月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 蟲類  

Spider spring



 生き物をやる上で、やっぱり大事だと思うのが良い図鑑に出会うこと。そういう図鑑に巡り会うことで、その分類群にグッと興味を惹かれ、ついついその対象を探したくなる。



 この “ 良い図鑑 ” というのには様々な条件があって、
・ 最新の分類が反映されている図鑑
・ 検索キーが載っていて調べやすい図鑑
・ 写真が鮮明で、撮影角度が同じ図鑑
・ 分布図が詳細に図示される図鑑
・ 生態や生活史が記載されて探すコツがわかる図鑑
・ ハードカバーだったり、薄い頁数だったり野外で使いやすい図鑑


 入門で使うならば、やはりフィールドで使いやすいものに限る。野外に持ち出して実物と図鑑を見比べて使うのが、その生き物を一番覚えられるからだ。そういう意味では現在多くの種類が出版されている 【 文一総合出版のハンドブックシリーズ 】 は、各分類群毎に分かれていて、手軽に持ち出せるのが強みだ。





マスラオハエトリ
マスラオハエトリ Thiania suboppressa


 学生時代、奄美大島を訪れた時に見つけたハエトリグモ。当時は何だかわからないままだったハエトリグモだったが、数年の時を経てハエトリグモハンドブック ( 以下 : ハエトリハンディ ) が発売されてページをめくっていたら、なんとそこには見覚えのあるハエトリが。 『 これは︎ !? 』 と過去の写真フォルダを探したらやはりそいつだった。マスラオハエトリ。

 ハエトリハンディの著者でもある須黒さんが 【 マスラオハエトリ 】 という和名を命名したハエトリグモで、金属光沢の目立つ比較的大型のハエトリグモだ。主に東南アジアなどで見られる南方系のグループで、国内では琉球列島に分布するとされている。和名の “ マスラオ ” とは、 [ 血気盛んな闘う男 ] を意味する “ 益荒男 (ますらお ) ” からきており、オス同士の闘争の際、脚を広げることに由来するという。

 闘争ではないが、発見した時も私に向かって第一脚を広げて体を大きく見せており、その姿が勇ましくカッコ良かっただけに、そのハエトリグモを同定できずにいたのがもどかしかった。それがハエトリハンディを眺めてすぐにわかったほどだったので、いかにこの図鑑が使いやすいか。そしてハンディとしながらも、日本国内のほとんどの種をマークしているほか、未記載種と思われる個体なんかも掲載されているので、網羅的な構成となっている。
 そんな楽しく使いやすい図鑑を手に入れたもんだから、フィールドで使うにはもってこいで、ハエトリハンディ片手にフィールドを散策するのが最近は楽しくって仕方ない。

 ここまでベタ褒めで書いてると、 『 著者や出版社から何かいかがわしいもんでも受け取っているのでは? 』 と疑われてしまうかもしれないが、残念ながらそんなご縁はありませんので、あくまで一購入者の意見として 「 ふむふむ 」 と読み進めていただければ。とにかく良い図鑑なんだ、ハエトリハンディ。使って楽しい図鑑。




ネコハエトリ
ネコハエトリ Carrhotus xanthogramma


 やはりやり始めの分野って普通種でも目新しいので、なんだか初心に返った気分だ。図鑑一つ持ち歩くだけでその生き物を探そうと視点も変わるし、今まで通っていたマイフィールドも一風変わった世界に見えてくる。よく見かけるネコハエトリでさえ、意識してじっくり見てみるとやはり可愛らしい。

 ハエトリグモを探すようになると、公園の手すりとか柵とか、今まであまり気にしないようなところが目に付くようになって、案外意識することで何気ないところにハエトリグモが存在していることに気がつくようになった。





カラスハエトリ
カラスハエトリ Rhene atrata 


 前から好きなハエトリグモで言えば、やはり第一脚が太い種類。ウデブトハエトリSibianor pullus とかヒメカラスハエトリR. albigera とか。 中でもカラスハエトリ類のこの平べったい幅広の頭胸部が生み出す表情が個人的に好み。
 クモは顔に表情なんか作れないので、配色とかフォルムとかパーツの配置とかが顔の印象を形作るので、そのバランスって人間が異性に求める 【 タイプの顔 】 と同じように、案外直感的に好みが反映されると思う。それでいうと私はこいつらなのよね、カラスハエトリ。
 1つ上の写真のネコハエトリも可愛らしいが頭の幅が狭く、眼も大きいのでブリっ子っぽいんだよなぁ。




デーニッツハエトリ
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi


 こちらもそれでいうと可愛い顔をしているが、案外上顎のところが肉々しいのが、肉食女子感を演出している。それなりにサイズがあるのでマクロで撮るとなかなかに迫力があって面白い。


 今回載せたハエトリグモたちは比較的サイズの大きい種だったわけだけど、ハエトリグモはそれらよりも小さい種も多いので、もう少しマクロ方面の撮り方を工夫して撮影倍率上げたりシャープに撮れるようにしていきたいな。







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Category: 爬虫類  

Jurassic spring



 春の陽気に誘われて、ようやく今年初の爬虫類。



ニホンカナヘビ
ニホンカナヘビ Takydromus tachydromoides


 枯れ葉のカサカサする音が、耳に懐かしく嬉しい。こうもぽかぽか陽気が続けば、カナヘビも人間も昼寝するにはもってこいだろう。もちろん花粉が飛び散ってなければって話だけどね。
 いろいろ生き物が出てきて楽しい季節なんだけれども、どうにも花粉症の人にとっては過ごしづらい季節。ただやっぱりフィールドには出たいので、鼻にティッシュ詰めてマスクしたままフィールディングするのがここ数年のスタイルになってきている。




シダの谷
シダの谷


 お気に入りのシダの谷も春の木漏れ日を浴びながら、グルグルになった新芽を続々と展開して賑やかな雰囲気になってきた。イノデ類Polystichum spp. の放射状のシダがバカバカと口を開けるように展開していたり、リョウメンシダArachniodes standishii などの大型のシダがザブザブと大波のように立ちはだかっていたり、スギCryptomeria japonica などの針葉樹がグングンと垂直に伸びていたりするダイナミックな場所。都市開発で少なくなっている現代の里地里山環境において、関東近郊でこんなにもシダがもっさりとしていて、かつ私の家から近いところはそうないので、貴重な癒しスポット。
 やっぱりここの雰囲気はジュラシックで、歩くだけでもワクワクする。




ニホンカナヘビ
ニホンカナヘビ


 そんなシダの谷の林縁部ではカナヘビがちょろちょろしている。谷の中心部だったらジュラシックでフォトジェニックでファンタスティックなんだけど、薄暗いし下草もシダばかりなのでなかなかカナヘビの環境的には難しいのかも。
 やはり林縁部や隣の田んぼに面した雑木林の草原の方が過ごしやすいみたい。


 精悍な顔つきをしているカナヘビは小さな恐竜そのもので、このシダの谷で会えた時はその雰囲気に飲み込まれ、まさか白亜紀にでもタイムスリップしてきたかと思わせる空気感だった。ただ残念な事に彼らトカゲたちは爬虫類という括りでは恐竜に近縁ではあるが、それよりも恐竜に近縁な生き物が進化を遂げてこの現代に生き残っている。




肉食恐竜の仕業


 その痕跡がコレだ。襲われた方も、襲った方も、どちらも恐竜の生き残りだろう。写真は3年ほど前のものだが、その時もシダの谷でジュラシックな散歩を堪能していた。そうしたら地面にこのやられた痕跡を見つけたのだった。
 羽根は詳しくないので襲われた方はわからないが、肉食恐竜側は状況的にハイタカAccipiter nisusやツミAc. gularisなどのオオタカ属Accipiter の連中だと思われる。そこまで広大ではない住宅地に隣接する森の、狭い林内での狩りを考えると、彼らアシピターの仕業だろう。

 恐竜が命のやり取りをしながら息づくフィールドが近場にあるって、それだけで優良物件じゃないか、今の部屋。


 この日はシュンランCymbidium goeringii が花をつけているのを目にしたし、ツバメHirundo rustica は家の周りを飛んでいるし、ここ数日の暖かさでだいぶ季節が進んだように感じる。今年の春はずいぶんと早足かもしれない。
 一番楽しい季節なだけに、もうちょっとゆっくりとした足取りで歩いてほしいな。




Category: 両生類  

Spring spring



 夏の暑さでヘトヘトになったら、涼しい秋を待ち望んで。
 冬の寒さにブルブルと震えたら、暖かい春を待ちわびて。


 気がついたらあっという間に一回り。1年で最も忙しい季節に。



ニホンアマガエル
ニホンアマガエル Hyla japonica


 草花は太陽を求めて背を伸ばし、
 カエルは水場を探して足を伸ばす。


 春は四季の中でも特に好きな生き物がわらわらと出始める時期なので、なかなかに忙しい時期である。

 アマガエルなんかをポカポカ陽気の中で見ると、本当に春の訪れを心から喜べる。



トウキョウサンショウウオ卵嚢
トウキョウサンショウウオ Hynobius tokyoensis 卵嚢


 ちょっとした水辺にも、新たな命たちが芽吹いてる。
 たっぷり水を吸ったもちもちのハンモックで、まだ見ぬ未来を夢見て。






トウキョウサンショウウオ
トウキョウサンショウウオ


 近くには成体のサンショウウオ。
 彼らに出会える季節はわずかだから、1年分の喜びを噛みしめて。

 この地域のトウキョウサンショウウオではあまり見たことがない、尻尾の上部が黄色い個体。
 カスミサンショウウオH. nebulosus とかツシマサンショウウオH. tsuensis ほどではないにしても、ここらじゃあまり見かけないタイプに嬉しさもより一層。




カジカガエル
カジカガエル Buergeria buergeri


 ポカポカと暖かく、それはそれで布団から出られず二度寝をしたくなる時期でもある。
 二度寝にしても、昼寝にしても、電車に揺られてウトウトするにしても、とにかく気持ちの良い季節なだけに、睡魔に負けずにフィールドに出よう。
 そしたらウトウトしているカエルに出会えるかもしれない。


 さぁ、飛び跳ねるくらい楽しい春を堪能しよう。








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