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月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 蟲類  

弟とコクワガタ



 秋口の冷ややかな風が流れる沢の帰り道、長靴で歩くのがいい加減しんどい頃合いに、一休みしようと腰を降ろした岩のひとつ隣の岩の上に、弱々しくも懸命に体を動かしているクワガタが目に入った。



コクワガタ
コクワガタ Dorcus rectus


 それは小さい小さい姿のコクワガタだった。かのオオクワガタD. hopei binodulosus と同じオオクワガタ属Dorcus に分類されるクワガタであるが、そのサイズは本家オオクワガタと比べると非常に小さい。しかしそれはあくまで体サイズを比較しての話であって、大顎の形態で言えばドルクスたちが持っている大顎と遜色がなく、洗礼された形の良い大顎である。大顎の中程に目立つ内歯が一つと、先端にもう一つ釣り針のかえしのような小さい内歯があるのが特徴で、この釣り針っぽい先端部がとにかくカッコイイ。
 写真にしてサイズ感もわからず見比べてみれば、他のドルクスたちの中ではかなり形の良い部類ではないだろうか。

 この個体に関してはその大事な先端部の内歯はだいぶすり減って無くなりかけてしまってはいるものの、それでもこの過酷な自然下をくぐり抜け、そしてひと夏を越していることを鑑みれば、それはそれで使い込まれた名刀のような威厳すら感じさせる。私個人としては完品至上主義ではないので、こういう味があるのも野生下ならではで面白いと思う。



コクワガタ
コクワガタ


 このコクワガタというやつは、小さい頃によく弟が拾ってきていたクワガタだった。家族旅行に連れて行ってもらえば、キャンプ場の周辺だったりホテルの大浴場へ向かう途中の渡り廊下だったり、とにかく気がつけばいろんなところでコクワガタを拾ってきた。遠出する度にどこかしらで見つけてきては、 「 持って帰る 」 とビニール袋だったりポーチだったり現地で買った虫かごに入れて、我が家に嬉しそうに持って帰っていたのが印象的だった。
 小さい子供にとって “ クワガタ ” というのは “ ヒーロー ” であり “ 宝物 ” でもある。あの 【 発見した時に駆け寄るドキドキ 】 が、 【 自分の手の中に収めるワクワク 】 が、当時の私たちを最高潮に盛り上がらせていたのは間違いない。
 コクワガタを見る度に、今でも私はあの嬉しそうな弟のニヤケ顔が思い出される。


 そんな弟も、先月入籍をして夏には結婚式だそうだ。相手の方もすごくしっかり者で、お似合いの夫婦だったのが一目見てわかったよ。


 いつもはコクワガタを見て弟をふと思い出していたんだけど、弟のことを考えてたら反対にコクワガタを思い出したんだよね。パンフレット見たけど、夏の結婚式はおしゃれなガーデンウエディングらしい。きっとアイツのことだから、結婚式場でもコクワガタを見つけてくるんじゃないかって、ひそかに私は思っている。

 とにもかくにも、 結婚おめでとう。  




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Category: 哺乳類  

マイペースなヒゲ


 今年はあまりの嬉しさでAKIRAネタを最初に投稿したが、せっかくなので干支関連の記事も書いておこうかと。

 遡ること3年前の2016年夏。異国の地、ボルネオ島のマレーシア領に私はいた。 【 ボルネオ紀行
 思い返してみても、生き物だけでなく人やアプローチの仕方も面白く、旅として充実していたため、それがつい先週帰国したくらいの感覚で鮮明に覚えている。ブログの話の流れから、載せきれなかった生き物がまだいくつかいるわけだけど、せっかくの亥年なのでイノシシの紹介を。


ヒゲイノシシ
ヒゲイノシシ  Sus barbatus


 夜の散策を終えロッジに戻ってくると、落ち葉をポツポツと叩く雨音とは異なり、明らかに不自然で存在感のある音が近くでしていたのを、同行していたルンチョロサンと私は感じとった。その違和感のある方へ懐中電灯の光を投げかけてみると、そこには大型哺乳類が二頭、地面に顔を突っ込んで、もそもそと動いている姿が照らし出された。




ヒゲイノシシ
ヒゲイノシシ


 闇に煌めく4つの光点がギロリとこちらを睨みつける。ヒゲイノシシだ。ライトに浮かび上がる巨大な体躯に驚いて固まってしまった私とは対照的に、一度はこちらの光に反応して辺りを窺う素ぶりは見せたものの、我関せずと再び彼らは食料探しに専念し始めた。
 なんと堂々たる態度。人に慣れているというよりも、そもそも恐れていないような素ぶりだった。


 写真が悪くて大変見にくいが、和名の通りヒゲが特徴のイノシシで、口から鼻にかけて長いヒゲがモジャモジャと生えている。見た目はかなり特徴的な生き物なので他の生き物と見間違えることも少ないだろう。
 性格はおとなしいというよりかは無関心といったほうが正しいかもしれない。とにかく干渉すること・干渉されることを嫌っているような、マイペースなヤツらだった。


 宿泊したロッジの周辺にもアブラヤシのプランテーションは点在し、そこで採られたアブラヤシの実が貯蔵されている高床式のスペースが設けられていた。その周辺にはそこから落ちたと思われるアブラヤシの実が転がっていて、それを狙ってヒゲイノシシが集団で採食しているのも目撃した。
 「 お、ヒゲイノシシ !? 」 と、見つけた時に興奮のあまりズカズカと近づいていったら案の定逃げられはしたのだが、その跡地を覗きに行くと食い荒らされたアブラヤシの実以外にも興味深いものが地面に転がっていた。




ノメイガ亜科の一種
ノメイガ亜科の一種 Pyraustinae gen. sp.


 ヒゲイノシシの糞と思われるものにたくさんの蛾が集まっていたのだ。遠くからライトで照らした時に、 『 何か青白いモノがあるな 』 と思っていたのだが、その正体はこのノメイガ類だった。どうやらヒゲイノシシの糞から栄養分を得ようと吸水しに集まっているようだ。
 アブラヤシを食いまくって、こってり油っぽいウンチがお好みなのかしら。そう考えたら私のウンチにはとんでもない数のノメイガが訪れること必至だ。


 ボルネオ島でアブラヤシといえば、 『 ショートニングの原料として多くの国で消費され、またその需要を満たすために希少な動物たちの住処を切り開いて、どんどん森がプランテーションにされてしまう 』 などといったネガティヴな面ばかりが注目されがちだが、見方を変えると必ずしもネガティヴな事象だけではなく恩恵を受けている生き物もいたりする。
 上の写真のように、アブラヤシの実を食べにヒゲイノシシが集まり、そこで排泄された獣糞にノメイガが吸水しにくる。もしかしたらそのノメイガたちが近くのロッジの街灯に誘引されて、スミスヤモリGekko smithii の腹を満たしているかもしれない。そう考えたら我々がスミスヤモリを見られたのは、アブラヤシのプランテーションのおかげかもしれないな。
 まぁ、さすがに “ スミスヤモリを我々が見られた ” ってとこまではバタフライエフェクト的な発想かもしれないが、ノメイガまでは野外で観察する限りではあり得る繋がりだった。 ( ノメイガは蛾だからモスエフェクトか 笑 )


 プランテーションの生態系についてはリンク先のHitaki くんがメンフクロウTyto alba javanica を中心に面白い記事を書いているので、興味のある方はぜひ読んでみることを勧める。  【 アブラヤシプランテーションの守り神 】
 こういう視点って面白いなぁとつくづく思うはず。今回の私の記事は、特にこのメンフクロウ記事に触発されているわけであります。







カグラコウモリの一種
カグラコウモリの一種 Hipposideros sp.


 デフォルメするとブタ鼻で描かれがちなコウモリも、せっかくなので亥年に合わせて。さらにいえばコウモリは漢字で 【 蝙蝠 】 と書き、漢字が 【 福 】 に似ていたり、 【 変福 ( 福に変わる ) 】 という発音に近いことから中国では縁起物として正月飾りにもモチーフとして使われるようなので、年始の記事としては良さげ。


 で、コウモリの話だが、ロッジの渡り廊下の決まったルートに何度も何度も飛来していたコウモリがいた。フタホシヤモリG. monarchus やスミスヤモリがひしめく街灯スポットも通過するルートなので、集光性昆虫が豊富なロッジだったのかもしれない。ルートはほぼ固定だったため、通りそうな場所にあらかじめ置きピンして撮影に臨んでみたものの、腕が悪いために7 , 8 回くらいチャンスはあったがすべてピント外れだった。 ( 大沢さんのようにコウモリのカッコいい飛翔写真撮ってみたい ・ ・ ・ ) 
 その中でもいくらかマシなのが上の写真である。ただボルネオには複数種のカグラコウモリが生息していて、写真だけで同定するのは困難を極める。

 体色や耳介の形態から、ホースフィールドカグラコウモリH. larvatus が似ているかなと思ったが、彼らはボルネオ島南西部に分布しており、マレーシア領ではサラワク州での分布に限られているようなので、観察したのがサバ州というのもあって違うかもしれない。グールドカグラコウモリH. cervinus は体色が灰色の個体もいるが、比較的体色にバリエーションのある種のようで、茶褐色の個体も見られるようである。そういう意味では全島的に分布しているこのグールドカグラコウモリの可能性が高そうではあるが、ここでは断定を避けておく。

 ちなみにボルネオには、体色も狩りの方法も面白いハチマキカグラコウモリH. diadema というカグラコウモリがいる。胴体側部に白斑を持つ特徴的な体色で、さらに小枝にぶら下がってエコーロケーションを行ない、下を通った獲物に襲い掛かる待ち伏せ型の狩りをする面白いコウモリだ。
 ボルネオに行っていた時は全然知らなかったのだが、帰ってきてから色々とボルネオのコウモリについて調べていたら辿り着いたコウモリである。こんなコウモリがいたなら絶対にその待ち伏せしている姿を見てみたい。今更になってそんな欲がフツフツと湧いてくる悲しい欲望。
 またボルネオ行く機会があったらぜひ探したいなぁ。


 まだまだボルネオの生き物の話というのは尽きないと思うので、今後も何かの機会を見つけて小出しにしていこうかと思案中。





Category: 未分類  

AKIRA 元年



 明けましておめでとうございます。

 最近もダラダラとした纏まりのない文章ばかりの当ブログですが、今年も相変わらずそんな調子でやっていくので、お時間ある方は見てやってくださいな。
 今年はですね、6月でなんとブログ開設 “ 10 周年 ” を迎える年でもありまして、何だかんだで10 年続くというのは自分でも驚くばかりです。始めたのが大学在学中だったわけですが、あの頃は時間もあった上に、方々へ遠征も行っていてネタとしてもそれなりにあったから続いていたんだろうけど、社会人になった今でもこうして飽きずにやっていられるのは、それだけ自分にマッチした趣味なんだろう。貴重なフィールドの時間、特に旅に出た時なんかは、その時に感じたことを言葉として残していきたいなぁと思うのが強くなっていった気がする。だから最近の傾向としては紀行形式の記事が増えたように思える。
 なかなか10 年続けて何かに臨むというのは難しいもので、自分自身を振り返っても長く続いたモノってそうないんですよね。そういう意味では続いていること自体に価値があるんだろうなぁ。



 さらに言えばですね、この2019 年というのはある漫画・アニメにおいて非常に意味のある年でして、その界隈ではなかなかの盛り上がりがある1 年となることでしょう。



AKIRA


 新年最初の記事は 【 AKIRA 】 について書こうと、前々から思案していたので、ついにこの時が来たなと。以前の記事でもちらりと書きましたが、AKIRAという漫画は 『 翌年に東京オリンピックを控えた2019 年のネオ東京 』 という時代設定であり、それが1982 年から連載しているというなんとも預言的な一致があるコミックなのである。
 2020 年のオリンピックが東京に決定した瞬間、AKIRA ファンは多いに盛り上がった。あの時代がまさか現実になるとは。


 その流れがあってか、渋谷の PARCO は全面改装されるにあたって、外周をぐるりと取り囲む仮囲いに AKIRA の特別ペイントを施すという粋なデザインを採用している。上に掲載した金田とバイクの写真もそれだ。カッコ良すぎだろ︎ ・ ・ ・
都内に出る用事があった時なんかは、わざわざ渋谷に寄ってこれを見に行ったのは言うまでもない。


AKIRA


 基本的にはモノクロで描かれているイラストなのだが、強調的にイメージカラーである赤色が入る部分がある。金田のバイク然り、 【 AKIRA 】 の文字然り。


AKIRA


 イラストのアキラと、仮囲いの奥から顔をのぞかせる工事クレーンの組み合わせが最高すぎる。逆光にしてモノクロで撮るとインパクトがあるのでお気に入り。


AKIRA


 新たに建設という “ 創造 ” の作業をしているのに、その外壁に都市が壊れていく “ 破壊 ” のイラストがあるという面白さ。スクラップアンドビルド。


AKIRA


 これが渋谷の街中に普通にある不思議さ。デカい目玉のイラストを横目に、気にも留めずにギャルが通り過ぎるし、


AKIRA


「 うわァ 」 の文字が躍る交差点では、信号待ちで足を止めてもスマホが気になる人たちが無関心で立ち尽くす一方で、私と同じく嬉しそうに写真を撮っている人らがいたりする。



 この特別イラストはこれまで第一弾と第二弾があり、上の写真はどちらもごちゃ混ぜの状態。いつスタートして、いつ切り替わって、いつ無くなるのかがわからないので、第二弾に変わっているのを発見したときのサプライズ感はたまらなかった。だからついつい見に行きたくなってしまうカッコイイコラージュである。
 どうやら今年のどこかで第三弾への変更もあるらしいので、PARCO 建設の進捗も気にしながら楽しみに待ちたいと思う。





鉄雄
我が家の鉄雄フィギュア


 やっぱり鉄雄くんですよ、好きなキャラといったら。劣等感と傲りと暴走と。前に載せたフィギュアは 15 cm くらいのサイズだけど、こちらは海洋堂ガチャガチャの 8 cm くらいのシリーズ。リアルタイムで売ってたら迷わず大金をつぎ込んでたなぁ。私のはブックオフなどの中古屋で買い集めたもの。


AKIRA
ネオ東京的スナップの組写真


 自分の撮ったスナップ写真の中でもAKIRA的、ネオ東京的な写真をごちゃ混ぜに。あぁ、ついに翌年が東京オリンピックの 2019 年がやってきたんだなぁ。 AKIRA 元年だなぁ、今年は。
 それでいて今年は元号も変わるんだろう ?  新元号が 【 大覚 】 になったら AKIRA ファンは狂喜乱舞だぜ。



 ということで、月明かりにヤモリ、2019 年もスタートです。こういった生き物以外の脱線記事も多いですが、今年もどうぞよろしくお願い致します。



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