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Category: 両生類  

掘り当てろキンネブリ



シコクハコネサンショウウオ
シコクハコネサンショウウオ Onychodactylus kinneburi


 国産ハペで、久々に良い成果が得られた。そう、シコクハコネサンショウウオだ。2013年に記載された比較的新しいサンショウウオで、これまで日本全国で1種とされていたハコネサンショウウオO. japonicus が各地で細分化された内の1種。
 2017年6月現在で6種に分割されている日本産ハコネサンショウウオ属だが、今後も別れる可能性がある個体群もあるようで、隠蔽種のロマンが詰まっている分類群なのだ。

 本種は四国山地と中国山地に分布しており、中国山地では一部ハコネサンショウオと分布が被るようである。今回私が見たのは四国山地の個体群。今年も実は四国リベンジを敢行していたのだった。
 リベンジというのは去年も四国山地を訪れていて、憧れのイシヅチサンショウウオHynobius hirosei を求めてフィールディングしたのだが、山深いことや林道が閉鎖していたこと、香川でうまいうどんばっかり食べていて時間をロスしたこと、など様々な要因もあって目標に辿り着くことができなかった。イシヅチがいそうな沢を見つけられず、結局水深の浅いちょろちょろと流れる枝沢でコガタブチサンショウウオH. yatsui をなんとか見つけられたのが救いだったくらいで、目標達成とはいかなかった。


 とはいえ今回もリベンジならず、イシヅチの壁は私に立ちはだかったままだった。いそうな沢も見つけられ、途中からイシヅチの幼生がたくさん泳いでいる水域にぶち当たったのだが、あと一歩及ばず成体の姿を見ることなく撤退を余儀なくされた。
 うむむ、これは来年もイシヅチリベンジだろうか ・・・




シコクハコネサンショウウオ
シコクハコネサンショウウオ


 副産物といっては聞こえが悪いが、その道中にこのシコクハコネサンショウウオを見つけたのだ。本種が出てきてくれたのは嬉しいのだが、私が住んでいる地域は本家ジャポニクスが生息する場所で、実はまだそちらの成体を見られずに何年も過ごしてきていたので、本当だったらジャポニクス見てからキンネブリなどの他のサンショウウオを見つけたかったというのが本心。
 でも私にとってはこの個体が人生初のOnychodactylus の成体だったので、その姿に浮かれ気分になって、 「 見る順番なんてどーでもいいじゃん 」 なんて気分にさせてくれた。




シコクハコネサンショウウオ
シコクハコネサンショウウオ


 見つけたのは流れが速く水量も多い沢の横にある、上の写真のようなこんなにも水量も傾斜もないような小さな沢。染み出しと小さい枝沢の間くらいのところで、あまり大きな岩はなく小さい石ころばかりが体積している沢だった。そんな小さい石ころを辿って上流側に向かうと山の斜面に突き当たり、そこから先は伏流になって潜っているようなところで、おそらくその先の伏流で産卵しているであろうことが窺えた。





シコクハコネサンショウウオ
シコクハコネサンショウウオ


 というのも、この小さな沢には産まれて1年以上経ったような幼生がわんさか出てきたのだ。 『 これはいるな 』 っていう確信が、一匹また一匹と幼生が出てくる度に強くなっていった。少し大きめの石をめくった瞬間ついに成体が現れて、感極まった私の雄叫びはこだましながら谷筋へと消えていった。
 こんな環境の場所を関東近郊でも見つけているのだが、それでもジャポニクスの成体が出せないのは私の実力不足だろう。



シコクハコネサンショウウオ
シコクハコネサンショウウオ


 こんな水量の浅いところにいたのも、伏流水の奥に入って産卵シーズンを迎えるためなのではないだろうか。この個体はオスで、繁殖期の特徴である後肢の肥大化と前後肢に爪が生じているのがみられる。まさに渓流適応といった様相で非常にカッコイイ。
 そして何よりサイズがデカい。これまでHynobius ばかりを相手にしていたから実感してなかったけど、細身でそんなにサイズがないように見えてデカいんだよね、コイツら。なので結構パワーがあって、掴んだ私の手を振りほどく力が強い。





シコクハコネサンショウウオ
シコクハコネサンショウウオ


 ということでようやく私もちゃんとしたキンネブリを見ることができた。本種は鉱物の採掘場所の近くで見つかることから 『 金を舐る ( ねぶる ) 』 という意味で 【 キンネブリ 】 という地方名で呼ばれていた。それを種小名に当てる吉川さんのセンス好きだなぁ。
 シコクハコネと呼ぶよりもキンネブリと呼んでいる方がしっくりくるもの。私としては金塊を掘り当てた気分だ。


 去年の四国遠征時に掲げた3種の四国産渓流性サンショウウオも今年でようやく 【 3分の2 】 までやってきた。あと残すところはイシヅチだ。来年こそは、イシヅチだ。




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Comments
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イシヅチは良い沢を当てればかなり濃い密度で見つかるようです(幼生)。
その良い沢を見つけるまでが大変ですよね…
にしてもシコクハコネおめでとうございます。うらやましい…
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>> ジークさん

イシヅチ見ている方多いですよね、うらやましい。
場所が場所なだけに、回数多く行けないのでホントに場所探しが重要ですよね。

個人的にはジークさんのキタオウシュウもうらやましいです。
東北のフィールドってほぼ経験がないので、どんなところなのか・・・
そもそも関東でジャポニクスを見てないので、私はまずそこからですけでも(笑)
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キタオウシュウは割と探しやすいと思いますよ。沢登りしなくても良いところを見つければ林道沿いなんかで見つかります。沢でガサガサやっても割とどこでも幼生が入るので密度は濃いものと思われます。沢近くの洞窟内ガレ場も狙い目ですね。
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>> ジークさん

低標高でも比較的見やすいとも聞きますしね、ぜひキタオウシュウはチャレンジしたい。
あと東北のヤマヒキガエルなんかも見たいですね、可愛いだろうなぁ。

それと高山植物目当てで山登りなんかも素敵。
なんだかだいぶ行きたい気持ちが募ってきました。
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