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月明かりにヤモリ

Moonlight Gecko

Category: 両生類  

打算的フィールドワーカー


 秋口にサンショウウオが見つかるらしい。


 そんな話を聞いていたので今シーズンは秋にサンショウウオ探しをしようと計画をしていた。事実、リンク先のジークさんは秋の越冬前の時期に、ヒガシヒダサンショウウオHynobius fossigenus やハコネサンショウウオOnychodactylus japonicus など多くのサンショウウオを見つけておられ、それも非繁殖期に ―――――― まだ私自身の中でサンショウウオシーズンになっていない時期に ―――――― 写真をブログにあげていたりするので、いつも 『 羨ましいなぁ羨ましいなぁ 』 と指をくわえながらパソコンの画面にかじりついていたりしていた。

 なので夏の終わり頃からちょこちょこと沢探しをしたり、越冬幼生を見つけたりしておおよその生息地に目星をつけていた。そんな秋口のサンショウウオ探しの話。




タゴガエル
タゴガエル Rana tagoi tagoi


 サンショウウオ探しの良きお供。大抵、沢でサンショウウオを探していると現われてくれるタゴガエルは、いつまでたってもサンショウウオを見られないでいる私を、慰めてくれる優しいヤツらだ。
 ちょっと遠出のフィールドなので、私がよく見ている地域のタゴガエルとは色彩が違って面白い。この個体は眼より前の鼻先部分は黒く、また腹面の鼻先から喉にかけてもべったりと黒いので、一瞬別のカエルかと見間違えるほどだ。



 一度目のフィールディングではサンショウウオの成体を見つけることは叶わなかったが、生息している沢と越冬幼生の発見にまではこぎつけた。あとは根気よく、注意深く、諦めることなく、探し続けることが肝心だ。

 個人的にサンショウウオ探しは、
 【 40 % 】 が生息地探し
 【 30 % 】 が探索時期
 【 20 % 】 がひたすら石をめくる根気
 【 7 % 】 が沢や山を登る体力
 【 3 % 】 が運

 くらいの割り振りが発見率に影響しているように感じているので、ある程度わかった生息地とフィールディングの時期さえ合えば、あとは根気よく探すことでそれなりに見られる確率は上がるように思える。 ( この生息地探しを 40 % MAX に持っていくのが、初見の場合は難しい。 )

 なので二度目のフィールディングを敢行。がむしゃらに頑張ってみよう。








ツクバハコネサンショウウオ
ツクバハコネサンショウウオ O. tsukubaensis


 そうしたらその努力の甲斐あって、秋口にツクバハコネサンショウウオの成体を見ることができた。これは自分にとって大きな経験を得た。嬉しい、嬉しすぎるぞ、ツクバハコネ。狙ってフィールドに出ていたわけだけど、本当に出てくれるとは。


 今回のサンショウウオ探しの条件でいえば、
 20 / 40 % ← 【 40 % 】 が生息地探し
 10 / 30 % ← 【 30 % 】 が探索時期
 15 / 20 % ← 【 20 % 】 がひたすら石をめくる根気
  4 /  7 % ← 【 7 % 】 が沢や山を登る体力
  0 /  3 % ← 【 3 % 】 が運


 合計で 【 49 / 100 % 】 くらいの確率はあるかなぁと思っていたので、体力的に無理を強いたり、幸運が転がり込んでくれれば 50 % 以上になりそうだったので、結構期待していた。写真を見てわかるように、繁殖期の特徴でもある渓流適応の爪がないことから、非繁殖期であることがうかがえるので探索時期は 10 % にも達していなかったかもしれない。それでも見事、成体が出てきてくれたので、ある程度の運が味方してくれたようにも思える。




ツクバハコネサンショウウオ
ツクバハコネサンショウウオ


 何といってもハコネサンショウウオ属のスラリとした体型は後ろ姿が美しい。流線形というよりヘビのようなその体型は、サンショウウオ属のそれとは一線を画す。ちょうどこのツクバハコネサンショウウオを見た数週間後に、両爬学会で吉川さんのツクバハコネサンショウウオの口頭発表を聞いていたので、なんとも身近な話題に感じた。
 分子生物学的なアプローチで系統解析をするだけでなく、それを保全のレベルでどう扱うかまで議論が及ぶのはさすがだと思った。遺伝的多様性を考慮すると、 “ ツクバハコネサンショウウオ ” という種を保護するだけでなく、ある程度遺伝的に分化がみられる [ 筑波山系 ] [ 加波山系 ] [ 足尾山系 ] それぞれの個体群を保全する必要があり、特に生息地が分断され個体数が少ないと思われる [ 足尾山系 ] が重要な位置づけにあって、かつ周辺が私有林であるため開発のおそれもあるというところまで言及されていた。
 短い発表時間の中であれだけわかりやすく話をされているのを聞いて、やっぱりしゃべるの上手だなぁと感心してばかりだった。以前トウキョウサンショウウオシンポジウムでも公演されているのを聞いたけど、あんな風に人に伝わりやすい話し方って本当に大事ですね。

 今年の両爬学会は 3 会場あったけど、サンショウウオ関連の口頭発表会場がとにかく人がいっぱいで、吉川さんの発表ともなると会場に入るのがやっとなくらいにひしめき合っていた。ちょっと前だったらこんなにサンショウウオ関連に人が殺到しているなんて、誰が想像しただろうか。
 そこら辺の流れは吉川さんの発表だったり、リンク先の Nyandful さんたちが作られている雑誌 【 Caudata 】 だったりが、昨今のサンショウウオ人気を牽引しているんだろうな。




ツクバハコネサンショウウオ
ツクバハコネサンショウウオ


 背中をもういっちょ。やっぱりハコネサンショウウオは背中が良い。本種の特徴でもある短い尾もよくわかる。といっても、まだ私は狭義のハコネサンショウウオ成体を見つけたことがなく、まだ死体のみの観察に留まっているから、実体験での話ではなくあくまで写真比較のレベルだが。

 なので私としてはシコクハコネサンショウウオO. kinneburi に続き、ハコネサンショウウオ属の成体 2 種目はツクバハコネサンショウウオに。次こそなんとかジャポニクスを見つけなくては。



ツクバハコネサンショウウオ
ツクバハコネサンショウウオ


 それには上で書いているような、数値化してなんでもかんでも打算的なフィールドばかりしていてはダメだ。時に数 % の望みしかなくとも、現地でパーセンテージは上げられるわけだし、勝算がないからと家に引き籠もっていては一生 0 % のままである。とにかくフィールドに出て、たとえ1%の望みでも、もがき続けるしかないのだ。
 と、偉そうなことを書いているが、かく言う私もかつては “ 打算的フィールドワーカー ” だったのでデカイ口はたたけない。

 前回の乗鞍岳の記事に登場する両爬屋の友人に以前、関西の斑紋の綺麗なヒダサンショウウオH. kimurae ( 当時は狭義のヒダサンショウウオではなく、一個体群の扱い ) を探しに遠征しようと誘われたのだが、下調べの時間もあまりなく、いくらなんでも無謀だろうと思い 「 全然勝算がないからやめよう、そんな甘くないよ流水性サンショウウオは。 」 と相手のやる気を削ぐ勢いで断ったのだ。
 しかし彼はそれでも単独で関西に乗り込み、そして見事金粉を大量にまぶしたような美しいヒダサンショウウオを見つけて帰ってきたのだった。その報告を受けて、散々彼に言いたい放題ぶちまけた私はぐうの音も出ず、ただただ 「 参りました 」 と謝罪するばかりだったのを、今でも酒の席でネチネチ言われてしまうくらいだ。
 ―――――  「 あの時の月光守宮さんはヒドかったですよ、勝算勝算って。 」 と。
 当時は社会人の貴重な休みをいかに無駄なく大事に使うかばかり気にしていて、 “ 失敗したらもったいない ” の精神が足枷となって、挑戦的なフィールディングを避け、ある程度のリターンが見込めることばかりに目がいっていた。しかし彼のフロンティア精神はそんなもの意に介せず、見事成果を上げて帰ってきたので、私もいつまでもウダウダ言っていてはいけないんだなと改めさせられた。だから今回は無茶も承知で ( まだいくらか打算的な部分はあるけれど ) ツクバハコネサンショウウオに挑んだので、この経験はきっと何かに活きるはず。


 時には無理をしてでも冒険しよう。
 開拓者にしか見えない景色もあるはずだから。







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Category: 草本類  

雪と女王



 首都高を飛ばして友人1人をピックアップし、中央道・長野自動車道を乗り継ぎ夜な夜な山道を北西へと走れば高原の麓まではあっという間だった。途中立ち寄ったサービスエリアで食べた晩飯の “ がっつりカツカレー ” を消化し終えるには、もう十分すぎるほどの時間が経ってからの到着だったにもかかわらず、仕事終わりの深夜ドライブがあっという間に感じられたのはきっと、助手席に話し相手がいたおかげだろう。最近のパターンでは気まぐれに遠征の日程を組んで、パパッと単独で南アルプスの山々に出かけることが多かったので、道中ラジオにツッコミを入れるくらいしか話し相手がいなかったもんだから、誰かと車中ウダウダくだらないことを話していたらあっという間に北アルプスだ。
 なんとも久しい感覚に浮かれつつも、駐車場に着いてエンジンを切れば自然とまぶたは重くなるので、トランクからゴソゴソと寝袋を引っ張り出して、車中泊の準備をする。

 翌早朝に登山を開始するため、毎度の事ながらマイカー規制ギリギリのところまで車で向かって車中泊をするいつものパターン。唯一違うとしたら助手席にいる相方の存在だが、疲れもあって何の気なしに眠りについた。




ニッコウキスゲ
ゼンテイカ ( ニッコウキスゲ ) Hemerocallis dumortieri var. esculenta


 朝起きると、夜中ではまったくわからなかったのだが、駐車場の目の前にあるスキー場が、その一面をニッコウキスゲで覆われているのがまず目に入ってきた。 「 なんて気持ちの良い朝なんだ、爽やかすぎる。 」 と浮かれていた私だが、助手席の相方はなんとも浮かない表情。
 「 久々に月光守宮さんとの車中泊でしたが、相変わらずイビキがスゴイっすね。あと途中で無呼吸っぽくなったりするんで、気になって眠れなかったですよ。 」 なんてことを言い出すではないか。

 おぉぅ、最近の私はそこまで酷いのか。自分では無自覚な部分だから誰かに指摘されないとわからないんだけど、まさか寝てる途中で 「 Zzz 、Zzz 、Zzz 、、、、、、、 フガッ︎ !! 」 となっているとは。それでいてサイレンこそ鳴らしてはいないが、駐車場にパトカーが来ていたらしいことも彼は教えてくれた。
 そんな環境でグースカ寝られるってのは、鈍感力も生き物屋としては必要な能力かもしれないなぁ。 ( 肯定肯定。せめて自分だけは褒めてあげよう ) 笑


乗鞍岳風景林
乗鞍岳風景林


 ということで車中泊の明暗を分けた2人で、乗鞍岳登山スタート。麓からはマイカー規制が敷かれており、基本は登山バスで畳平まで一気に上がってしまうのがセオリーというかメジャールートではあるのだが、ゆっくり亜高山帯の生き物も見ながら行きたかったので、三本滝を出発地として自分たちの足で登って行くことを選んだ。




ゴゼンタチバナ
ゴゼンタチバナ Cornus canadense


キソチドリ
キソチドリ Platanthera ophrydioides var. monophylla


 別にこっちのほうが “ 登山としてのレベルが高い ” とか、 “ バスを使うのは軟弱者だ ” とか言うつもりは毛頭ない。我々は登山家ではなく生き物屋なので、出会いたい生き物に対して適切なアプローチが取れればそれで良い。高山鳥、高山植物がメインならば一気にバスで駆け上がって標高を稼いだほうが懸命だろう。
 ただ我々にとってはハイマツ帯にいきなり行くよりも、シラビソAbies veitchii やコメツガTsuga diversifolia などの背の高い針葉樹林が生える林内をまず巡って、その環境にいるやつらを見て行くのが面白いと思ったからに他ならない。

 だからこうして暗い亜高山に生えるゴゼンタチバナやキソチドリなどの山の植物にも出会えるわけだ。






見上げる森


 バスならば標高 1,500 m の観光センターから畳平の標高 2,700 m まで一気に登れるところだが、標高 1,800 m の三本滝から標高 3,000 m の剣が峰への 1,200 m も登るこのコースを登りつめて森林限界を超えていく。最初はこんな木漏れ日が嬉しく清々しい登山なのだが、やはり日頃の怠慢で体にはこたえる山行だった。


吊り橋


 ただ途中でこういうところがあると、少年心がくすぐられるのでワクワクして疲れを忘れさせてくれる。



イチヨウラン
イチヨウラン Dactylostalix ringens

 道中で花期終わりのイチヨウランが見つかった。萎れた花でもその可憐さは衰えることはなく、むしろ儚く愛おしい姿が一層この花の魅力を引き出しているようにさえ思えてしまう。
 周辺を見回すと何とか一輪、きちんと花弁を開いている凜とした株があった。八ヶ岳のときもそうだったが、それなりに日光の入る、しかし苔も多い水気をたたえた場所に生えるようだ。春にまた登ったら楽しいルートかもしれないなと、春に来た時の想像だけでもワクワクする。


ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ Heloniopsis orientalis


 一方でこちらはてっきり早春の花だとばかり思っていたから、夏でも見られるとは思ってもみなかった。生えていたのが残雪のある標高 2,500 m くらいのところで、ハイマツ帯へと移行し始めているくらいの地点だったから、広い垂直分布を持つ花では、こうも花期が異なるのか。さすがは高標高地。
 自分の足で登ってきたからこそ、彼らの広い垂直分布には心底驚かされる。標高の低いところでは先ほどのイチヨウランより先に咲き始めるので、まるで花期が逆転しているようだ。もちろん花期の長さも考慮する必要はあるだろうけども、単純比較しても逆転しているようだから、それをこの目でこの足で実感出来たのは良い経験だった。



 そしてハイマツ帯に入ってから、体力はあるのに呼吸が乱れ苦しくなって休憩の数が途端に増え始める。これがいわゆる高山域の登山か。登るという運動量に対して、浅くなった呼吸では供給する酸素量が足りていないような感じ。意識して呼吸を深くして、わざとらしいくらいにスーハースーハー深呼吸しながら登らないとすぐにバテて腰を下ろしてしまうほどの環境になっていた。

 ようやく周りの木々もハイマツPinus pumila へと移り変わり、森林限界を超えて視界も開けたところで、残雪に覆われた高山域へと足を踏み入れる。


スキー場


 そこに突如として現れたのは真夏の7月に不釣り合いなスキー場。春スキーは聞いた事があったが夏スキーは知らなかった。夏でも残る雪渓でスキーをしようとは、どの世界もがっつりハマっちゃった人ってのはすごいな。


スキーヤー


 ルートとしてはこのスキー場と化した場所を通る箇所なので、薄着のスキーヤーが颯爽と滑り抜ける真横を、踏み固めながら標高を上げていく。当然、装備としてアイゼンを持ってきているわけではないので、ゆっくりと、そして慎重に。






ハクサンシャクナゲ
ハクサンシャクナゲ Rhododendron brachycarpum


 途中の岩場には、ちらほらと矮性のシャクナゲが見られ、高標高を実感する。松にしても石楠花にしても、強風吹き荒れる高山では、上に伸びることは許されていないというわけだ。

 そういった雪渓の難所を超え標高 2,700 m ~ 3,000 m くらいの砂礫ばかりの劣悪な環境になる稜線まで上がって来たところで、追い求めていた女王がいくつも咲いていた。






コマクサ
コマクサ Dicentra peregrina


 高山植物といったらやはりこの花、コマクサ。遠目から見ても、砂礫にポツポツと黄緑色と薄桃色を持つ植物が生えているのでよく目立つ。




コマクサ
コマクサ


 こんな雪渓が残る高山域の、それも直射日光が降り注ぎ風も強い、こんなとこに咲いているのだから “ 高山植物の女王 ” のなんとたくましいことか。
 見れば見るほど珍妙な姿をしていて、葉の形も線香花火みたいでヘンだし、花なんてもっとヘンで馬面な形だし。それでいてこんな火星みたいなとこに咲いているなんて奇妙すぎる。女王の称号を貰っているからその名誉と鮮やかな色味で良い印象はあるけれど、先入観なくみてみると結構エイリアンチックな花だと思う。もちろんそれがむしろ私にとっては良いんだけれど。
 やはり高山域は変な別世界なんだなぁ。ロシアとか面白いんだろうなぁ、寒いの嫌だけど。



 そしてこの日は山小屋泊。と言っても畳平にある 【 銀嶺荘 】 泊だったので山小屋泊というかもう旅館だ。まずメシは絶品でしてね、すき焼きでゴハンがススムし、そのご飯はおかわり自由だし、消耗しきっていたカロリーを存分に補給できる。
 そして何より風呂がある︎。山小屋泊したことがある人ならわかると思うが、この標高 2,700 m の場所で風呂に入れるのですよ。山ではそもそも水の確保ですら困難なのに、シャワーが出て湯船が張っている光景に驚きを隠せない。こんな高山で風呂に入れるとか最高かよ。
 ただトリップアドバイザーなんかを見ると心ないコメントする人がいるもんですね。この風呂がいかにすごいかを理解しておらず ( おそらく山小屋経験者ではないのでしょう ) 、風呂について悪態をついているのが残念でならない。同じものを見ているというのに、価値観や経験・知識などでこうも見え方が違ってくるのかと思う次第。風呂に入れるだけでありがたや~。

 モノの見方って大事なんですね。 [ 汚い、怖い、気持ち悪い ] という両爬のイメージを払拭できるよう、 [ 面白い ] という見方になってもらえるように私はブログで両爬のそして生き物の面白さを発信していきたいですな。


 腹はパンパンに膨れたし、足はパンパンに張っていたので、夜にちょろっと満点の星空を眺めたら、あっという間に夢の中。








登る人


 そして朝がやってくる。畳平にある宿はそう数が多いわけではないのに、御来光を見るために外に出てみると、宿泊者の数をはるかに上回るたくさんの人が山頂を目指して列をなして登っていた。
 どうやら “ 御来光バス ” なるものが下界から何台も出ているようで、御来光は宿泊者だけの特権というわけではなかったようだ。なるほどなぁと関心している間にもどんどん湧き出てくるかのようにバスがやってきては、御来光目当ての登山者を吐き出していく。

「 チクショー、完全に出遅れた。 」




御来光
御来光


 そして大勢に紛れて御来光を望む。雲の下からゆっくりと太陽が昇り、ハイマツを橙色に染めてゆく。




コマクサ
コマクサ


 そのありがたき御来光は、高山植物の女王をも染めて朝を告げていく。あとはこの日は大黒岳や魔王岳をちょろっと巡ってゆっくり下るだけ。下山は登山バスに揺られて一気に下るので、いつも通り爆睡したらあっという間だ。
 一泊することで、こんなにもゆとりある山旅ができるとは。なんとも心地好い山旅でした。





Category: 蟲類  

コマダラあるあるを早く言いたい


 石垣島の遠征記事が続いたので、のんびりと本州の話でも。沢沿いの山道を歩いていると、あまり陽の当たらない岩が露呈した場所にコケや地衣類が岩の表面をびっしりと覆っているのを見かける。そういった岩場を見つけると、ついコケオニグモAraneus seminiger でも見られないかなぁと期待して舐めるように岩を眺めていくわけだけど、相も変わらず見つけられないままの日々を過ごしている。
 そんな時に心の支えになる、というか私を楽しませてくれるのが彼ら “ 岩場の狩人 ”だ。



コマダラウスバカゲロウ
コマダラウスバカゲロウ Dendroleon jesoensis


 こんな大顎を持ったモンスターが、割と似たような環境ならばどこでも見られるのはなかなかに嬉しい。なので地衣類びっしりの岩があるとついつい探してしまうよね、コマダラウスバカゲロウ。
 大抵、1 個体見つけることができれば目が慣れて、すぐ付近に潜む大顎を次々に発見できるようになるのも面白い。

 だが、意気揚々とパソコンに取り込んだ写真を眺めていると、自分の目が慣れているだなんて到底思えなくなる事実に気がつくことになる。撮影対象となった個体のすぐ脇に、実は撮影中に全く気がつかなかった別個体が映り込んでいることに驚愕するのだ。上の写真でもそうで、真ん中の個体を熱心に撮っていたが、そいつより遙かに小さい個体が左下に写っているのがパソコンの画面上でようやくハッと目に飛び込んできた。


 これってコマダラウスバカゲロウの幼虫を探したことのある人にとっては “ あるある ” ではないでしょうか。






コマダラウスバカゲロウ
コマダラウスバカゲロウ


 こちらは体が地衣類に覆われてない個体。おそらく脱皮直後の個体だと思われ、 『 これは珍しいなぁ、面白い面白い。 』 とぶつぶつ言いながら鼻息を荒くしていたわけだが、こいつも例に漏れず別個体が映り込んでいる。



 お分かりいただけだろうか ?


 腹部のおしり側に小さな顎が見え隠れしている。このようにしてすぐ近くに別個体が高頻度で見られることから、かなり生息密度が高いと思われる。 『 あ、ここにも。 と思ったら隣にもいるじゃん。 』 っていう感じで、一度でも目が慣れてしまえばポンポン見つかる楽しさがある。
 といっても被食者側からしたらとんだ地雷原なんだろうな。余裕で避けられたと思ったその瞬間に、足下からガブリだろう。ちょっと想像するだけでも、こいつらに食われる側だけにはなりたくないな。


 サークルの1年次の時にしかコケオニグモを見ておらずそれっきりなので、そろそろ会いたいなぁ。



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