で、落ち葉の裏だったり海岸の石っころの裏だったりネズミやモグラなどの小型哺乳類についたりと、ただの『尻尾の無いサソリ』と表現するにはもったいないほど面白い生態をしている。




イソカニムシ
イソカニムシ Garypus japonicus


 そしてその海岸にいるカニムシ。研究室時代に後輩に教えてもらった生き物。当時カニムシは知っていたがまさか海岸にいるカニムシがいるとは露知らず衝撃的だった。全長も5mmほどで、3mm程度のトゲヤドリカニムシなどと比べたら大きい部類である。
 ビーチコーミングがてら過去に2度ほど探して回ったが、イソカニムシも出なけりゃビーチコーミングでロクなモノも拾えなかった。そもそもイマイチ生息環境がわからなかったのだが、今回一緒について行かせてもらえたのでおおよその環境はわかった。あとは自分でその環境を見つけ出せるかがカギ。



イソカニムシ
イソカニムシ


 小さいカニムシたちを見た後なので重厚感がすごい。そして腕も長く、歩き出したらエイヤエイヤと止まらない。意外と速く感じる。念願のイソカニムシだったのでえらく感動致しました。案内していただき感謝感激です。




 今回はいろいろな話も聞けて、様々な生き物も見られて勉強になりました。一緒に行った方々の見ているミクロの世界を少しだけでも垣間見たようで、すごい世界を相手にしているんだなと感心するばかり。
 また今回は深夜に私のズボンのおまたが裂けるというハプニングがありました。正月太りのせいかな、ちょっとした亀裂だったのに車に乗り込んだ瞬間に「ベリッ」という嫌な音がして、自分のムチムチの太ももを見たら右足の膝上まで伝線していた。それでもせっかく来たのだから、真冬の寒い森をだいぶセクシーな衣装で歩かせてもらった。幸いインナーを履いていたのが救いで、肌の露出は免れた。それでも隙間風はびゅーびゅーでしたが、クマGさんに頂いカイロのおかげで乗り越えられました。ありがとうございます。
 翌日もしゃがむ度に悲鳴があがり、最終的には膝下までいってしまい、私の小僧の部分が出てきてしまいました。まぁインナーもあったのでパンツが見えるわけでもなく、皆さんとお別れして電車にそのまま乗って帰りました。まぁどうせ乗客なんて今後会う人でもないので、大して気にせずに。途中、女子高生がこちらをチラチラ見ていましたが、まぁ私の顔が気になったのでしょう。イケメンだから仕方のないことなのです、そういうことにしておこう。


 ということで本当にありがとうございました。またフィールド行きましょう。




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夏休みに一休み


 入道雲と蝉時雨を引き連れて、暑い夏が今年もやってきた。野山に入ると虫捕り網を肩にかけ、夏の太陽に負けないくらい眩しい笑顔の童を散見するようになる。憧れはやはりカブクワの類いだろうか、甲虫の仲間は非常に好まれる。
 そんな虫捕り少年たちに混じって、少年だったあの頃が10年以上も前の遠い記憶になってしまっている私が虫を追いかけている。いつだって虫は、幼き少年心を呼び覚ましてくれる。


オオトラフコガネ
オオトラフコガネ Paratrichius doenitzi


 この日はオオトラフコガネが、緑眩しい森の中に悠然と佇んでいた。甲虫が自分の目線より少し上、手が届きそうで届かないところにいる。
 「大人になったらたくさん捕まえられるな。」なんて幼い頃に思っていた少年たちの中で、果たして身長が伸びてから再び虫を追いかけている人はどれくらいいるのだろう。相変わらず背が低いもんだから、大人になったって届きやしない私には、この高さの虫たちは非常に魅力的に映る。そしてシルエットでわかる素敵甲虫。知恵を絞って叩き落とし、観察できる高さのその虫は、カブクワとは異なる魅力を放っていた。


オオトラフコガネ
オオトラフコガネ


 近くで見ればわかる美しい模様。シルエットのみでも十分に魅力的なその虫は、手にとってみて更なる喜びを提供してくれる。





 お盆は親戚一同トータル11人の大所帯で山梨旅行。悠然とテニスや卓球をして、のんびり風呂に入ってうまいメシを食って、0時過ぎまで酒飲んで祖母のサプライズバースデーやって。
 家族と過ごす時間というのは一人暮らしをするようになってからずいぶん少なくなり、1泊の旅行でも貴重な時間だと実感した。言葉にするとずいぶん薄っぺらくなってしまうが、本当に家族って大切だ。


カラスアゲハ
カラスアゲハ Papilio bianor


 山中湖畔にあるイタリア料理店のテラスで昼食をとっていたら、店のガーデニングの花蜜を吸いに青いお客が訪れた。こんな素晴らしい昼食があったことか。見るもの全てが美しかった。
 こんな素晴らしい昼食があったことか。



カラスアゲハ
カラスアゲハ


 オオトラフコガネにしたってカラスアゲハにしたって、どちらもオスでどちらも魅力的。その上どちらの個体も完璧ではなかった。
 オオトラフコガネには右の中脚が、  カラスアゲハには右の後翅の尾状突起が、  無かった。

 悪いところがあっても、切り捨てるんじゃなく、認めてやろう。
 ただ歩くのが苦手なだけ、  ただ飛ぶのが苦手なだけ、  ただそれだけ。



 短い時間だったが、夏休みを満喫することができ、とても心清らかになった。


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藤色のカーテンをくぐり抜けて

キムネクマバチ
キムネクマバチ Xylocopa appendiculata circumvolans


 前回、珍しく明るい写真を載せたのでその流れに乗ってちょこっと前の写真を。私も暗い写真ばかりでなく、こういう明るいキラキラしたボケの多い写真も撮ります、まぁ気が向いたらですけど。ボケボケで分からないけど、後ろの紫色はフジWisteria floribunda で、藤棚に何個体ものキムネクマバチが集まっており、オスはホバリングしながら近づく者を牽制していた。

 メスは額に黄色が無く、文字通りガングロギャルだし、眼もつり上がっていてちょっと怖い顔。対するオスは写真の個体を見ればわかるように、ちょうど鼻の位置がポップなイエローで胸部のモコモコイエローと調和をとっていてコーディネートはバッチリだし、眼も丸くて穏やかな印象。そんな彼だからこそ、珍しくこんな風に写真を撮ってみたり。カワイイなぁ。



 それにしてもヒルにやられたとこがまぁーかゆい。ヒルにチューされたのが1週間以上も前だってのにぃぃぃ!! ちくしょうちくしょう、やはりヒルがこんこんと湧き出る山で迂闊に用を足してはいかんな。



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狩人蜘蛛

コアシダカグモ
コアシダカグモ Sinopoda forcipata


 ヘビを探しに暗闇の山を登っていると、水の滴る岩肌にジャゴケ Conocephalum conicum がびっしりとついていた。「蛇じゃなくて蛇苔かぁ」とくだらないことをブツブツ考えながら岩肌を眺めていると、大きなコアシダカグモがついていた。和名に“コ”とついているが夜の森では立派な大型の狩人で、彼らはクモの糸で網を張って待ち伏せをするのではなく、徘徊して獲物を狩る。アオグロハシリグモ Dolomedes raptor もそのタイプでそういうクモが結構好きみたい。アシダカグモの仲間は英名で huntsman spider ( 狩人蜘蛛 ) だそうでなかなかカッコイイし、ハンターだし蜘蛛だし、HUNTER×HUNTER 好きの私にはなお良し。

 一眼レフになっても嗜好は変わらないもので、どうも暗い写真ばかりだなぁ。

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牛魔王になりたかった

ウシカメムシ
ウシカメムシ Alcimocoris japonensis


 『実物を見てみたらイメージと違っていた』なんてのは生き物では結構あって、案外それが嬉しい誤算だったりする。特に感じたのがオキナワイシカワガエル Odorrana ishikawae 。コケに擬態したような体表からしてシュレーゲルアオガエル Rhacophorus schlegeliiくらいの大きさだと勝手に思い込んでいたが、実際はモリアオガエル R. arboreus やナミエガエル Limnonectes namiyei くらいの体躯でずいぶんと存在感がある。


 今回の話はその逆。両肩に猛々しい角を生やすこのウシカメムシ。見た目からしていかつくて、同じように角を持ったオオツノカメムシ Acanthosoma giganteum やらツノアオカメムシ Pentatoma japonica ほどのサイズを想定していた。しかし実際は1cmに満たないくらいの小さいカメムシで、前述したカメムシらと比べるとむしろツノゼミの類いに似ている気がする。もうちょっと大きかったら“牛魔王”とか呼ばれて持て囃されただろうに、このサイズでは“仔牛ちゃん”くらいなもんだろう。それでもフォルムが素敵すぎるのでお気に入りのカメムシで、カメムシ類だと角があるやつが好きみたい。カメムシは成虫越冬をする種類も多いので、こう寒くなってきて虫の出がよくなくても出会える数少ない秋冬の虫なのだ。



なんかこんな感じの牛の角の置物あるよね。
牛の角って文字を見ると肉を食いたくなるのはなぜだろう(笑)


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ハエトリ界のバンブルビー

ヒメカラスハエトリ
ヒメカラスハエトリ Rhene albigera


ようやく写真撮れた!!
何度か見つけたものの、なかなか写真に収められずにいたのだが、
この度やっと写真に。


ちっこいのに第一脚を持ち上げて、こちらの動きに呼応する姿は大変愛おしい。
そしてこの鮮烈な黄色だよ、黄色。
黄色と黒色のツートンカラーでこのフォルムは反則ですね。
ハナバチ的な可愛らしさがあると思う。
この類いのハエトリのメスはモフモフして素敵なんだけど、
やっぱりオスのフォルムが好きだなぁ。



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岩肌の大顎

コマダラウスバカゲロウ
コマダラウスバカゲロウ Dendroleon jesoensis 幼虫



夜勤が終わってからそのまま日中テニスをして、その夜は飲み会でたらふく食って飲んで。
帰るやいなや布団に倒れ込んだはずだったのに、目が覚めたのは午前3時過ぎ。
体に負荷をかけて無理やり昼夜逆転生活を戻すはずだったのに、
なんだかうまく切り換らずに変な時間に起きてしまった。
微かに残る疲労感と眠気と酔いとが絶妙にブレンドされた朧げな思考回路は、
あろうことかテンナンショウを求めて私の足を登山ルートに導かせた。
それも始発で出かけるだなんて、今考えればどうかしていたとしか思えない。
あぁ、なんと甘い誘惑。
所詮はコバエどもと同じ発想だったのだ。
でも見頃で最近ハマったばかりの分野なので足取りは軽い。


登山口から山頂までたくさんのテンナンショウが出迎えてくれてホクホクしたが、
始めたばかりで同定も思うようにはいかず、???な個体ばかりだった。
写真を撮っておいて調べてみてもなかなかに難しい・・・
本屋で「日本のテンナンショウ」という書籍を見つけたのだが、
16,000円という価格に手が出せずに撤収。
図書館の蔵書検索をしたところ私の住む町には置いていなかったが、
隣町の図書館にはどうやら蔵書があるようなので、今日はガッツリ調べ物の日にしよう。



このアリジゴクの写真はその登山の途中で、中腹辺りの薄暗い崖にいるところを発見した。
前回載せた写真は地衣類にまみれまくっていたが、これは見つけやすい個体。
やはりこいつらはそれなりに風通しの良いところにいる気がする。
見つけるコツとしては平面的な所よりも、少しくぼんだ所などに収まるように付いている。
モグラ類が透明なトンネルチューブでも体がトンネルの壁に密着していれば落ち着くのと同じように、
どこか収まりの良いところに体を付けていると安心するんだろう。


テンナンショウの甘い誘惑に誘われて、アリジゴクの罠にハマった1日だった。
なんとかこの罠から抜け出るためにも、隣町まで出かけてお勉強しなくては。


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狩人は陶芸家

トックリバチの巣
トックリバチの一種 Eumenes sp. の巣


自然の造形美は無駄がなく機能的で、時に我々の芸術品を超えるデザインが集約されている。
例えばミツバチの巣に用いられている正六角形の組み合わせというカタチは、
建築分野では“ハニカム構造”として強度の面で役立っている。
いわゆる自然の建築家といったところだろうか。

同じくハチの仲間で自然の芸術家がいる。
その芸術家の作品が写真にある徳利状の巣である。
作者は狩蜂であるトックリバチの仲間で、これは彼らが泥と唾液で作った巣である。
この巣はミツバチのカプセルホテル的な何匹も幼虫が入る巣とは異なり、
1つの巣に1匹の幼虫が入るリッチなワンルームなのだ。


親は巣が完成した後、天井に卵を産みつけ巣の中に餌を運搬する。
トックリバチの仲間はシャクガなどのイモムシを狩り、大量に巣の中に詰め込むのだが、
狩りといっても獲物を殺して貯蔵するわけではない。
餌が死んでしまえば幼虫が孵る頃には腐ってしまい餌として使えないし、
ただ捕まえるだけでは獲物に巣から逃げられてしまう。
実はここが狩蜂の巧妙な戦術で、
ヤツらは狩りの際に獲物の胸部にある神経節を狙って麻酔針を刺す。
そうすることで獲物の運動機能だけを奪い、腐ることなく生きたまま巣に貯蔵される。
卵から孵ったトックリバチの幼虫は逃げることもできないイモムシを生きながらに貪り成長するのだ。
そして親が巧妙なら子も巧妙で、まず食べるのは獲物の生存に影響のないところから食べ始め、
ギリギリ生きられるようにしながら徐々に食っていく。
ある程度大きくなった幼虫は一気にイモムシを平らげ、常に新鮮な食糧にありつけるというわけだ。
それから変態して成虫になった後、巣を破って外の世界へと飛び立つ。
なんともズル賢くよくできたシステムだと感心してしまう。
悪いヤツやな~、でも素敵な戦略ですなぁ。


狩蜂というのは実に様々なタイプが存在していて、
地面に巣を作って石で閉鎖したり、竹筒に泥で仕切りを作って巣にしたり、
バッタを狩ったり、クモを狩ったり、狩蜂に寄生したり。
とにかく巧妙な生態で知れば知るほど面白く興味深い世界がある。
冬に【狩蜂生態図鑑】という本を手に入れてからというもの、
私のハートはヤツらに狩られてしまったようで、もう虜・・・
おかげでアカガエルの産卵を見に行ったら思わぬところでこのトックリバチの巣を発見できた。
もっと暖かくならないかなぁ、早く狩蜂探しに出かけたい。



彼らの巣は造形美だけでなく、そこに暮らす生き様さえも美しく完成されたモノなのだ。



 徳利で

  酔って寝ている

   芋虫よ

    服は脱がされ

     その身を捧げ

               月光守宮



Category: 蟲類  

三色団子

オカダンゴムシ 部分白化
オカダンゴムシ Armadillidium vulgare 部分白化個体


寒い日は蟲がなかなか出ない。
ただそれは受け身でいるからであって、
能動的にフィールドを歩けば意外と彼らを見つけられる。


この日は鳥見に出かけたのだが蟲が恋しくなり、
気がついたら倒木をめくっていた。
そこにはゾワゾワとたくさんのダンゴムシたちが。
あれ、でも見慣れないダンゴムシがいるぞ。
幾千もの黒いのに混じった白っぽいヤツ。
ただ白いだけでなくて黒い部分も残っていたり、
メスの黄色い斑点までもあるので『三毛猫』ならぬ『三色団子』といったところか。
ネット上では部分白化として紹介され、珍しい個体のようだ。


見つけた時は「すげーすげー」と喜んで地面に這いつくばって観察していたが、
犬を散歩中のおばはんから怪訝な視線を浴びせられ、ちょっとしょぼんとした。
でもこんなダンゴムシすごくない?
おばはんももっと興味を持てば面白いと思うのに。


周りはみんな黒いヤツ黒いヤツ黒いヤツ。
一人ぼっちの三色団子は可哀想な仲間はずれと見るか。
我が道を切り開くカリスマと見るか。
変なことってダメなこと?








Category: 蟲類  

晩秋を舞う枯葉

ナカオビアキナミシャク
ナカオビアキナミシャク Nothoporinia mediolineata


クマタカSpizaetus nipalensis に翼を授けられついに山頂へ。
あと数段の石段を登り鳥居をくぐって到達、というところでまた違った羽を見つける。
山頂目前なので標高1200mくらいといったところか。
駆け足でゴールするつもりだったが思わぬ足止めに口角が上がる。
シャクガの仲間だろうことはわかってもそれ以上に同定できる知識はザックに入れてきていないので、
「ちょっと早いけどもフユシャクの仲間だろうか」とぼんやり考え、帰宅してから調べることにした。


するとナカオビアキナミシャクという種類らしく、晩秋に発生するシャクガのようだ。
“冬尺”ならぬ“秋尺”というのがいるとは知らなかった。
どうやらフユシャクと違ってアキシャクのメスは翅が退化していないようだ。
“翅が退化している”ということが特筆すべき事象なんだろうが、
この手の蛾については“退化していない”というほうが物珍しく感じてしまう。
ちなみにこの個体もメスである。



ギリギリ秋を感じられる登山、いやフィールディングとなった。
もう今はすっかり冬だもんなぁ。
コーンポタージュのおいしい時期になりました。




Category: 蟲類  

雨上がりは虹と共に空へ

シワクシケアリ
シワクシケアリ Myrmica kotokui


昨晩は冷たい濃霧だった。

今日は暑いくらいの晴天だった。



こういう天候の移り変わりは、

アリたちを空へと羽ばたかせる。






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床屋のグルグルは“サインポール”というらしい

オオクシヒゲコメツキ
オオクシヒゲコメツキ Tetrigus lewisi


会社から帰宅し、自宅マンションのエレベーターを上がる。
すると自分の部屋へ通ずる廊下の手すりに、
私の大好きなフォルムがくっついているのが目に入った。
以前沖縄本島を旅していて辺戸岬を回ったあと、
レンタカーに戻ったらなぜか紛れ込んでいたオオナガコメツキ Elater sieboldi と、
同じくらいの結構大きなコメツキだった。
よっしゃと早速捕まえ、自宅でパッチンパッチンするのを押さえながらルーペ観察。
すると捕獲時には収納されていて気がつかなかったが、触角がなにやら異形だった。
折りたたまれた触角が繰り出されると櫛の形を呈しており、まるでヤママユガの類いのそれのよう。


大きいだけでも興奮モノだというのに、なんだこの素敵触角は!!
普通コメツキって言ったらこんなのとかこんなのがポピュラーな感じだけども、
なんとも目立つ特徴を持っているコメツキだこと。
ただ本種だけがこの特殊な触角を持つコメツキというわけではなく、
ヒゲコメツキ Pectocera fortunei の触角は最たるもので、
邪魔だろってくらいデカイ、そしてカッコイイ!!
さらにこのヒゲコメツキは肉食で顎が鋭くなっているからその点でも特異。
これら櫛状の触角を持つコメツキはオスのみがその特異な形を呈していて、
メスは普通のコメツキと同じような触角なのである。
ところでこれの機能的な意義って何なんだろう?
オス同士が大きさを競うのか、メスのフェロモンを感じ取るものなのか・・・?
まったく昆虫のオスというのはカッコイイやつらが多すぎて困るぜ。


話は戻ってオオクシヒゲコメツキだけども、他のコメツキに比べて眼が大きい。
なんだかタマムシチックで可愛くもある。
ウバタマムシ Chalcophora japonica にこの櫛状の触角つけたらそれっぽくなる気がする。


『素敵!素敵!!』と写真撮ってたら、ポロっと落ちるんだよなコイツら。
3回目くらいに完全に見失って、「さよなら」も言えずにお別れとなってしまった。
あぁ、無常。


Category: 蟲類  

スカラベの夢

ゴホンダイコクコガネ
ゴホンダイコクコガネ Copris acutidens


前回の記事でタイトルにミイラ取りがミイラになるとか付けていたら、
ちょうど学研のカルチャーマガジンがエジプト特集だったもんで衝動買いしてしまった。
だって久々に本屋が開いている時間帯に仕事あがれたんだもん。
雑誌価格って危ないな、ついつい手が出る金額設定だよあれは・・・
おかげでスーパー寄っても豚肉の切れ端とネギしか買えなかった。


遊戯王とかハムナプトラとかエジプトものは好きだったんだけど、
どうも歴史分野がニガテだったんでそこまで深くハマらなかった。
どっちかっていうとデザインとかが好きなだけだったんだろうなぁ。
それにしてもスカラベはずいぶん美しく扱われているよなぁ。
なかなか糞虫って良い扱いは受けないが、見た目はかなりカッコイイし素敵虫だよね。



んでこの「ゼロからわかる古代エジプト」ならばアホな私でも読めるだろうと、
絶好のトイレ本にしようと考え中。
私、トイレには“何も持って行かない派”ではなく、“読書派”なのである。
トイレで用を足しながらゆっくり本を読むのが好きでして、
ジャンプとかしょっちゅうなんだけど、この本もそれに最適!!
素敵なスカラベに想いを馳せながら、う●こしようじゃないか。



※ お食事中の方、大変失礼致しました。
(でもゴハン食べながらネットするのはお行儀が悪ぅございましょう。
 おかしもダメでございます、ポテチ食ったその手でマウス・キーボードに触るなぁぁぁ!!)



Category: 蟲類  

侵される帝様

ミカドオオアリ
ミカドオオアリ Camponotus kiusiuensis


オカダトカゲ Plestiodon latiscutatus を探していると、ふと目に付いたオレンジ。
初見では足の色合いも相まって「なんかオレンジの虫がいる」と思ったのだが、
よく目を凝らして見てみればミカドオオアリじゃんか。
頭部・胸部・腹部と各部位に1匹づつオレンジのダニを携えているオシャレっぷり。
これまで1匹ついてるアリは見た事があったが、こんなゴージャスなの初めて。
これほどにダニつけていて本人は大丈夫なもんなのかと思って、
フーっと私の吐息を吹きかけてあげてもほとんど反応が無く、
「くせぇなぁ、てめぇ朝食の目玉焼きがお腐れじゃねぇか?」ぐらいに触覚を軽く動かすだけ。
バカヤロー、消費期限が多少過ぎても火を通せばなんとかなるもんだぜ!!
でもなんか結構ヤバそうな感じに見えた。(もちろん卵じゃなくてアリが。)


色々様子を窺って細部を見ていたけど、改めてやっぱりミカド様カッコイイな!!




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紛れる大顎

コマダラウスバカゲロウ
コマダラウスバカゲロウ Dendroleon jesoensis 幼虫


以前の記事(潜む大顎)で見たい見たいと書き綴っていたアリジゴク(苔ver.)。
山梨に行く前に見ることができたのに、すっかり旅の記事ばかりになってしまった。
友人のブログは旅ブログのようで、ちゃんと一日一日を漏らさずに書いているのにね。
偉いよなぁー、そんな勤勉さがほしいぜ(笑)


とかどうでもいい話はここら辺にして、ようやくこの幼虫の記事を書くことができた。
見えるだろうか、写真中央ちょい右寄りに頭を8時の方角に向け顎を180°に開いている。
しばらくフィールドに出るたびに必ず苔むした岩肌を舐めまわすように見て回っていたが、
この度ようやくだ、ようやく。
1個体でも見つかれば、あとはそのフォルム・縮尺・色合いなどを頼りに、
合致するものを苔の中に探すだけなので、どんどん見つかり出す。
1つの岩に8個体もいたりして、なんで今までちゃんと見てなかったんだろうとさえ思ってしまうほど。
生き物探しは意識が大切なんだと実感した。
特に両爬みたくラッキーで見られる場合と異なって、虫はしっかり狙わなければダメだな。
そういった難しさの半面、発見した時の喜びは一段と大きい。



苔や地衣類のしっとりと落ち着いた穏やかな空間の中に、
恐ろしく猟奇的な鋭い大顎が潜んでいるというこのギャップ。
我々ヒトですらこのギャップに驚嘆するのというのに、
この大顎の餌食となってしまった生き物たちはさぞかしブッたまげるだろう。
もしコイツらのサイズが2mくらいで我々を襲うとしたらゾッとするなぁ。
虫たちの世界は本当に命懸けだ。





しっかし生き物はうまくできてるなー。
進化のベクトルは様々で、すごい発想で彼らは生き残りに切磋琢磨している。






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